{ "206110311_0": "マジックランプドリーム⓷", "206110311_1": "「んッ……」", "206110311_2": "(あれ? ここは……、ベッド?)", "206110311_3": "(さっきまでいた場所は……夢……?)", "206110311_4": "「セレナ、もう起きなさい」", "206110311_5": "「姉さん……?」", "206110311_6": "「どうしたの? ボーッとしちゃって」", "206110311_7": "「夢を見ていた気がするんだけど……、\\n どんな夢だったか思い出せなくて……」", "206110311_8": "「夢もいいけど、これ以上遅くなると初日から遅刻するわよ?」", "206110311_9": "「遅刻って、どういうこと?」", "206110311_10": "「まだ寝ぼけているの……?\\n 今日から学院に通うことになったんじゃない」", "206110311_11": "「学院に……えッ……ええッ!?」", "206110311_12": "「わたしッ、学院に通えるのッ!?」", "206110311_13": "「フフ、今さらどうしたの?\\n 特別編入が認められたって、あんなに喜んでいたじゃない」", "206110311_14": "「そうだったっけ……。\\n うわぁ……嬉しいな……」", "206110311_15": "「ご飯の準備はできているわよ。\\n 早く顔を洗って、目を覚ましてらっしゃい」", "206110311_16": "「うんッ!」", "206110311_17": "「おはようデースッ!\\n お迎えに来たデスよッ!」", "206110311_18": "「おはよう。準備はできた?」", "206110311_19": "「ああッ! セレナが制服を着ているデスッ!」", "206110311_20": "「変じゃないでしょうか……?」", "206110311_21": "「すごく似合ってる」", "206110311_22": "「とってもかわいいデスよッ!」", "206110311_23": "「あ、ありがとうございます……」", "206110311_24": "「それじゃあ、気を付けていってらっしゃい。\\n 2人とも、セレナのことよろしくね」", "206110311_25": "「了解デースッ!」", "206110311_26": "「行ってきますッ!」", "206110311_27": "「セレナにとって、初めての学院だね」", "206110311_28": "「はい。だから、楽しみだけどすごく緊張もしています」", "206110311_29": "「安心するデス。\\n わからないことがあったら先輩のアタシたちになんでも聞くデスッ!」", "206110311_30": "「はいッ。よろしくお願いします、暁先輩、月読先輩」", "206110311_31": "「暁先輩……素敵な響きデスッ!\\n クリス先輩がにやけ顔になるのも納得デスッ!」", "206110311_32": "「セレナはわたしたちと同じクラスだよ。\\n だから、今まで通りに呼んでね」", "206110311_33": "「フフッ。そうでした」", "206110311_34": "「えーッ!もう1回ッ、もう1回だけ\\n 暁先輩って呼んでほしいデスッ!」", "206110311_35": "「抜き打ちで小テストがあるなんて、\\n 聞いてなかったデス……全然できなかったデス……」", "206110311_36": "「抜き打ちじゃないよ。\\n ちゃんと前回の授業で告知してた」", "206110311_37": "「そうだったデスか……?」", "206110311_38": "「セレナも、初日から小テストだなんて\\n ツイてなかったデスね」", "206110311_39": "「でも、安心するデスッ! 追試はアタシも一緒デスッ!」", "206110311_40": "「あの、あくまで自己採点ですけど……、\\n 追試ではないと思います」", "206110311_41": "「ええッ!?」", "206110311_42": "「研究所で、マムから勉強を教わっていたので……」", "206110311_43": "「個別家庭教師デスかッ!?\\n 先輩としての威厳が、どんどん消えていくデス……」", "206110311_44": "「切ちゃんはまず、ちゃんと授業を聴こう?」", "206110311_45": "「学院の感想はどう?」", "206110311_46": "「みんなで勉強をしたり、唄ったり……。\\n 今までしたことのないことばかりで、とっても楽しいですッ!」", "206110311_47": "「食堂には、おいしいスイーツもありました」", "206110311_48": "「フフ、気に入ったみたいでよかった」", "206110311_49": "「放課後はどうするデスか?」", "206110311_50": "「決めてなかったね」", "206110311_51": "「あッ! セレナの歓迎会ということで、\\n カラオケに行くのはどうデスかッ!?」", "206110311_52": "「ありがとうございますッ!」", "206110311_53": "「でも……、S.O.N.G.に行かなくてもいいんですか?」", "206110311_54": "「S.O.N.G.の任務は、もう無いよ」", "206110311_55": "「えッ!? そうなんですか?\\n ノイズや、アルカ・ノイズは……」", "206110311_56": "「もう2度と出てくることはないデス。みんなで頑張って\\n 戦ったおかげで、平和な世界になったんデスよ」", "206110311_57": "「もう、戦わなくてもいいんデス」", "206110311_58": "「そう……だったんですか」", "206110311_59": "(戦わなくてもいい……?