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"356001021_0": "「みんな、一通りの治療は終わったわね」",
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"356001021_1": "「うん、ありがとうッ!\\n ぐっすり寝て、もう大丈夫だよッ!」",
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"356001021_2": "「それで、もう1人のわたしは……」",
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"356001021_3": "「ダメージが深かったので、\\n 別室で治療を受けてもらっています」",
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"356001021_4": "「それにしても、お前に会うとは思わなかったぞ」",
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"356001021_5": "「こっちこそですよ。\\n APPLEのマリアちゃんとセレナさんもいるし……」",
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"356001021_6": "「そっちの調ちゃんと切歌ちゃんは、\\n わたしの世界の切歌ちゃんが会ったっていう2人だよね?」",
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"356001021_7": "「そう。わたしたちみんな、\\n あなたの世界の装者にもともと縁があったみたい」",
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"356001021_8": "「そのみんなが、どうして一緒にいるのッ!?」",
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"356001021_9": "「この石に導かれたの。\\n 結局、これがなんなのかわからないんだけど――」",
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"356001021_10": "「石が、光って――ッ!」",
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"356001021_11": "「わたしのもよッ! どうなってるのッ!?」",
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"356001021_12": "「…………」",
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"356001021_13": "「……………………」",
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"356001021_14": "「な――」",
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"356001021_15": "「なんなんスかッ! 誰っスかッ!? 今大事な時なんスけど、\\n 出てくるタイミング間違えてないっスッ!?」",
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"356001021_16": "「間違えてないっていうなら、\\n 科学的に説明してほしいんスけど――」",
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"356001021_17": "「ナツミッ! とりあえず静かにして」",
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"356001021_18": "「了解っスッ!」",
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"356001021_19": "「私は、並行世界の危機に際して眠りから覚めた、\\n 防衛システムです」",
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"356001021_20": "「眠りに就く前は、\\n 『アマテラス』と呼称されていました」",
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"356001021_21": "「防衛システム……ッ!\\n ツクヨミさんや、スサノオと同じようなッ!?」",
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"356001021_22": "「なんだ、知ってるのか?」",
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"356001021_23": "「うんッ! ええっとね、ツクヨミさんは調ちゃんで、\\n スサノオはもう1人のわたしが倒しちゃって……」",
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"356001021_24": "「いまいち要領を得ませんね……」",
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"356001021_25": "「私が、説明します」",
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"356001021_26": "「お願いしますッ!」",
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"356001021_27": "「なるほど、アヌンナキが並行世界を護るための……、\\n それで防衛システムというわけですか」",
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"356001021_28": "「テスラを倒してくれるデスかッ!?」",
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"356001021_29": "「スサノオと違い、私は戦う術を持ちません」",
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"356001021_30": "「私の役目は、希望となるルル・アメルの戦士を集めること」",
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"356001021_31": "「ルル・アメルって、人間のことですよね」",
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"356001021_32": "「はい。ルル・アメルの想いは時として、\\n 神にも匹敵する力となります」",
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"356001021_33": "「その可能性のあるルル・アメルに接触し、\\n 集まってもらったのです」",
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"356001021_34": "「より強い想いを持ったルル・アメルを\\n 中心として――」",
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"356001021_35": "「その中心というのが、\\n 先生と一緒にいた、あの翼……」",
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"356001021_36": "「作為的なものを感じてはいたのですが、\\n そういうことでしたか」",
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"356001021_37": "「もはや、猶予はありません」",
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"356001021_38": "「全並行世界に、大量発生するレーベンガーという怪物、\\n エネルギーが枯れ、1つまた1つと消滅していく星……」",
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"356001021_39": "「これは、遠くない未来のビジョンです」",
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"356001021_40": "「未来視も可能なの……」",
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"356001021_41": "「戦うのです。並行世界を護るために――」",
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"356001021_42": "「説明もなく呼び出して戦わせるなんて、\\n なかなか勝手なやつね……」",
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"356001021_43": "「ああ、でも――」",
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"356001021_44": "「アタシたちは、おかげでこうして出会えたデスッ!」",
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"356001021_45": "「うん。だから、立花響を助けに行くことができた」",
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"356001021_46": "「今は、並行世界全体の危機です。\\n なぜ1人の少女の心配を……?」",
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"356001021_47": "「一緒なんだ。誰か1人を護ることも、\\n 世界を護ることも、本当は……」",
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"356001021_48": "「大変ですッ! 治療を終えた立花さんが、\\n エアーキャリアーを抜け出してどこかに行ってしまって……」",
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"356001021_49": "「――ッ!",
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"356001021_50": " わたし、追いかけますッ!」",
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"356001021_51": "「待ってッ!」",
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"356001021_52": "「――ッ!」",
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"356001021_53": "「1人で……行くつもりなの?」",
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"356001021_54": "「……うん。\\n これは、わたしがやらなくちゃいけないことなんだ」",
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"356001021_55": "「1人で戦って……、\\n 勝つことができるの?」",
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"356001021_56": "「そんなの、わからない」",
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"356001021_57": "「でも、この戦いは、\\n わたしが死なせてしまった命に対する贖罪――」",
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"356001021_58": "「そして、あいつらへの復讐なんだ。\\n 未来を奪ったことは、絶対に許さない……ッ!」",
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"356001021_59": "「そのためなら、\\n この命が尽きたって――」",
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"356001021_60": "「ダメだよ……。\\n ……そんなことをしたって、未来はきっと――」",
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"356001021_61": "「じゃあ……ッ!\\n どうしたらいいって言うんだッ!」",
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"356001021_62": "「わかってるッ!\\n 自分の力がちっぽけだっていうことくらいッ!」",
