{ "310000411_0": "捕虜の生活", "310000411_1": "「とほほ……。\\n これじゃキャプテンどころか捕虜扱いデース……」", "310000411_2": "「とはいえ、特に拘束されるでもなく、\\n この船の掟に従う限り行動は制限されていないようだな」", "310000411_3": "「危害を加える様子もない……。\\n それも、こっちが大人しくしてる間は、だろうけどな」", "310000411_4": "「これから、どうするデスか?」", "310000411_5": "「隙を見てあの船長をぶッ倒すしかねーだろ」", "310000411_6": "「そんな簡単にいく相手じゃないデスよ……」", "310000411_7": "「エルフナインの推測では、相手はなんらかの聖遺物や\\n 哲学兵装の可能性がある。慎重に事を起こすべきだろう……」", "310000411_8": "「まずは一連の現象の中核に何があるのか、探る他あるまい。\\n こちらの出方も、それ次第ということだ」", "310000411_9": "「了解デス。\\n しばらくはキャプテンの心は忘れて、諜報活動に勤しむデス」", "310000411_10": "「それより、なんであいつがこの船に乗ってるんだよ……」", "310000411_11": "「ウワサをすればデス」", "310000411_12": "「さて。あなたたちは何者なの」", "310000411_13": "「はあッ!?\\n あたしたちのことがわかんねーのかよッ!?」", "310000411_14": "「ええ、わからないわ。私はただの亡霊だから」", "310000411_15": "「亡霊……?」", "310000411_16": "「どういうことだ?」", "310000411_17": "「私だけじゃない。\\n この船も、ブラックバートも、全ては泡沫の夢……」", "310000411_18": "「錬金術師の手によって一時的に甦った、過去の幻影」", "310000411_19": "「錬金術師……?\\n 錬金術師が哲学兵装を起動させたってことデスか?」", "310000411_20": "「恐らくはね」", "310000411_21": "「なるほど。亡霊とはつまり、\\n エルフナインの言っていた、残留思念ということだろう」", "310000411_22": "「それじゃあ、ここにいるフィーネは、\\n 哲学兵装が作った……」", "310000411_23": "「哲学兵装と同じ時代を生きた、フィーネの幻影」", "310000411_24": "「アタシたちの知らない、ずっと昔のフィーネということデスか」", "310000411_25": "「これで、こちらのことは話したわ。あなたたちは?\\n どうして私のことを知っているの?」", "310000411_26": "「こちらも話す他ないな」", "310000411_27": "「なるほど。つまり、私は負けたということね……」", "310000411_28": "「リベンジマッチでもやる気か……ッ!?」", "310000411_29": "「警戒しなくていいわ、所詮私はただの亡霊。\\n 目的すら失った、ただの影法師に過ぎないから」", "310000411_30": "「ならば、亡霊は何を望む」", "310000411_31": "「私は眠りたいの。\\n だから、あなたたちが状況を変えてくれると期待してるわ」", "310000411_32": "「期待って……どういうことだ?」", "310000411_33": "「よう、航海を楽しんでるか?」", "310000411_34": "「楽しんでるかと言われても……」", "310000411_35": "「正直に答えれば、戸惑っているところだ」", "310000411_36": "「そんなしかめっ面しててもしょうがねえだろッ!\\n 今はこの海を楽しめよ。ハハハッ!」", "310000411_37": "「そりゃあんたは楽しいだろうよ」", "310000411_38": "「まあいい。\\n ところで、お前らに乗船料を払ってもらいたいんだが」", "310000411_39": "「乗船料……お金をとるってことデスかッ!?」", "310000411_40": "「金があるならそれでもいいぜ? あんのか?」", "310000411_41": "「一銭も持ってないデース……」", "310000411_42": "「だろうな。なら、労働だ」", "310000411_43": "「労働……?」", "310000411_44": "「掃除はあまり、得意ではないのだが……」", "310000411_45": "「それよりも、もっとお前らに向いた仕事がある」", "310000411_46": "「手下どもの訓練に付き合ってくれ。\\n ついでに俺の肩慣らしにもな」" }