{ "329000221_0": "「オートスコアラー……それが今回の敵だと?」", "329000221_1": "「ああ、間違いない」", "329000221_2": "「先日、あちらの世界で、\\n 響ちゃんの仮想脳領域で戦った相手、ね……」", "329000221_3": "「錬金術師の造った、戦う自動人形、オートスコアラー……。\\n それが奴らの正体さ」", "329000221_4": "「藤尭。今回の戦闘データの解析は終わったか?」", "329000221_5": "「はい。今回の戦闘で確認できたのは4機ですが――」", "329000221_6": "「ガリィと呼ばれる青い機体は氷と水を、\\n レイアと呼ばれる黄色の機体はコインの様な金属を――」", "329000221_7": "「ファラと呼ばれる緑の機体は剣と風を、\\n ミカと呼ばれる赤い機体は炎を主に操るようです」", "329000221_8": "「コインは金属、金属は大地より産するもの……。\\n つまり四大元素に対応しているというわけね」", "329000221_9": "「四大元素……なるほど、錬金術師ならではの思想だな」", "329000221_10": "「四大元素の力を操る上に、\\n 口づけで人間の精気を奪う能力も持つ、と……」", "329000221_11": "「はい。カメラからの中継映像でも確認できました」", "329000221_12": "「今回の被害男性の症状は、これまでの事件の犠牲者たちと合致」", "329000221_13": "「一連の事件が、オートスコアラーの手によるものと\\n 断定して間違いないと思います」", "329000221_14": "「だが、奴らは所詮、操り人形……。\\n 背後に黒幕の錬金術師がいるはずだ」", "329000221_15": "「ああ。そいつについても、少しばかり心当たりがある」", "329000221_16": "「本当か?」", "329000221_17": "「確か、キャロルとかいう名前の錬金術師だ」", "329000221_18": "「それも、例の仮想脳領域で?」", "329000221_19": "「ああ。二度ほど戦った」", "329000221_20": "「そのキャロルとやらの素性はわかるか?」", "329000221_21": "「向こうで聞いた感じだと、パヴァリア光明結社とかってのと\\n 関係があるらしいけど、詳しいことまでは聞かなかったな」", "329000221_22": "「パヴァリア光明結社……。\\n 響くんたちの世界の、錬金術師協会の様な組織か」", "329000221_23": "「ああ。らしいな」", "329000221_24": "「キャロルってやつは、普段は子供のナリをしてるが、\\n いざとなると大人の姿に変身する、厄介な相手だった」", "329000221_25": "「有力な情報だな」", "329000221_26": "「では、今回の事件は、一旦、敵をキャロルと定めて、\\n 調査と対策を進めていくとしよう」", "329000221_27": "「了解しました」", "329000221_28": "「でも、どこから手をつけたものですかね?」", "329000221_29": "「うむ……。できれば、キャロルをよく知る、\\n 向こう世界の装者たちの話を聞いておきたいところだが……」", "329000221_30": "「あたしがひとっ走り、行ってくるか?\\n S.O.N.G.ならきっと協力してくれると思うし」", "329000221_31": "「……いや、無闇には頼るまい」", "329000221_32": "「この事件そのものは、あくまでこちらの世界の問題だ」", "329000221_33": "「安易に彼女たちの力を当てにするのは、少々筋が違うだろう」", "329000221_34": "「そんなものか……」", "329000221_35": "「そうね。それに並行世界をまたいだ異変が頻発している昨今、\\n 彼女たちの戦力を無闇に分散させるのは得策ではないわ」", "329000221_36": "「そういうことだ」", "329000221_37": "「折よく定期連絡に来た際は少々話を聞かせてもらうとしても、\\n それまでは我々が自力で対処するとしよう」", "329000221_38": "「わかったよ」", "329000221_39": "「それで、どうします?」", "329000221_40": "「そうだな……とりあえず、監視カメラの戦闘映像から\\n 更なる情報が引き出せるかもしれない。それを進めてくれ」", "329000221_41": "「了解です」", "329000221_42": "「それと、奏はキャロルの容姿やその他、\\n 覚えている情報を可能な限り共有してくれ」", "329000221_43": "「ああ」", "329000221_44": "「それをもとに、\\n 調査範囲を拡大させていくぞ」", "329000221_45": "「了解しました」", "329000221_46": "「それじゃ、私は錬金術師方面で調べてみるわ」", "329000221_47": "「頼んだ」", "329000221_48": "「やれやれ。また徹夜が続きそうだ……」", "329000221_49": "「ぼやかないの」", "329000221_50": "「フフ。いるいる、おいしそうな獲物たちが」", "329000221_51": "「より取り見取り、食べ放題だゾッ!」", "329000221_52": "「自分じゃ食べられないくせによく言うわね」", "329000221_53": "「ガリィちゃんがご飯あげないって言ったらどうするつもり?」", "329000221_54": "「そ、それはいけずだゾッ!」", "329000221_55": "「さて、どうしよっかしらね?」", "329000221_56": "「ムッ……。待て、誰か来た」", "329000221_57": "「この気配、ただ者ではなさそうですわね」", "329000221_58": "「とうとう見つけたというワケダッ!」", "329000221_59": "「錬金術師……わかりましたわ、\\n あなたたちは錬金術師協会の追手ですわね」", "329000221_60": "「ほーんと、いい迷惑よ」", "329000221_61": "「あんたらのマスターのオイタのおかげで、こんな極東くんだりまで\\n あーしらがまた出張する羽目になったんだから」", "329000221_62": "「来てくれと頼んだ覚えはないが」", "329000221_63": "「戯れ言はいい。お前らのマスターを出せ」", "329000221_64": "「はい無理ー。そんなの、できるわけないでしょ?」", "329000221_65": "「マスターを護るために、\\n お前たちをケチョンケチョンにしてやるゾッ!」", "329000221_66": "「今日こそ、チフォージュ・シャトーを\\n 返してもらうワケダッ!」", "329000221_67": "「あれはもう私たちのモノ……。返せと言われて\\n はいそうですか、というわけにはいきませんわ」", "329000221_68": "「ならば、お前たちを無力化して奪回するまで」", "329000221_69": "「それに、あんたたちのマスターを捕まえたら、\\n 局長からボーナスが出るのよね~」", "329000221_70": "「それはなんとも派手なことだな」", "329000221_71": "「ですが、易々と思い通りになると\\n お考えにはならないでほしいですわね」", "329000221_72": "「ハッ! 人形が主たる錬金術師に敵うと思ってるワケダッ!」", "329000221_73": "「オイタの過ぎる子はお尻ペンペンよ」", "329000221_74": "「行くぞ、2人ともッ!」" }