{ "201002511_0": "茶道体験", "201002511_1": "「ずずず……う――ッ!」", "201002511_2": "「……ほら、調。飲んだあとの作法」", "201002511_3": "「け、結構なお手前で……」", "201002511_4": "「フフ、苦かったのでしょう? 無理しなくてもいいのに」", "201002511_5": "「茶道を体験してみたい、なんて。\\n あなたも意外な事に興味を持つものね」", "201002511_6": "「戦いにも似た緊張感がある、この国の女子の嗜みだって\\n 聞いたから」", "201002511_7": "「……そんな事を言ったのは、どうせ翼でしょう。\\n 彼女の伝手で茶室も借りられたから、構わないのだけれど」", "201002511_8": "「それじゃもう一回はじめからやってみましょうか。\\n 手順は覚えてるわね?」", "201002511_9": "「うん、大丈夫」", "201002511_10": "「ずずず……う――ッ! け、結構なお手前で……」", "201002511_11": "「苦いのね。\\n ちょっとわたしの方のを飲んでみなさい」", "201002511_12": "「う……えッ!? に、苦くない……」", "201002511_13": "「……どう? 大丈夫でしょ?」", "201002511_14": "「……どうして? 同じものを使ってるのに……」", "201002511_15": "「お茶は点て方で苦味が変わるのよ。\\n だから、お茶を上手く点てられると苦味は少なくなるの」", "201002511_16": "「……まあ、わたしにそんな腕は無いし、\\n これを入れただけなんだけどね」", "201002511_17": "「それ――お砂糖ッ!\\n でも、お茶にお砂糖を入れるのはマナー違反なんじゃ……」", "201002511_18": "「そうね。確かに翼に言ったら怒られそうだけど、\\n まずは作法に慣れることが大切なんじゃないかしら」", "201002511_19": "「そう、なのかな……?」", "201002511_20": "「フフ、調はちゃんとした茶道を体験したいんだったわね。\\n それじゃあ、このまま、もう一度初めからやってみましょう」", "201002511_21": "「……マリア……あの――」", "201002511_22": "「ん? どうしたの調」", "201002511_23": "「……わたしのお茶にもお砂糖、入れて欲しい」", "201002511_24": "「ええ、わかったわ」" }