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"206120211_0": "マジックランプドリーム⓹",
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"206120211_1": "(月読さんや暁さんのおかげで、学院での生活にも\\n すっかり慣れてきた)",
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"206120211_2": "(そして家に帰れば、いつも姉さんが\\n わたしを出迎えてくれる)",
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"206120211_3": "「ただいま、姉さん」",
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"206120211_4": "「お帰りなさい。もうすぐご飯の用意ができるから、\\n 手を洗ってらっしゃい」",
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"206120211_5": "「はい」",
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"206120211_6": "「今日、音楽の授業でね、\\n クラスのみんなと合唱したんだ」",
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"206120211_7": "「あんなに沢山の人と一緒に\\n 唄ったのは初めてだったから、すごく楽しかったよ」",
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"206120211_8": "「でも、みんな上手いから緊張しちゃった。\\n 音程を外して足を引っ張らないかって……」",
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"206120211_9": "「大丈夫よ。セレナのリズム感と歌唱力は、\\n わたしが保証するわ」",
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"206120211_10": "「……ありがとう」",
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"206120211_11": "「放課後は、今日も月読さんと暁さんと一緒に、\\n いろんな部活動を見て回ったよ」",
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"206120211_12": "「今日は忍術部と落語研究部と演劇部と、\\n それから奇術部も楽しかったな」",
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"206120211_13": "「フフ、よかったわね。\\n ……セレナ、ほっぺにソースがついてるわよ」",
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"206120211_14": "「えッ!?」",
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"206120211_15": "「ダメよ、手で拭ったら汚れちゃうわ」",
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"206120211_16": "「顔を出して……うん、これで綺麗になった」",
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"206120211_17": "「ありがとう、姉さん。まるでお母さんみたいだね」",
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"206120211_18": "「あれ、お母さん……?」",
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"206120211_19": "(わたしには、お母さんみたいな人がいた気がする……。\\n 姉さんじゃなくて、もっと別に……)",
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"206120211_20": "「どうしたの? 急に難しい顔をしちゃって……」",
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"206120211_21": "(……マム……わたしはずっと、マムと一緒だった。\\n なのにどうして、わたしだけここにいるんだろう……)",
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"206120211_22": "「姉さん、わたし……ここでこんなことしてて、\\n よかったのかな?」",
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"206120211_23": "「いいに決まっているじゃない。もうノイズも、\\n アルカ・ノイズもいないんだもの……」",
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"206120211_24": "「でもわたしには、帰らなきゃいけない場所が……。\\n わたしの帰りを待っている人が……」",
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"206120211_25": "「そんな危険な場所に、戻らなくてもいいの」",
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"206120211_26": "「…………」",
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"206120211_27": "「ここでわたしや調、切歌と一緒に、楽しく過ごしましょう」",
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"206120211_28": "「マリア姉さん……?」",
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"206120211_29": "「セレナ、あなたはもう、何も心配しなくていいの。\\n ずっと一緒に、ここで暮らしましょう」",
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"206120211_30": "「……違う。あなたはマリア姉さんじゃない」",
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"206120211_31": "「あなたは……誰なの?」",
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"206120211_32": "「誰って、どういう意味かしら?」",
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"206120211_33": "「わたしの姉さんは、そんな風に、\\n 現実から逃げることを勧めたりしない」",
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"206120211_34": "「姉さんはいつだって、現実に立ち向かって\\n 戦っていたッ!」",
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"206120211_35": "「セレナ、落ち着いて……」",
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"206120211_36": "「やっと、思い出した……ッ!」",
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"206120211_37": "「わたしには、帰らなくちゃいけない場所がある。\\n 護らなくちゃいけない世界があるッ!」",
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"206120211_38": "「Seilien coffin airget-lamh tron」",
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"206120211_39": "「やめてッ、セレナッ!\\n わたしはただ、あなたと……」",
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"206120211_40": "「このギアは……そうかッ!」",
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"206120211_41": "「これはきっと、まだ夢の中。わたしの願いが叶った夢の……。\\n 夢からは、覚めないとッ!」",
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"206120211_42": "「はあ――ッ!!」",
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"206120211_43": "(市街地に突然現れた大型のアルカ・ノイズ……)",
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"206120211_44": "(わたしならなんとかできるはず。\\n わたしは、みんなに頼られる司令なんだから――ッ!)",
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"206120211_45": "「全装者、アルカ・ノイズとの交戦を開始しました」",
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"206120211_46": "「市民の避難状況はどうですか?」",
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"206120211_47": "「誘導に当たっていますが、状況は芳しくありません」",
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"206120211_48": "「そうですか……」",
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"206120211_49": "「全装者に通達。それぞれ別の大型アルカ・ノイズに対応、\\n 1対1で各個撃破に当たってください」",
