{ "201012911_0": "暴走する破壊衝動", "201012911_1": "「おまたせ、必要な資料はこれで揃ったかしら」", "201012911_2": "「お手数をおかけして申し訳ありません。\\n データベースだけだと足りない資料もあるので助かりました」", "201012911_3": "「今度は何を調べているの?」", "201012911_4": "「シンフォギアの暴走状態について、です」", "201012911_5": "「暴走状態は、装者の生命力が低下したり、怒りなどの感情によって\\n 理性が低下した場合に、聖遺物の力が抑えきれなくなり発動します」", "201012911_6": "「メカニズムをもっと詳しく解き明かして、\\n シンフォギアを運用するリスクを低減できればと」", "201012911_7": "「なるほど……。今までの戦闘中にも何度か、\\n 装者が暴走状態に陥ってしまっているものね」", "201012911_8": "「はい、データベースにも残っていました」", "201012911_9": "「でも、そこまでわかっているのに、\\n 他にどんなことを調べているのかしら?」", "201012911_10": "「はい。装者が暴走状態となるリスクが高まる状況は、\\n 他にもあります」", "201012911_11": "「過去、響さんが完全聖遺物デュランダルを手に取ったときに、\\n 暴走状態に陥った事例があります」", "201012911_12": "「……ッ!\\n たしかに、そうだったわね」", "201012911_13": "「詳しくはまだわかりませんが、聖遺物同士の力が反発することで、\\n より制御が難しくなり暴走してしまうリスクが高まるようです」", "201012911_14": "「そして今、2つの聖遺物を行使するギア形態、\\n デュオレリックギアが運用されています」", "201012911_15": "「今後、もし新たなデュオレリックギアを発動する場合に\\n 装者が暴走しないためにも、研究してくれているのね」", "201012911_16": "「はい。ボクの力は微々たるものですが……」", "201012911_17": "「そんなことないわ。いつもありがとう。\\n 私も、可能な限り協力するわね」", "201012911_18": "「ありがとうございます。成果が出せるように頑張りますッ!」", "201012911_19": "「だけど、あまり無理はしないように気をつけること。\\n 頑張りすぎて身体を壊してしまったらダメよ?」", "201012911_20": "「は、はい、気をつけます……ッ!」", "201012911_21": "「さあ、楽しい特訓の時間だ。\\n 今日は俺が相手になろう」", "201012911_22": "「いや、楽しいのはおっさんとあのバカだけだろ」", "201012911_23": "「あれ? その響さんの姿が見えませんけど……」", "201012911_24": "「そういえば、マリアもいないデスよ」", "201012911_25": "「あの2人のことだ。\\n 張り切って先に始めているのではないか?」", "201012911_26": "「この音はッ!?」", "201012911_27": "「トレーニングルームのほうだと思います」", "201012911_28": "「あのバカ、またなんかやらかしたのかッ!?」", "201012911_29": "「とにかく状況を確認する、急ぐぞッ!」", "201012911_30": "「これは……」", "201012911_31": "「グオオオオオオオオオオオッ!」", "201012911_32": "「ガアアアアアアアアアアアアッ!」", "201012911_33": "「た、大変デスッ!」", "201012911_34": "「2人揃ってなんで黒くなってんだよッ!」", "201012911_35": "「この際、理由は後だッ!\\n 早く2人を止めるぞッ!」", "201012911_36": "「わかりましたッ!」", "201012911_37": "「師匠、みんなッ!\\n さっきのすごい音はなんだったんですかッ!?」", "201012911_38": "「お前が暴れたせいだろッ!」", "201012911_39": "「……って、はあッ!?」", "201012911_40": "「た、立花、なのか……?」", "201012911_41": "「え? は、はいッ!」", "201012911_42": "「これはどういう状況なの?」", "201012911_43": "「うわッ!? マリアまでいるデスよッ!?」", "201012911_44": "「まるでわたしがいたらいけないみたいな言い方ね」", "201012911_45": "「だって、あれ」", "201012911_46": "「ウガアアアアアアアアアアアッ!」", "201012911_47": "「アウウウッ!」", "201012911_48": "「何あの黒いのッ!? 怖いッ!」", "201012911_49": "「どう見てもお前だろッ!」", "201012911_50": "「た、確かに言われてみればわたしだけど。\\n わたしはここにいるよ?」", "201012911_51": "「これはどういう状況なのよッ!」", "201012911_52": "「みなさん、ごめんなさいッ!\\n この惨状はボクのせいです」", "201012911_53": "「なにッ!?\\n どういうことか説明してもらえるか?」", "201012911_54": "「実は、研究のために響さんとマリアさんの暴走状態を\\n シミュレート機能で再現しようとしたんです」", "201012911_55": "「ですが、あまりにもエネルギーが高すぎたため、\\n 制御できなくなってしまって……」", "201012911_56": "「ホント、どこまでも迷惑なバカだな」", "201012911_57": "「え、わたしのせいッ!?」", "201012911_58": "「なんとかしようと試みたのですが、\\n 制御不能状態で……」", "201012911_59": "「友里さんのアドバイスを聞いて休憩していればこんなことには……。\\n 本当にごめんなさい。ボクのせいでこんなことに……」", "201012911_60": "「そんなに謝らなくていいデスよ」", "201012911_61": "「起こってしまったものは仕方ないよ、みんなでなんとかしよう」", "201012911_62": "「そういうことだ、気に病む必要はない。\\n よし、機械のコントロールが効かないなら、俺が1発殴って……」", "201012911_63": "「待ってッ! 司令の力でそんなことをしたら、\\n 本部の他の機器にまで影響が出かねないわ」", "201012911_64": "「では、どうする?」", "201012911_65": "「もちろん、自分の暴走は自分で止めますッ!」", "201012911_66": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」", "201012911_67": "「彼女の言う通りよ、ここはわたしたちが行くわッ!」", "201012911_68": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」", "201012911_69": "「行きましょう、マリアさんッ!」", "201012911_70": "「ええッ!」", "201012911_71": "「待て、シミュレーションとはいえ、危険な相手だぞッ!」", "201012911_72": "「わかっています、きっとここにいる誰よりもッ!」", "201012911_73": "「それにこうして向かい合ってみて初めて知りました」", "201012911_74": "「翼さんやクリスちゃんはあんなに怖いものを\\n 身体を張って止めてくれたんだなって……」", "201012911_75": "「だからこそ、自分が暴れる姿は見ていられない。\\n わたしが止めなくちゃいけないんだって、思うんですッ!」", "201012911_76": "「わたしも……」", "201012911_77": "「あのときは弱い自分を受け入れられず、強くなろうと\\n 躍起になった挙句に、暴走状態になってしまった」", "201012911_78": "「だからこそ、らしくあることが強さであることを証明するため、\\n 過去のわたしを打ち破るわッ!」", "201012911_79": "「……お前たちの意志はよくわかった。\\n ならば、もう止めん。全力でぶつかって、叩きのめしてこいッ!」", "201012911_80": "「はいッ!」", "201012911_81": "「ガウアアアアアアッ!」", "201012911_82": "「グアアアアアッ!」", "201012911_83": "「わたしはわたしがッ!」", "201012911_84": "「止めてみせるッ!」", "201012911_85": "「はあああああああ――ッ!」" }