{ "206110211_0": "マジックランプドリーム②", "206110211_1": "「戻りました」", "206110211_2": "「ああ。何かわかったか?」", "206110211_3": "「この先でノイズとアルカ・ノイズが、待ち構えています」", "206110211_4": "「そんな……」", "206110211_5": "「でも、途中に迂回路を見つけました。\\n そこから進めば戦闘を回避できそうです」", "206110211_6": "「ナイスだッ! そっちから進もう。\\n 無駄に戦って洞窟が崩れたらヤバいからな」", "206110211_7": "「そうですね」", "206110211_8": "「それでは、行きましょう」", "206110211_9": "「すごいな……財宝が山になってる……」", "206110211_10": "「これを持ち帰れば……」", "206110211_11": "「待ってください。こういうのは、大抵トラップです。\\n ランプだけ持ち帰りましょう」", "206110211_12": "「持ち帰れたとしても、夢ですしね」", "206110211_13": "「……」", "206110211_14": "「どうしたんですか?」", "206110211_15": "「いや、お前たちと一緒だと話がスムーズだなと思って」", "206110211_16": "「え?」", "206110211_17": "「もし、これがあいつらだったら……」", "206110211_18": "「クリスちゃん、見て見てッ!\\n きれいなお宝がいっぱいだよッ!」", "206110211_19": "「金のフンコロガシもいっぱいデスッ!」", "206110211_20": "「ひとつ未来へのお土産にしちゃダメかなあ」", "206110211_21": "「売れば調においしいものを食べさせてあげられるデスッ!\\n こんなにあるんだから1つくらい……」", "206110211_22": "「洞窟が崩れる……ッ!」", "206110211_23": "「罠だったんデスかッ!?」", "206110211_24": "「うわーッ!!」", "206110211_25": "「って感じになる気がする……」", "206110211_26": "「ランプが出てくる前に物語が終わっちゃいましたね……」", "206110211_27": "「切ちゃん、わたしのために……」", "206110211_28": "「寒ッ……急に冷えてきたな」", "206110211_29": "「きっとあれのせいです。\\n 洞窟の奥に氷の柱が……」", "206110211_30": "「あッ! 氷の中に、ランプがッ!」", "206110211_31": "「よしッ、ついに見つけたなッ!」", "206110211_32": "「なんて大きな柱……」", "206110211_33": "「ちょっとやそっとじゃ、壊せそうにないね」", "206110211_34": "「氷の封印ってわけか」", "206110211_35": "「どうしましょう……」", "206110211_36": "「こういう時は、力ずくだなッ!」", "206110211_37": "「ええッ!?\\n 中のランプが壊れたりしないでしょうか……?」", "206110211_38": "「なんとかなるだろ。夢だしな」", "206110211_39": "「そうですね、夢ですし」", "206110211_40": "(だ、大丈夫かな……?)", "206110211_41": "「カウントゼロで一斉に攻撃するぞ。\\n 3、2、1……」", "206110211_42": "「はあああああ――ッ!!」", "206110211_43": "「あッ! 氷が割れましたッ!」", "206110211_44": "「氷の封印も、たいしたことないなッ!\\n 魔法のランプ、ゲットだッ!」", "206110211_45": "「あれ? このランプ……。\\n 何か見覚えがあるような……?」", "206110211_46": "「言われてみれば、どこかで……」", "206110211_47": "「――うわッ!? 新手の敵かッ!?」", "206110211_48": "「いやいや、違うよご主人。\\n 私はランプの魔神。お嬢さんたちの敵じゃない」", "206110211_49": "「ランプの魔神ッ!?\\n 本当に出てきた……」", "206110211_50": "「まずはご主人たちに、お礼と助言が言いたくてね」", "206110211_51": "「お礼と助言?」", "206110211_52": "「まずはお礼だ。長年封印されていた結界から\\n 出してくれてありがとう」", "206110211_53": "「どれくらい封印されていたんですか?」", "206110211_54": "「ざっと200年くらいかな。\\n 狭いランプの中、ヒマでしょうがなかったよ」", "206110211_55": "「200年……そりゃ大変だったな」", "206110211_56": "「ああ、言葉にするだけでは伝えきれない……。\\n というわけで、こちらをサービスしようッ!」", "206110211_57": "「な、なんだッ!?」", "206110211_58": "「これは……ッ!?」", "206110211_59": "「シュルシャガナが、すごく派手に……」", "206110211_60": "「先程までの格好は、アラビアンナイトに\\n ふさわしくなかったからね」", "206110211_61": "「魔神がわたしたちの心象を変化させてギアが変わったってこと……?」", "206110211_62": "「……なんつーか、さすが魔神だな……」", "206110211_63": "「よく見ると、綺麗で可愛いです。