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"206120211_50": "「はいッ!」",
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"206120211_51": "(これで、アルカ・ノイズの攻撃が市民に向くことは\\n なくなるはず)",
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"206120211_52": "(でもその分、装者ひとりひとりの負担が大きい。\\n みんなの力を信じるしか……)",
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"206120211_53": "「やりましたッ! ガングニールと天羽々斬が\\n それぞれ大型のアルカ・ノイズを撃破ッ!」",
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"206120211_54": "「アルカ・ノイズの総数も、着実に減っています。\\n 各装者の被害は、いずれも軽微」",
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"206120211_55": "(よかった。このまま乗り切ってくれれば……。\\n けれど、この嫌な予感は……)",
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"206120211_56": "「新たにアルカ・ノイズが出現ッ!」",
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"206120211_57": "「規模は第一波以上……、\\n 大型のアルカ・ノイズも多数、出現した模様ですッ!」",
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"206120211_58": "「……ッ!?」",
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"206120211_59": "「マズいッ、孤立した装者たちが\\n 包囲されつつありますッ!」",
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"206120211_60": "「そうかッ、第一波はオトリ。\\n 目的は装者の分断……ッ!」",
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"206120211_61": "「全装者、戦線を離脱。\\n 1秒でも早く、再集結をッ!」",
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"206120211_62": "「うう……ッ!」",
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"206120211_63": "「あああッ!」",
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"206120211_64": "「イガリマ、被弾ッ!\\n ガングニールも攻撃を受けていますッ!」",
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"206120211_65": "「く――ッ!\\n みんな、援護を……ッ!」",
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"206120211_66": "「援護しにいきたいけど……ッ!」",
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"206120211_67": "「目の前の敵で、精一杯よッ!」",
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"206120211_68": "「アルカ・ノイズ、さらに包囲を狭めていますッ!\\n このままでは……」",
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"206120211_69": "「こうなったら……<speed=0.5>、</speed>わたしが出ますッ!」",
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"206120211_70": "「司令ッ!?」",
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"206120211_71": "「出動するなんてダメですッ!\\n 誰が本部の指揮を執るというのですかッ!?」",
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"206120211_72": "「けれど、このままじゃ切ちゃんが……ッ!」",
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"206120211_73": "「司令ッ! こっちに来ちゃダメデスッ!」",
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"206120211_74": "「切ちゃん……」",
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"206120211_75": "「アタシなら、もう1人でも大丈夫デス。\\n 司令がとなりにいなくても、戦えるデスよ」",
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"206120211_76": "「でもッ!」",
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"206120211_77": "「司令はそこでアタシたちの指揮をしていてほしいデス。\\n 本部が『頼れる司令』のいるべき場所デスッ!」",
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"206120211_78": "「……」",
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"206120211_79": "(ここが、わたしの居場所……?\\n 本当にそうなのかな……)",
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"206120211_80": "「さあ、司令。指示をお願いしますッ!」",
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"206120211_81": "「まだ立て直せますッ!\\n 装者が倒されても、司令と本部さえ無事なら……ッ!」",
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"206120211_82": "「違う……、それじゃダメッ!」",
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"206120211_83": "「たしかにわたしは、マリアや弦十郎さんみたいに、\\n みんなに頼ってもらいたいと思った」",
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"206120211_84": "「司令になって、みんなに頼ってもらえて嬉しかった」",
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"206120211_85": "「だけど、わたしの戦う場所はここじゃない。\\n 1人だけここにいるなんて、わたしにはできない……ッ!」",
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"206120211_86": "「司令、何を言ってるんですかッ!?」",
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"206120211_87": "「そうですッ! じゃあ、どこで戦うと……」",
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"206120211_88": "「決まっていますッ!」",
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"206120211_89": "「わたしが戦う場所は、切ちゃんのとなりッ!」",
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"206120211_90": "(そうだ、なんで気づかなかったんだろう。\\n ここは夢……早く、目覚めないとッ!)",
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"206120211_91": "「Various shul shagana tron」",
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"206120211_92": "「やあッ!!」",
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"206120211_93": "(ついに今日、あたしは先輩と同じステージに立つ……)",
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"206120211_94": "(いよいよ、同じ景色を見ることができるんだな。\\n それなのに……)",
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"206120211_95": "「あの2人は何やってるんだ?」",
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"206120211_96": "「風鳴翼のマネージャーを務めております、緒川と申します」",
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"206120211_97": "「これは、ご丁寧にありがとうございます。僕はウェル、\\n 雪音の超DXエクセレントギャラクシープロデューサーです」",
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"206120211_98": "「よろしくお願いいたします」",
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"206120211_99": "「いわゆる名刺交換というやつだ」",
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"206120211_100": "「うわッ、先輩ッ!?」",
