{ "337000321_0": "「……」", "337000321_1": "「どうやら無事なようだな」", "337000321_2": "「あたしら以上に頑丈なくせに、心配かけやがって」", "337000321_3": "「――翼さん、クリスちゃん……\\n 何が、どうなって――?」", "337000321_4": "「わたしたちも、\\n 気がついたらここに寝かされていたのだ」", "337000321_5": "「限界超えてぶっ倒れてしまったあたしらは――\\n どうやらあの子に助けられたらしい」", "337000321_6": "「――あの子?」", "337000321_7": "「お待たせしました。\\n 冷たいお水ですけど、温かいお茶の方が良かったでしょうか?」", "337000321_8": "「えっと――\\n たしか、あなたは……」", "337000321_9": "「もしかすると、流れに流されて――\\n ちゃんとご挨拶をしていなかったかもしれません」", "337000321_10": "「わたしは、一年生の灰島友鈴(はいじま ゆうりん)。\\n 転校生の皆さんとは、生徒会室で何度かお会いしましたよね」", "337000321_11": "「風鳴翼――薹が立っているように見えるかもだが一応二年生だ。\\n 決して怪しいモノではない」", "337000321_12": "「先輩――あ、いや、ここでは同級生の先輩――\\n その物言いが逆に怪しすぎますって……」", "337000321_13": "(同級生の先輩ッ!?)", "337000321_14": "(いつにも増して耳慣れないニホンゴで、\\n クリスちゃんが翼さんの怪しさをますます加速させて――)", "337000321_15": "「あ、あたしの名前は雪音クリス。\\n そして、さっき目が覚めたこいつの名前は――」", "337000321_16": "「――ッ!!?」", "337000321_17": "「ハングリー・アポカリプス・ナウこと、\\n 最新の食欲魔人さんだ」", "337000321_18": "「ひどいッ、わたしの名前は立花響だよッ!\\n 今日は名前だけでも覚えて帰ってくださいね……」", "337000321_19": "「待ってください。情報の洪水をわっと一気に浴びせかけるのは。\\n それに――帰るも何も、ここがわたしの家なのですが……」", "337000321_20": "「灰島の家――?\\n では、君がわたしたちを……」", "337000321_21": "「はい。大きな音がしたので様子を見に出てみれば――\\n 皆さんが倒れていましたので……」", "337000321_22": "(……大きな音……)", "337000321_23": "(……おそらくは、メックヴァラヌスとの交戦時……)", "337000321_24": "「――まさかの天丼とはッ!!?」", "337000321_25": "「さすがに天丼はご用意できないのですが、\\n 大きな音がしましたので、ご飯の準備に取り掛かりますッ!」", "337000321_26": "censored", "337000321_27": "「あったかいごはん&ごはんに加え、\\n あったかいお風呂までいただけるなんて――」", "337000321_28": "「…………」", "337000321_29": "「……雪音、それは浮いているのか?\\n 手を使わずとも、浮かせているのか……?」", "337000321_30": "「もしかすると、危機また危機の連続状況に開花した、\\n あたしの念動力――超能力戦士の誕生かもですよ、先輩」", "337000321_31": "「――ザシャアッ!!」", "337000321_32": "「お先に上がりまーす。\\n 翼さんとクリスちゃんも、のぼせないうちにですよ」", "337000321_33": "「――わ、下着も、制服もッ!?」", "337000321_34": "「お洗濯と乾燥――簡単にですが、\\n 食事とお風呂の間に済ませておきました」", "337000321_35": "「本当は部屋着をご用意したかったのですが、\\n わたしのサイズではどうかと思いましたので――」", "337000321_36": "「ううん、とても助かってるッ!\\n 本当にありがとう、灰島さんッ!」", "337000321_37": "「ゆっくりしていってください」", "337000321_38": "「いいねぇ、天井と壁のある生活……\\n 失くしたのはほんの数日だったけど、ありがたみを実感するよ」", "337000321_39": "「ああ、追い詰められてあらためて理解した。\\n 装者の戦いとは、やはり銃後に支えられてこそなのだな」", "337000321_40": "「真綿で縊られるような感覚……\\n ああいう攻められ方はもう――コリゴリだ」", "337000321_41": "「もし良ければ――\\n 今、何が起きているのかを教えてくれませんか?」", "337000321_42": "「並行世界に孤立して――敵と味方が解らない状況で……\\n ……この子はどこまで信じられるのか……?」", "337000321_43": "「もしも敵だとしたら、わたしたちが倒れている隙に……\\n 信じようよ――疑うより、ずっとその方が……」", "337000321_44": "「学院に被害が出て、連絡が取れない友達もいるんです。\\n わからないままでいるのは、とても不安で……」", "337000321_45": "「……」", "337000321_46": "「了解した。だが、わたしたちにもわからない事だらけなのだ。\\n できれば互いに情報交換といきたいものだ」" }