\\n もうシンフォギアを纏う必要が無いなんて、信じられない……)", "206110311_60": "(でも、もし本当だったら……)", "206110311_61": "「あれ……朝……?」", "206110311_62": "(覚えてる、砂漠の風景……。\\n あれは……?)", "206110311_63": "「んん……」", "206110311_64": "(いつも通り、切ちゃんがとなりで寝てる。\\n やっぱりあれは、ただの夢だったのかな?)", "206110311_65": "「はい、月読です」", "206110311_66": "「緊急事態だ。アルカ・ノイズが出現した」", "206110311_67": "「召集ですね」", "206110311_68": "「ああ。他の装者たちも、本部に向かっている。\\n 調くんたちも至急、向かってくれ」", "206110311_69": "「わかりました」", "206110311_70": "「ん……しらべ……?」", "206110311_71": "「切ちゃん、起きてッ!」", "206110311_72": "「アルカ・ノイズが出現したのは街の北側と南側の2箇所。\\n お前たちはふたつのチームに分かれ、対処に当たってくれ」", "206110311_73": "「南側は翼、クリスくん、響くん。\\n 北側は調くん、マリアくん、切歌くんの編成だ」", "206110311_74": "「翼と調くんが、\\n リーダーとしてそれぞれ現場の指揮を執ってくれッ!」", "206110311_75": "「わたしがッ!? マリアじゃなくて……?」", "206110311_76": "「ああ、今までの実績を考慮して、\\n 今回は調くんが適任だと判断した」", "206110311_77": "「わたしも賛成よ。\\n あなたならできる。自信を持って」", "206110311_78": "「調、よろしくデスッ!」", "206110311_79": "「わかりました。やってみます……」", "206110311_80": "「ああ、期待しているぞ。\\n それでは、出動だッ!」", "206110311_81": "「もうあんなとこまで、アルカ・ノイズが……。\\n 街まで、目と鼻の先デスッ!」", "206110311_82": "「数も思った以上に多いわね。\\n たった3人でどう止めれば……」", "206110311_83": "「こういう時は……、\\n とにかく手当たり次第に攻撃デ―ースッ!」", "206110311_84": "「待ってッ!\\n アルカ・ノイズを、まとめて倒す方法があるかも……」", "206110311_85": "「作戦を考えたデスかッ!?」", "206110311_86": "「この状況で、止める方法があると言うの?」", "206110311_87": "「うん。この3人なら、できるはず。\\n その方法は……」", "206110311_88": "「みんな、よくやったッ!」", "206110311_89": "「特に、調くん。難しい状況の中で、見事な指揮だったな」", "206110311_90": "「ありがとうございます」", "206110311_91": "「スーパーの建設予定地におびき出すなんて作戦、\\n アタシはぜんぜん思いつかなかったデス」", "206110311_92": "「あんなところに広い更地があるなんて、よく知っていたわね」", "206110311_93": "「安い食材を求めて、いろいろなところに行ってるから」", "206110311_94": "「でも、作戦がうまくいったのは2人のおかげ」", "206110311_95": "「調くん、少しいいか?」", "206110311_96": "「はい」", "206110311_97": "「これは前々から考えていたことなんだが、\\n 今回の件で決心がついた」", "206110311_98": "「今後、調くんには俺の補佐に就いてもらいたい」", "206110311_99": "「司令補佐ッ!? わたしがですか?\\n どうして……」", "206110311_100": "「S.O.N.G.を取り巻く政情は、とても不安定でな……」", "206110311_101": "「このまま司令を務めていたいのは山々だが、\\n 正直なところ、いつまで続けられるかは分からない」", "206110311_102": "「そんな時、俺に代わってみなを導く存在が必要だ」", "206110311_103": "「ですが、みんなが納得してくれるでしょうか?」", "206110311_104": "「既に意見は聞いてある。\\n 反対するものは1人もいなかったよ」", "206110311_105": "「みな、君の力を認め、高く評価し、\\n 司令補佐としての働きに期待している」", "206110311_106": "「わたしが認められ、期待されている……」", "206110311_107": "「わかりました。司令補佐の任務、引き受けますッ!」", "206110311_108": "「ああ、よろしく頼んだぞッ!」", "206110311_109": "(司令補佐……、わたしなんかに務まるのかな?)", "206110311_110": "(ちょっと不安だけど……、でもみんなに期待されてる)", "206110311_111": "(……みんなに頼ってもらえるように、がんばろう)", "206110311_112": "「朝……か……」", "206110311_113": "(夢の中で、願いを叶えるとか言われたような……。\\n ダメだ、うまく思い出せないな……)", "206110311_114": "(そもそもあれは、本当に夢だったのか……?)", "206110311_115": "「うわッ!? なんだよ、うるさいな……」", "206110311_116": "「朝からなんの用だ?\\n セールスだったらお断り……」", "206110311_117": "「お迎えに参りましたよッ!!」", "206110311_118": "「お、お前はッ!?