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"356001021_63": "「だけど、他にどうしようもないじゃないかッ!\\n 命1つしか残っていない、このわたしには……ッ!」",
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"356001021_64": "「命しか……。\\n それは、違うよ……ッ!」",
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"356001021_65": "「わたしもね、これまで、苦しいこととか、悲しいこと、\\n たくさんあったんだ……」",
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"356001021_66": "「…………」",
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"356001021_67": "「もうダメだって思ったこともあったし、\\n 逃げ出しちゃったことも……」",
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"356001021_68": "「誰かに、八つ当たりしちゃったこともあったっけ……」",
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"356001021_69": "「だけどね、そのたびに、仲間がわたしを支えてくれた」",
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"356001021_70": "「未来が、翼さんが、クリスちゃんが、マリアさんが、\\n 調ちゃんが、切歌ちゃんが……他にもたくさんの人がッ!」",
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"356001021_71": "「1人じゃないよって、わたしに語りかけてくれたんだ」",
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"356001021_72": "「だからわたしは踏ん張れた。拳を握れたッ!」",
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"356001021_73": "「もしみんながいなかったら、\\n ここまで進むことなんてできなかったと思う」",
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"356001021_74": "「あなたとわたしは、違う……」",
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"356001021_75": "「未来を失ったわたしには、仲間なんて……」",
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"356001021_76": "「いるよッ!\\n だって、一度繋いだ手は、絶対に離れないんだからッ!」",
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"356001021_77": "「繋いだ手、わたしが……」",
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"356001021_78": "「そうデスよッ!」",
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"356001021_79": "「――ッ!\\n みんな……」",
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"356001021_80": "「わたしたちは、みんなどこか欠けていて、\\n 完全じゃないと思う」",
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"356001021_81": "「でも、1人じゃなければ、補い合えるかもしれない」",
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"356001021_82": "「アタシたちは確かに、\\n ヒビキさんと通じ合えたと思っているデス」",
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"356001021_83": "「だから、一緒に戦いたいデス。\\n アタシたちを、仲間と呼んでほしいデスよ……ッ!」",
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"356001021_84": "「――ッ!」",
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"356001021_85": "「これは、同情なんかじゃない……」",
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"356001021_86": "「世界を救えるかどうかだって、今は関係ない」",
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"356001021_87": "「わたしは、あなたの力になりたいんだ」",
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"356001021_88": "「わたしだけど、わたしじゃなくて、\\n だけど未来を想う気持ちの大きさは一緒で……ッ!」",
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"356001021_89": "「だから、友達になりたい。\\n 本当は、それだけなんだよ」",
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"356001021_90": "「…………」",
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"356001021_91": "「わたし1人じゃ、何もできない……」",
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"356001021_92": "「なんとかしようって、頑張ってきたけど、\\n 全然、うまくいかないんだ……」",
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"356001021_93": "「フォルテやララとは、仲間になれると思った。\\n だけど、無理だった……」",
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"356001021_94": "「だから、わたしは仲間なんて作っちゃいけないんだって……」",
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"356001021_95": "「でも本当は、苦しいよ、辛いよ、独りは……」",
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"356001021_96": "「うん。よくわかるよ……」",
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"356001021_97": "「わたしは、歌を捨てた……」",
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"356001021_98": "「あの頃は、大切な人を想って\\n 唄えていたはずなのに」",
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"356001021_99": "「憎しみでいっぱいになったこの胸には、\\n もうなんの歌も浮かんでこない……」",
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"356001021_100": "「だけどみんなが唄う歌は、温かくて……ッ!」",
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"356001021_101": "「こんなわたしにも、『独りじゃない』って、\\n 手を伸ばしてくれているみたいで……」",
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"356001021_102": "「だから――」",
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"356001021_103": "「お願い、助けて……一緒に戦って……ッ!」",
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"356001021_104": "「うん、わかったッ!」",
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"356001021_105": "「わたしたちは、あなたの仲間だよッ!」",
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"356001021_106": "「う……ぐ……うう……ッ」",
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"356001021_107": "(未来の、言う通りだった……)",
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"356001021_108": "「わたしね、響が誰かと一緒にいるのが向いてないなんて、\\n そんなことないと思うな」",
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"356001021_109": "「だって、響と一緒にいたいって言う人がこんなにいるんだもん。\\n もちろん、わたしだってそうだよ」",
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"356001021_110": "(仲間がいる。それがこんなに、心強いなんて……)",
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"356001021_111": "「大丈夫? 落ち着いた?」",
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"356001021_112": "「……泣くつもりなんてなかったのに……。\\n 変なところ見せてごめん」",
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"356001021_113": "「ううん、そんなことないよ」",
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"356001021_114": "「……あのさ、もう1つお願いがあるんだけど」",
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"356001021_115": "「うん、なに……?」",
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"356001021_116": "「……わたしは、テスラを許せない。\\n 未来の仇が討ちたい」",
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"356001021_117": "「……うん」",
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"356001021_118": "「でも、T.E.C.はわたしを家族として迎えてくれた。\\n 騙されていたとしても、絆はあったと思ってる」",
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"356001021_119": "「だから、もし可能だったら、あの人たちも救いたい」",
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"356001021_120": "「どれだけ手を伸ばしても、届くかはわからないけど、\\n それでも、手を伸ばしてみたいって思う」",
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"356001021_121": "「そっか……」",
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"356001021_122": "「敵にも手を伸ばしたいだなんて、わたしは間違ってるのかな?」",
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"356001021_123": "「ううん、間違ってないよ。\\n だってそれが、わたしなんだから」",
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"356001021_124": "――最終章に続く"
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