56 lines
5.3 KiB
JSON
56 lines
5.3 KiB
JSON
{
|
||
"332000911_0": "手を繋ぐ力",
|
||
"332000911_1": "「どうして攻撃の手を止めたんですか?」",
|
||
"332000911_2": "「あの人形に、トドメを刺せたはずデスよ?」",
|
||
"332000911_3": "「…………」",
|
||
"332000911_4": "「まさか……未来さん、\\n 本当に呪われてるデスか?」",
|
||
"332000911_5": "「そんなはず……ないですよね?」",
|
||
"332000911_6": "「…………」",
|
||
"332000911_7": "「未来さん、どうして攻撃を中断したのか、教えてください」",
|
||
"332000911_8": "「2人が操られていた時のようなバイタルの乱れは\\n ありませんし、敵の操作を受けているとも思えません」",
|
||
"332000911_9": "「何か理由があって攻撃をためらったんですよね?」",
|
||
"332000911_10": "「それは……」",
|
||
"332000911_11": "「話してもらえるか?」",
|
||
"332000911_12": "「君には君の考えがあるのだろう。だが、話さなければそれは\\n 伝わらない。だから聞かせてくれ」",
|
||
"332000911_13": "「……はい」",
|
||
"332000911_14": "「落とし穴に落ちたあと、\\n 気がついたらとても暗い部屋にいて……」",
|
||
"332000911_15": "「そこで、大事にしていた響の人形が無いことに気づいたんです」",
|
||
"332000911_16": "「それを必死に探していたら、\\n 目の前に、アナベル人形があって」",
|
||
"332000911_17": "「突然、そのアナベル人形が\\n あの女の子の姿に変わったんです」",
|
||
"332000911_18": "「女の子は、わたしに何かを差し出してきて――」",
|
||
"332000911_19": "「はじめは、\\n わたしを呪おうとしているのかと思ったんですが……」",
|
||
"332000911_20": "「女の子の手には、わたしが無くした響の人形があって、\\n 多分拾ってくれたんだと思います」",
|
||
"332000911_21": "「わたしは、戸惑いながらも、\\n 女の子から人形を受け取りました」",
|
||
"332000911_22": "「その時、響の人形ごしに触れて見えたんです。\\n あの少女――ううん、アナベル人形の、心が――」",
|
||
"332000911_23": "「……ありがとう。\\n これ、大事なものなの」",
|
||
"332000911_24": "「…………」",
|
||
"332000911_25": "「ッ!?」",
|
||
"332000911_26": "『だれも呪いたくない……』",
|
||
"332000911_27": "『わたしは、ただ、ご主人さまの傍にいたいだけ……』",
|
||
"332000911_28": "『だれも傷つけたくないのに……どうして……』",
|
||
"332000911_29": "『こんなことなら、ずっと、眠っていればよかった……』",
|
||
"332000911_30": "『ごめんなさい……ごめんなさい……』",
|
||
"332000911_31": "(今のは……?)",
|
||
"332000911_32": "(この子の……、ううん、違う。\\n これは人形の記憶……?)",
|
||
"332000911_33": "「……そうだったんだ」",
|
||
"332000911_34": "「あなた自身が、アナベル人形、そのものなんだ」",
|
||
"332000911_35": "「そして、あなたはあの女の子の姿を借りて、\\n 今まで――みんなを助けようと……」",
|
||
"332000911_36": "「……(こく)」",
|
||
"332000911_37": "「…………」",
|
||
"332000911_38": "「どうしてそんな変化が起こったのかはわかりません。\\n 持ち主の女の子を取り込んだせいなのかも……」",
|
||
"332000911_39": "「だけどとにかく、あの人形自身も人の傍にいたいって、\\n 望んでたんです。殺すんじゃなくて、ただ傍にって……」",
|
||
"332000911_40": "「けれど哲学兵装化した概念は、それこそ呪いのままで……」",
|
||
"332000911_41": "「だから、自身に呪われた人が殺されないように、\\n 哲学兵装化した呪いから、被害者たちを隠してたって……」",
|
||
"332000911_42": "「まさか、アナベル人形が人を助けようとしていたとは……」",
|
||
"332000911_43": "「人形の意志が……哲学兵装とは別の意識になるだなんて……」",
|
||
"332000911_44": "「えーと、結局はどういうことなんデス?」",
|
||
"332000911_45": "「あの人形の中には女の子と融合したいい人形と、\\n 悪い人形の意識があるってことみたい」",
|
||
"332000911_46": "「いい人形っていうのは、元のアナベル人形で――」",
|
||
"332000911_47": "「悪い人形っていうのは、\\n 人の認識のせいで呪いを帯びてしまった部分のこと」",
|
||
"332000911_48": "「うん、だからわたし……、\\n とっさにあの人形を破壊できなくて……」",
|
||
"332000911_49": "「哲学兵装化した呪いだけを倒せるなら、そうしたいんです。\\n でも、さっきの方法では……」",
|
||
"332000911_50": "「……なるほど、そういうことか」",
|
||
"332000911_51": "「……確かに、先ほどの戦いで未来さんが最後の一撃を放てば、\\n アナベル人形は破壊されていたでしょう」",
|
||
"332000911_52": "「呪いの意識と、人形本来の意識は時折入れ替わるみたいで、\\n あの子自身はわたしのことも、助けてくれたんです」",
|
||
"332000911_53": "「……だから、わたしは、女の子だけじゃなく、\\n アナベル人形も助けたい」"
|
||
} |