\\n あの時、死んだはずじゃ……」", "206110311_119": "「勝手に死んだことにしないでください。\\n この敏腕プロデューサーを」", "206110311_120": "「どういうことだ?」", "206110311_121": "「それより、プロデューサーッ!?\\n お前、寝ぼけてるんじゃないだろうな……」", "206110311_122": "「あなたこそ、寝ぼけているんですか?\\n あなたは今日、この敏腕プロデューサーの手によって」", "206110311_123": "「歌手デビューするんですよッ!!」", "206110311_124": "「はああッ!? あたしが歌手って、そんなわけ……」", "206110311_125": "「まったく、今さら怖くなったとでも言うのですか?\\n 無駄ですよ。契約書にサインしたのは覚えているでしょう?」", "206110311_126": "「そう……だったか?」", "206110311_127": "「そんなことより、大事なレコーディングに遅れますッ!\\n さあ、行きますよッ!」", "206110311_128": "「レコーディングッ!?\\n ま、待て、ひっぱるなってッ! 分かった、行くから――……」", "206110311_129": "「ここがレコーディングスタジオか……」", "206110311_130": "「浮かない顔してどうしたんですか?\\n 設備に不満でも?」", "206110311_131": "「そういうわけじゃなくて……」", "206110311_132": "「こんな大きなスタジオで、スタッフもたくさん聴いてるのに\\n 唄うなんてあたしには……」", "206110311_133": "「この程度のスタジオがなんですか。\\n 僕の手にかかれば、あなたは必ず人気歌手になれます」", "206110311_134": "「そうすれば、もっと大きな会場、\\n そして大勢の観客の前で唄うことになるでしょう」", "206110311_135": "「そんなの、余計ムリ……」", "206110311_136": "「例えば、あの風鳴翼のようにッ!」", "206110311_137": "「……ッ!」", "206110311_138": "「あんな風に、大観衆を魅了したいとは思わないのですか?」", "206110311_139": "(テレビで観た先輩のライブ……すごかったな……。\\n みんなの視線を集めて、堂々と唄ってた……)", "206110311_140": "(一体、どんな気持ちなのかな……)", "206110311_141": "「わかった。やってやるッ!\\n その代わり、責任は取れよな、敏腕プロデューサーッ!」", "206110311_142": "「最高の歌声でしたよ。\\n やはり、あなたは僕の見込んだ通りの歌姫です」", "206110311_143": "「やっと終わったか……」", "206110311_144": "「さあッ! では次に、ジャケット撮影といきましょうかッ!」", "206110311_145": "「なんだとッ!?」", "206110311_146": "「この衣装はどうでしょう」", "206110311_147": "「却下だッ!」", "206110311_148": "「では、これは?」", "206110311_149": "「これも却下ッ!」", "206110311_150": "「これもなかなかイイですねえ」", "206110311_151": "「派手すぎだろッ! もっと普通のは無いのかッ!?」", "206110311_152": "「これなら文句は無いでしょう。\\n 歌の雰囲気にも合っていますし」", "206110311_153": "「これならまあ……。ったく、衣装選びだけで\\n なんでこんなに疲れなきゃいけないんだ……」", "206110311_154": "「フフ……クックック……」", "206110311_155": "「な、なんだよ……気味悪いな……。\\n 曲が売れなさ過ぎておかしくなったのか?」", "206110311_156": "「大・ヒ・ッ・ト・ッ!!」", "206110311_157": "「デビュー曲『教室モノクローム』は\\n 早くもミリオン達成ですッ!」", "206110311_158": "「そ、そんなに売れてるのか……ッ!?」", "206110311_159": "「他でもないこの僕のプロデュースです。\\n 当然と言えば当然ですけどねえッ!」", "206110311_160": "「……ま、よかったな。\\n あとのことは、お前に任せるよ」", "206110311_161": "「何を、のんきなことを言っているのですか。\\n 歌姫雪音クリスはまだ始まったばかりですよ」", "206110311_162": "「え……?」", "206110311_163": "「次は、いよいよッ!\\n ステージでのスペシャルライブですッ!!」", "206110311_164": "「ライブ……ッ!?」", "206110311_165": "(そんなこと、あたしにできるのか……ッ!?)", "206110311_166": "(でも、レコーディングのあの日……思いっきり唄って、\\n 気持ちよかった。まるで学園祭のあの日みたいに……)", "206110311_167": "(あの時より、もっと大きなステージで唄ったら、きっと……)", "206110311_168": "「やあ、どうも」", "206110311_169": "「みなさんはもうお気づきかもしれないが、\\n 3人はまだ夢を見ている途中……」", "206110311_170": "「続きが気になるところだが、今回はここまで」", "206110311_171": "「彼女たちの願いは叶うのか……。\\n 続きはまた次回、お見せするとしよう」", "206110311_172": "「それでは、ご機嫌よう……」" }