\\n 姉さんにも見せたいな……」", "206110211_64": "「わたしも、切ちゃんに見せたい」", "206110211_65": "「気に入ってくれたなら何よりだ」", "206110211_66": "「さて、次に助言だな」", "206110211_67": "「あの氷の柱は、この洞窟を支える、言わば大黒柱。\\n それを失ったこの洞窟は、間もなく崩れるだろう」", "206110211_68": "「は? 崩れ……」", "206110211_69": "「礼よりも、そっちを先に言えーッ!」", "206110211_70": "「悪かったよ。ご主人たちに早く喜んでほしくて……」", "206110211_71": "「このままじゃ生き埋めです……ッ!」", "206110211_72": "「急ぎましょうッ!」", "206110211_73": "「なんとか……ギリギリ、間に合ったな……」", "206110211_74": "「夢とは言え、もうダメかと思いました……」", "206110211_75": "「このギア、砂漠でも機動力が落ちないみたい。\\n もし通常のギアだったら……」", "206110211_76": "「疲れているところすまないが、ご主人たち。\\n 客人のようだよ」", "206110211_77": "「ノイズたちに囲まれた?」", "206110211_78": "「待ち伏せッ!? これは……」", "206110211_79": "「まさか本当にランプを持ち帰ってくれるとは……」", "206110211_80": "「騙されているとも知らず、ご苦労だったなッ!」", "206110211_81": "「……正直この展開はだいたい分かっていたけどな」", "206110211_82": "「それより、なんであんたが\\n ノイズやアルカ・ノイズを従えてるんだ?」", "206110211_83": "「ノイズ? アルカ・ノイズ? 下級精霊たちのことか?」", "206110211_84": "「下級精霊?\\n ……なるほど、夢だからそういう設定なのかな」", "206110211_85": "「じゃあ、さっき襲われていたのは……」", "206110211_86": "「芝居だよ。封印を破る力を持った者を誘い出すためのな。\\n なかなか迫真の演技だったろう?」", "206110211_87": "「ちなみに、おかしなことは考えない方がいいぞ。\\n 下級精霊の数は先ほどの比じゃないからな」", "206110211_88": "「大人しく、ランプを渡して死んでもらおうかッ!」", "206110211_89": "「ハッ! 欲しいなら奪ってみな」", "206110211_90": "「このギアの試運転にはちょうどいい」", "206110211_91": "「人を陥れるような大人には負けませんッ!」", "206110211_92": "「あ、あれだけいた下級精霊が、\\n 全滅しただと……ッ!?」", "206110211_93": "「弱すぎて、試運転にもならなかったな」", "206110211_94": "「ばッ、化け物どもめッ!\\n 覚えてろッ、ランプは必ず頂くからなッ!」", "206110211_95": "「逃げちゃいましたけど、いいんですか?」", "206110211_96": "「ほっといても問題ないだろ。\\n 脇役っぽい捨て台詞だったし」", "206110211_97": "「さすがご主人、お強い」", "206110211_98": "「お前、どこに隠れてたんだよ?」", "206110211_99": "「ランプの中だが、何か?\\n それよりも本題といこう」", "206110211_100": "「本題? まだ何かあるの?」", "206110211_101": "「私は願い事を叶えることができる。\\n ご主人たちの願いを叶えるのが私の務めだ」", "206110211_102": "「そういや、魔神と言えばそれだよな」", "206110211_103": "「それって、どんなお願いでも、ですか?」", "206110211_104": "「もちろん。それが心からの願いであれば、\\n 叶えられないものは無い」", "206110211_105": "「ご主人たち。どうぞ私に、願いを告げてくれ」", "206110211_106": "「願いって……そんな急に言われても……」", "206110211_107": "「たしかに……。いざ、願いを告げてくれと言われると、\\n 出てきませんね」", "206110211_108": "「姉さんに会う前だったら、会いたいって\\n 願うところでしたけど……今は……」", "206110211_109": "「おや、欲の無いことを。しかし私の封印は、\\n 強い願いを持つ者にしか解けないもの」", "206110211_110": "「ご主人たちの心には、望んでやまない願いがあるはず……」", "206110211_111": "「そんなもの……」", "206110211_112": "「やっぱり、叶えてほしい願いなんて無い」", "206110211_113": "「はい。今のままでも十分……」", "206110211_114": "「なるほど。では覗かせてもらおう。\\n ご主人たちが自覚していない、心の奥底の願いを……」", "206110211_115": "「そしてその願いを、叶えてさしあげようッ!」", "206110211_116": "「おい、待てッ! 勝手なことするなッ!」", "206110211_117": "「アブラ・カダーブラッ!」" }