{ "202001211_0": "おるすばん②", "202001211_1": "響を信じてはいるものの、未来の心配は一向に収まらない。", "202001211_2": "響が困っているなら力になりたい。そう想う未来は、", "202001211_3": "いつも以上に、響を注意深く観察するのだが――。", "202001211_4": "(…………)", "202001211_5": "「ふむふむ……ッ!」", "202001211_6": "(響、今日はちゃんと授業受けてる……)", "202001211_7": "(響が……何をやっているのかは知らないけど、\\n いくらか元気になったみたいで、良かった……)", "202001211_8": "(でも、まだ胸のモヤモヤは取れない……)", "202001211_9": "(知らない間に、響に置いて行かれちゃうみたいな気がして……)", "202001211_10": "「――と、言うわけで、藤原氏が政治の実権を握るようになって\\n いきました。藤原氏が就いた要職から、この政治形態を――」", "202001211_11": "(ねえ、響)", "202001211_12": "(わたしは今も、響の帰る場所でいられてるのかな……?)", "202001211_13": "「――さん、小日向さん?」", "202001211_14": "「え、あ……はい」", "202001211_15": "「この政治形態をなんと呼ぶか、分かりますか?」", "202001211_16": "「……その……」", "202001211_17": "「未来、26ページだよ」", "202001211_18": "「せ、摂関政治です……ッ!」", "202001211_19": "「まあ……いいでしょう。\\n 小日向さん、授業はきちんと聞いて下さいね」", "202001211_20": "「すみません……」", "202001211_21": "「ふ~、今日の授業も終わった終わった。それにしても」", "202001211_22": "「なに? 響」", "202001211_23": "「珍しいね。未来が授業で注意されるなんて」", "202001211_24": "「それは――」", "202001211_25": "(響のせいなんだから……)", "202001211_26": "「――うん、ちょっと心配事があって」", "202001211_27": "「心配事? 未来のためなら何だってわたしが解決するよー」", "202001211_28": "「あはは……、ありがとう。響」", "202001211_29": "(その響の事で、わたしは心配してるんだけどな……)", "202001211_30": "(でも、いい機会かもしれない。モヤモヤしたものを抱え続ける\\n くらいなら、響に直接聞いてみたほうが……いいのかも)", "202001211_31": "「あのね、響――」", "202001211_32": "「――ッ!」", "202001211_33": "「…………」", "202001211_34": "「ごめん、未来。わたし行かなきゃ」", "202001211_35": "「……うん。いってらっしゃい」", "202001211_36": "「それじゃッ! 夜までにはきっと戻るからね~ッ!」", "202001211_37": "「響……」", "202001211_38": "「日本政府、特異災害対策機動部よりお知らせします」", "202001211_39": "「先ほど、特別避難警報が発令されました。すみやかに、\\n 最寄りのシェルター、または退避所へと、避難してください」", "202001211_40": "「またノイズ……そういえば最近、響が出かける前後に\\n ノイズ警報が入ることが多い気がする……」", "202001211_41": "「響、危ないこと、してないよね……?」", "202001211_42": "「たッ! はあッ!」", "202001211_43": "(未来、何を悩んでるのかな……。力になれたらいいのに……)", "202001211_44": "「帰ったら未来に――」", "202001211_45": "「ぐ――ッ!?」", "202001211_46": "「何をしてるッ! 響くん、戦闘に集中するんだッ!」", "202001211_47": "「は、はいッ! すみませんッ!」" }