{ "336000411_0": "機巧する少女たち", "336000411_1": "――数日後", "336000411_2": "「なんと、あたしだよッ!\\n 学院に行く時間だよッ!」", "336000411_3": "「あと少し……。\\n 徐々に起きるから、ムニャムニャ……」", "336000411_4": "「おい起きろッ!\\n あたしに早朝バズーカ撃たせるなッ!」", "336000411_5": "「立花さんッ!」", "336000411_6": "「はうッ! ずびばぜんッ!」", "336000411_7": "「全く、転校してきて早々に課題を忘れるだなんて……」", "336000411_8": "(……あのバカ……)", "336000411_9": "(いや。どのような戦場にあっても普段と変わらぬ不動心……。\\n 立花の強さとは、こういうところにあるのだろうな)", "336000411_10": "(……はあ、そういうもんすか……)", "336000411_11": "「仕方ないわね。\\n 今回は大目に見ますから、次までにきちんとやってきなさい」", "336000411_12": "「では、風鳴さん、教科書の136ページを読んでください」", "336000411_13": "「あ、あれ、確かに教科書を\\n カバンに入れたはずなのですが……」", "336000411_14": "(こっちはこっちで調子乱しまくりじゃねえかッ!\\n 久しぶりの学生生活って、そんなにもそんなになのかッ!?)", "336000411_15": "「いやー、よかったよかったッ!\\n いいもの見させてもらったよッ! おふたりさんッ!」", "336000411_16": "「……しゅん………」", "336000411_17": "「おかげで親近感が湧いてきた」", "336000411_18": "「あんなにお強い装者のみなさんでも、\\n 同じ人間って思えてくるから不思議ですよね」", "336000411_19": "「逆に考えれば、まだまだ人間クラスの強さであるあたしたちも、\\n 頑張れば超人クラスの強さを身に付けられる期待が持てるわね」", "336000411_20": "「きっと、Dモジュールに頼らなくたって……」", "336000411_21": "「Dモジュール?」", "336000411_22": "「デンジャラスだかドリームだかわからないけど……、\\n とにもかくにも、Dなモジュール」", "336000411_23": "「わたしたちのメックヴァラヌスに取り付けられている、\\n 訣戦機能――なんだけど……」", "336000411_24": "「うまく機能しないという理由で、\\n 普段は制限がかけられているみたいなんです」", "336000411_25": "「だとしたら、\\n デンジャラスのDでないことを祈りたいんだが……」", "336000411_26": "「さてと、おしゃべりしてたら休み時間なんてあっという間だね」", "336000411_27": "「確か次は、音楽の授業でしたわね。\\n 装者のみなさんの戦いじゃない歌が聴けると思うとナイスです」", "336000411_28": "「それでは、転校生もいることですし、\\n 校歌の合唱から行いましょう」", "336000411_29": "「校歌ね……。\\n 嫌いじゃないけど、アニソンの方が盛り上がらない?」", "336000411_30": "「学院の名前は違っても、校歌は同じだったね」", "336000411_31": "「ああ。ちょっと驚いたけどな……」", "336000411_32": "「……懐かしい歌であった。\\n 卒業式で唄って以来か……」", "336000411_33": "(確か記憶では――濡れ雑巾みたいに泣きじゃくって、\\n まともに唄えてなかった気がするんだが……)", "336000411_34": "「それにしても風鳴さんて、\\n まるでプロみたいな歌声でしたわね」", "336000411_35": "「そりゃ、あたしたちの世界じゃ正真正銘のプロだからな」", "336000411_36": "「出たわね、並行世界……。\\n 正直、もうかなり信じてしまっているあたしがいるわ」", "336000411_37": "「立ち居振る舞いもきれいだし、\\n 放っておけない一部の過激派がファンクラブ作っちゃうかも」", "336000411_38": "「ファ、ファンクラブだとッ!?」", "336000411_39": "「嫌そうな顔しないで。\\n あたしたち竜姫にだってそのくらいあるんだから」", "336000411_40": "「人気があるのは知ってたが、それほどなのか……」", "336000411_41": "「もちろん非公認だし、一部の生徒だけだよ?\\n ユミと違って、さすがにわたしはちょっと恥ずかしいんだよね」", "336000411_42": "「でも、なんかいいな。\\n みんなが竜姫を応援してるんだね」", "336000411_43": "「その分、期待には応えなくちゃいけない」", "336000411_44": "「さっそくですわ」", "336000411_45": "「竜姫と装者に告ぐ、ただちに応戦せよッ!」", "336000411_46": "「やけに淡白だね。\\n いつものねちっこさはどうしたんだろう?」", "336000411_47": "「かまやしないわよッ!\\n なんたってあたしたちは、明日を救うヒーローなんだからッ!」", "336000411_48": "(……ギャラルホルン……)" }