{ "308000912_0": "「また逃してしまったか……」", "308000912_1": "「そしてまたあの帯ね……」", "308000912_2": "「……見てみるか」", "308000912_3": "「ちょっと待って。その前に。\\n 少し思ったんだけど――」", "308000912_4": "「どうした?」", "308000912_5": "「たまに見える振袖に重なる人のシルエット……\\n それと帯に触れた時に見える人物は、同一人物じゃないかしら」", "308000912_6": "「……そうかもしれない。\\n 帯を通して見た過去のイメージや動きと重なる……」", "308000912_7": "「そうよね。……少し意識しながら見てみましょう」", "308000912_8": "「病か……前の者と同じだな……。\\n 振袖を受け取り、病に臥せって、弱っていく姿……」", "308000912_9": "「結末まで同じなのかしらね……。\\n あまり追いたくない結末だけど」", "308000912_10": "「……それでも、見ないわけにはいかないだろう」", "308000912_11": "「そうね。なら、進みましょう」", "308000912_12": "「……この先だ」", "308000912_13": "「……ええ、いきましょう」", "308000912_14": "「逃げる気配はない……これが最後ということか」", "308000912_15": "「前回と同じね……。恐らくは2人目の持ち主の最後の\\n 記憶……それを見せようというんだわ」", "308000912_16": "「しかし、あの続きでは……」", "308000912_17": "「ええ。予想通りの暗い結末でしょうね。\\n それをわたしたちに見せる意味はわからないけど……」", "308000912_18": "(わたしたちを弱らせる精神攻撃の一種かとも思ったけど、\\n 回りくどすぎるし……本当、何なのかしら……)", "308000912_19": "「――ッ! 有無を言わさず、ということか」", "308000912_20": "「こちらがどうあれ、向こうはやる気みたいね」", "308000912_21": "「ああ、それならやるしかないだろうッ!」", "308000912_22": "「そうね、戦いましょうッ!」" }