{ "330000511_0": "ヘルメスの剣防衛任務", "330000511_1": "(わたしは、仲間を攻撃してしまった……)", "330000511_2": "(みんなの戸惑いに満ちた顔……)", "330000511_3": "(そして、まっすぐにわたしを見据えていた、翼の目……)", "330000511_4": "(護るためには、ジャンヌに従うしかなかった。\\n それしか……)", "330000511_5": "「ヘルメスの剣を奪うこともできず戻ったか」", "330000511_6": "「ええ、予想以上に装者たちの抵抗が激しくてね。\\n わたし1人ではどうにもできなかったわ……」", "330000511_7": "「……本当にそれだけの理由か?」", "330000511_8": "「風鳴翼との戦闘中、\\n 相手への攻撃を躊躇していたように見えたが?」", "330000511_9": "「わ、わたしは躊躇したつもりはないわ。\\n 5人も装者を相手にしていたら攻めあぐねるものよ」", "330000511_10": "(そう、迷いは消したはず。\\n なのにどうして、あのときわたしは……)", "330000511_11": "「……今日のところはそういうことにしておくか」", "330000511_12": "「忘れるな、S.O.N.G.の命運は、\\n わたしの采配1つだということを」", "330000511_13": "「そんなことはわかっているわッ!\\n 次はしくじらない、それでいいんでしょうッ!」", "330000511_14": "(アルゴスの眼の監視がある以上、騙しは効かない……。\\n もう失敗はできないわ)", "330000511_15": "「ぐう――ッ!?」", "330000511_16": "「――ッ!」", "330000511_17": "「どうしたの?\\n 急に苦しみだすなんて……。ひょっとして、左眼が痛むの?」", "330000511_18": "「放っておけッ!」", "330000511_19": "「くッ……」", "330000511_20": "「しばらくすれば落ち着く。\\n わたしはしばらく部屋に戻っている、お前も待機していろ」", "330000511_21": "(今、彼女は眼を押さえながら苦しんでいた。\\n アルゴスの眼が原因で?)", "330000511_22": "(もしかして、アルゴスの眼の力の使用には\\n 何かしらのリスクがあるのかしら)", "330000511_23": "(ガングニールの融合症例では、力を使うほど融合深度が増して\\n 身体に変調を来したと聞いたことがある)", "330000511_24": "(ひょっとして、それと同じようなことが……)", "330000511_25": "「……それでも今は、考えてもわからないことばかりね」", "330000511_26": "(だけどアルゴスの眼も完全ではない可能性があることがわかった。\\n そこが彼女に勝つための突破口になるかもしれないわ)", "330000511_27": "(……彼女は、そんな不完全なものを使用してリスクを\\n 負ってまで、何をなそうとしているの)", "330000511_28": "(復讐と理想の実現と言っていたけれど、そもそも、\\n それはなんのために、いえ、誰のために……?)", "330000511_29": "「きこ……ます……」", "330000511_30": "「誰ッ!?」", "330000511_31": "「……誰もいない? 確かに声が聞こえた気がしたけれど」", "330000511_32": "「空耳かしら。でも今の声、どこかで……」" }