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"332000611_0": "操られた2人",
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"332000611_1": "「調ちゃんたちが、消息を絶ったんですか?」",
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"332000611_2": "「ああ……数時間前、館に再突入して以降、\\n 脱出する気配が無い状況だ。通信も繋がらん」",
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"332000611_3": "「でも、どうして2人だけで館に?」",
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"332000611_4": "「それが、最後の通信では本人たちにもわからんと言っていてな……」",
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"332000611_5": "「突入前の交信の際、おふたりの端末から遠隔回収できたログを\\n 解析したところ、自宅から現地まで移動した形跡があります」",
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"332000611_6": "「ということは、少なくとも強制空間転送とか、\\n そういった類いのものではないみたいだね」",
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"332000611_7": "「それでも、本人たちには移動した記憶が無かった……」",
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"332000611_8": "「つまり無意識ながら、自発的に行動したということです。\\n まるで夢遊病みたいに」",
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"332000611_9": "「暗示か何かのようなものでしょうか……」",
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"332000611_10": "「わかりません……」",
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"332000611_11": "「それで、2人の状況はどうなってるんですか?」",
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"332000611_12": "「ギアの反応や端末から発信されるバイタルサインは\\n 今も確認できているから、無事なことだけは確かだね」",
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"332000611_13": "「ただ、依然、こちらからの通信は阻害されているようで、\\n 応答が無い状況よ」",
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"332000611_14": "「発信位置も突入後しばらくしてほとんど動かなくなって、\\n 館から脱出する気配は無い……」",
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"332000611_15": "「もっとも、外部から見た座標と、館内部の空間座標が\\n 正確に紐付いているかは保証の限りではないけどね」",
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"332000611_16": "「せめて通信障害対策が\\n 昨日の段階で間に合っていれば……」",
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"332000611_17": "「どうしてボクはこう、いつも1歩遅いんだ」",
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"332000611_18": "「エルフナインくんが責任を感じる必要はない」",
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"332000611_19": "「全てはそんな状況下にも関わらず、新しい局面を前に\\n 藁をも掴む思いで突入許可を出してしまった俺の判断ミスだ」",
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"332000611_20": "「事態悪化の責は、全て俺にある」",
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"332000611_21": "「でも……」",
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"332000611_22": "「悔やんでばかりもいられない。\\n 今は今後の対策を考えよう」",
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"332000611_23": "「ギアの反応……ということは、\\n ギア自体は解除されていないということですよね?」",
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"332000611_24": "「それは間違いないと思う」",
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"332000611_25": "「意識を失えばギアは自動解除されるはずだから、\\n 少なくとも活動は続けていると思うんだけど……」",
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"332000611_26": "「ギアを着たままなんらかの手段で拘束されている可能性も\\n なくはないけどね。あまり考えたくはないけど」",
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"332000611_27": "「なら、わたしがすぐに助けに向かいますッ!」",
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"332000611_28": "「ダメだッ!」",
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"332000611_29": "「迂闊に入れば、またぞろミイラ取りがミイラになりかねん」",
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"332000611_30": "「でも……それじゃ2人が……」",
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"332000611_31": "「司令。やっぱり、現在アフリカで活動中の\\n 装者を呼び戻した方がいいのでは……?」",
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"332000611_32": "「今2人は、反政府組織がアフリカ奥地に築いた拠点への\\n 極秘奇襲作戦を遂行中のはずだ」",
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"332000611_33": "「作戦が完了するまで、あと数日は無線封鎖状態が続く」",
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"332000611_34": "「そういえば、響も昨夜そんなことを……」",
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"332000611_35": "「無線封鎖が解けて即呼び戻すとしても、\\n 更にそこから日本まで、2、3日はかかりそうですね……」",
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"332000611_36": "「友里、無線封鎖解除次第、最速ピックアップするための\\n 移動手段の手配は進めておいてくれ」",
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"332000611_37": "「了解しましたッ!」",
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"332000611_38": "「緒川、欧州の翼たちの状況はどうだ?」",
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"332000611_39": "「実は欧州でも昨夜からちょっとしたアクシデントが発生中でして。\\n 今すぐに呼び戻すのは難しそうです」",
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"332000611_40": "「そうか……。\\n だが、そちらも帰還を見据えた調整を進めてみてくれ」",
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"332000611_41": "「了解です」",
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"332000611_42": "「いずれかの装者グループが帰還するまでは、\\n これまでの情報解析と館外部からのモニタリングを継続し――」",
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"332000611_43": "「待ってくださいッ!\\n それでは手遅れになる可能性がありますッ!」",
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"332000611_44": "「このまま2人を放っては置けません」",
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"332000611_45": "「2人がどういった状況にあるかわからないなら、\\n 尚更早く助けたいです」",
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"332000611_46": "「気持ちはよくわかるが、\\n これ以上のリスクを冒すわけには……」",
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"332000611_47": "「気持ちだけの問題じゃありません」",
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"332000611_48": "「2人がギアで活動可能な今のうちに館の中で合流できれば、\\n その分脱出や奪還の成功確率は上がるんじゃないでしょうか?」",
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"332000611_49": "「少なくとも、2人が力尽きてから救助するよりは、\\n 数段勝算が高いはず……」",
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"332000611_50": "「つまりこの状況では、時間が経てば経つほど\\n 勝算が低くなるんじゃないでしょうか?」",
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"332000611_51": "「君の言う通りだが……、しかし……」",
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"332000611_52": "「エルフナインくん、\\n 館内の通信障害への対策は終わったんだな?」",
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"332000611_53": "「あ、はいッ!」",
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"332000611_54": "「過去3回の突入の際、ギアに残されたログから\\n 環境中に展開される複数の干渉波を確認しました」",
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"332000611_55": "「そちらの干渉波をリアルタイムで分析・迂回するための\\n 特殊通信プロトコルの構築が、先程完成したところです」",
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"332000611_56": "「未来くんへのギアへの反映は?」",
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"332000611_57": "「テストも含めて、30分もあれば十分です」",
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"332000611_58": "「そうか」",
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"332000611_59": "「あの、それじゃ……」",
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"332000611_60": "「確かに、調くんや切歌くんが完全に行動不能になる前に\\n 救助できれば、それに越したことはないからな」",
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"332000611_61": "「だが作戦行動中は必ず通信回線は開いたまま、\\n モニタリング用の遠隔カメラも装備してもらう」",
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"332000611_62": "「そしてなにより、手に余る事態に直面したら\\n 無理をせず即時撤退すること」",
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"332000611_63": "「これだけは必ず守ってくれ」",
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"332000611_64": "「はい、もちろんですッ!」",
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"332000611_65": "「それでは、日没と共に作戦を決行するッ!」",
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"332000611_66": "「はいッ!」",
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"332000611_67": "「では早速、装置の準備を開始しますッ!」",
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"332000611_68": "「日没までにはまだ時間がある。\\n まずは、これまでの状況を整理しておこう」",
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"332000611_69": "「状況の整理……ですか?」",
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"332000611_70": "「ああ。調くんと切歌くんの身に何が起きたのか」",
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"332000611_71": "「これまでの経緯や、突入前の通信で残された情報から\\n できるだけ原因を探っておきたい」",
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"332000611_72": "「それによって未来くんの安全と、切歌くんたちの奪還確率を\\n 少しでも上げておかねばならん」",
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"332000611_73": "「確かに、それによって必要な準備も\\n 変わってくるかもしれませんね」"
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