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"206120211_101": "「久しぶりだな、雪音」",
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"206120211_102": "「言われてみれば、そう……だな」",
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"206120211_103": "「覚えているか? わたしが、雪音には\\n 歌手としての才能があると言ったことを」",
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"206120211_104": "「もちろん覚えてる。あのひとことがあったから、\\n あたしは歌手になったのかもな」",
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"206120211_105": "(あと、ライブで唄う先輩に憧れたから……、\\n とは言わないけど)",
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"206120211_106": "「フッ、いつか大きなステージで共演を果たすと……、\\n あの時予感していたのかもしれない」",
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"206120211_107": "「わたしは一緒のステージで唄えることを、\\n 素直に嬉しく思っている」",
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"206120211_108": "「手加減や遠慮なんかいらない。\\n 全力で雪音の歌をぶつけてくれ」",
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"206120211_109": "「あ……ああッ!」",
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"206120211_110": "(装者として話すことが多かったから、\\n ちょっと変な感じだな)",
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"206120211_111": "(でも、共演が嬉しいってことは、\\n 歌手としてのあたしのこと、認めてくれてるのかな……)",
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"206120211_112": "「なッ、なんだこりゃあッ!」",
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"206120211_113": "「いつにもまして大きな声ですが、\\n 一体どうしたのですか?」",
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"206120211_114": "「どうしたもこうしたもあるかッ!\\n この舞台衣装はなんだよッ!」",
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"206120211_115": "「見ての通り、バニースーツですッ!\\n 今日のための特注品ですよ」",
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"206120211_116": "「そんなこと知るか。\\n こんなの着て唄えるわけないだろッ!」",
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"206120211_117": "「そう言われましても、スポンサーの要望なのだから\\n 仕方がないでしょう?」",
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"206120211_118": "「ずいぶん騒がしいが、どうしたんだ?」",
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"206120211_119": "「先輩はいいのかよ、こんな格好で唄わされて」",
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"206120211_120": "「ああ、問題ない」",
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"206120211_121": "「でも、曲の雰囲気には合ってないと思うし……、\\n そんな衣装でライブに出て、先輩のファンは喜ぶのか?」",
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"206120211_122": "「そんなこと、わたしが考えることではない。\\n わたしは、唄いたいから唄っているだけだ」",
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"206120211_123": "「え……」",
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"206120211_124": "「雪音だって同じだろう?\\n 唄うことは楽しいと思ったんじゃないか?」",
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"206120211_125": "「そ、それは……」",
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"206120211_126": "「そのためのステージを用意してくれるスポンサーの\\n 要望ならば、従うまでだ」",
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"206120211_127": "「さあさあさあッ! 開幕の時間ですッ!\\n 最高のステージをお願いしますよッ!」",
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"206120211_128": "「うわッ! 急に押すなよ……ッ!」",
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"206120211_129": "(舞台に出ちまったッ!\\n もうイントロも流れ始めてる……)",
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"206120211_130": "(あとは一緒に唄い出せばいいだけなのに、\\n なんであたしは、さっきの先輩の言葉が引っかかってるんだ?)",
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"206120211_131": "(先輩が唄う理由……そして、\\n あたしが唄う……理由は……)",
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"206120211_132": "<size=40>「やめろーッ!!」</size>",
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"206120211_133": "「どうしたんだッ!?\\n 演奏を止めるなんて……」",
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"206120211_134": "「先輩が唄うのは、\\n そんな独りよがりな理由なんかじゃないだろ……?」",
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"206120211_135": "「先輩の歌声で誰かを勇気づけることができるって、\\n だから唄ってるんじゃないのかよッ!」",
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"206120211_136": "「……」",
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"206120211_137": "「確かに、あたしだって唄うことは好きだけど、\\n あの日学園祭のステージに立ったのはそれだけじゃないッ!」",
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"206120211_138": "「背中を押してくれる人が、\\n 歌を聴いてくれる人がいたからだッ!」",
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"206120211_139": "「……何が言いたいんだ?」",
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"206120211_140": "「もう気づいてるんだよッ!\\n ここは、まだ夢の中なんだろッ!」",
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"206120211_141": "「Killiter Ichaival tron」",
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"206120211_142": "「ぶッ壊してやるッ!」",
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"206120211_143": "「この場所は……ッ! やっぱりなッ!」",
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"206120211_144": "「クリス先輩ッ! セレナもッ!」",
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"206120211_145": "「全員、違う夢を見せられていたみたいですね……。\\n でも、まだここは夢の中です」",
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"206120211_146": "「ああ。そして、たぶん夢を見せているのは……」",
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"206120211_147": "「おかえりなさい、ご主人たち。\\n まさかあんな乱暴に夢を壊されるとは……」",
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"206120211_148": "「完璧に願いを叶えられていたと思うんだが、\\n 何か不満があったかな――?」"
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