{ "202000322_0": "「はあ――ッ!」", "202000322_1": "「はぁ、はぁ、はぁ……ッ! まだ、来るか……ッ!?」", "202000322_2": "「周辺のノイズ、殲滅を確認しました」", "202000322_3": "「どうやら、片付いたようだな。これで――」", "202000322_4": "「――ッ! 翼さんッ!?」", "202000322_5": "「翼ッ! 意識喪失した翼の回収を急げッ!」", "202000322_6": "「…………」", "202000322_7": "「――わたしは、悔いている」", "202000322_8": "「2年前のあの日、わたしにもっと力があれば」", "202000322_9": "「避けられたかもしれない。\\n 片翼を失うことがなかったかもしれない」", "202000322_10": "「たとえ力が及ばなかったとしても、奏に絶唱を使わせる事無く、\\n わたしが唄えば良かった……」", "202000322_11": "「ノイズは奏の家族と、そして他ならぬ奏自身の仇。だから、\\n わたしが奏の代わりに討たねばならないんだ……ッ!」", "202000322_12": "「――司令」", "202000322_13": "「翼、もういいのか。体の調子はどうだ」", "202000322_14": "「あれしきの事で倒れてしまうとは、不覚でした」", "202000322_15": "「たった1人であの大群のノイズを殲滅したんですから、\\n 翼さんは立派でしたよ」", "202000322_16": "「でも、無茶しすぎよ。\\n 私たちだってバックアップするんだから、退く時は退かないと」", "202000322_17": "「了子くんの言う通りだ。\\n まずは自分の命を大切にすることを――」", "202000322_18": "「いえ。わたしが弱かったのがいけないのです」", "202000322_19": "「翼さん……」", "202000322_20": "「翼、あの日のことは――奏の事はお前のせいじゃない」", "202000322_21": "「――ッ」", "202000322_22": "「……だから全てを自分1人で背負い込もうとするな。人の命を\\n 守るためには、まず自分自身を守らねばならないのだから」", "202000322_23": "「奏に無理をさせてしまったのは、\\n わたしの力が足りなかったからです」", "202000322_24": "「過ちを繰り返さぬために、\\n わたしはもっと、この剣を研ぎ澄まさねばならない……」", "202000322_25": "「翼、それは違うッ! お前に至らぬところなど無かった。\\n あれは不幸な事故だ」", "202000322_26": "「あの時奏の傍にいたわたしには、そうは思えません。\\n ――もう行きます」", "202000322_27": "「…………」", "202000322_28": "「…………」", "202000322_29": "「翼……」", "202000322_30": "「く……ッ! あんな子供に何もかも背負わせて……俺たちは\\n どうしてこんなに無力なんだ――ッ!」」" }