{ "103001222_0": "「アルカ・ノイズの殲滅を確認ッ!\\n 施設構造データ取得しましたッ!」", "103001222_1": "「……キャロルの目的は、世界の破壊」", "103001222_2": "「ここに収められた聖遺物、もしくはそれに類する\\n 危険物を手に入れようとしているに違いありません」", "103001222_3": "「敵の出方を知るためにも目星がつくなら都合が良い……か。\\n 友里、秘蔵物のリスト化を急げッ!」", "103001222_4": "「はいッ!」", "103001222_5": "「司令。翼さんが目を覚まされました」", "103001222_6": "「う、うう……」", "103001222_7": "「……ここは……そうか。\\n わたしはファラと戦って……」", "103001222_8": "「身に余る夢を捨ててなお、わたしでは届かないのか……」", "103001222_9": "「大丈夫、翼?」", "103001222_10": "「……すまない、不覚をとった」", "103001222_11": "「動けるなら、来てほしい。\\n 翼のパパさんが呼んでいるわ」", "103001222_12": "「……分かった」", "103001222_13": "「アルカ・ノイズの攻撃によって生じる赤い粒子を、\\n『アーネンエルベ』に調査依頼した報告書になります」", "103001222_14": "「アーネンエルベ……シンフォギアの開発に関わりの深い、\\n 独国政府の研究機関……」", "103001222_15": "「報告によると、赤い物質は『プリママテリア』。万能の溶媒、\\n『アルカへスト』によって分解還元された物質の根源要素らしい」", "103001222_16": "「物質の根源? 分解による……?」", "103001222_17": "「錬金術とは、分解と解析、そこからの構築によって成り立つ\\n 異端技術の理論体系とありますが……」", "103001222_18": "「キャロルは世界を分解したあと、\\n 何を構築しようとしているのかしら……」", "103001222_19": "「……翼」", "103001222_20": "「は、はい」", "103001222_21": "「傷の具合は?」", "103001222_22": "「……?\\n はい、痛みは殺せます」", "103001222_23": "「ならばここを発ち、然るべき施設にて\\n これらの情報の解析を進めるといい」", "103001222_24": "「お前が守るべき要石は、もう無いのだ」", "103001222_25": "「……わかりました」", "103001222_26": "「それを合理的というのかもしれないけど、傷ついた自分の娘に\\n かける言葉にしては冷たすぎるんじゃないかしら?」", "103001222_27": "「いいんだマリア」", "103001222_28": "「翼?」", "103001222_29": "「……いいんだ」", "103001222_30": "「………………」", "103001222_31": "「あれはなんだッ! 国家安全保障のスペシャリストかも\\n しれないが、家族のつながりを蔑ろにしてッ!」", "103001222_32": "「すまない……。\\n だがあれがわたしたちのあり方なのだ……」", "103001222_33": "「ここは子供時分のわたしの部屋だ。\\n 話の続きは中でしよう」", "103001222_34": "「――ッ!? 敵襲ッ!?\\n また人形がッ?」", "103001222_35": "「う……いや、その……この部屋の有様は、わたしの不徳だ」", "103001222_36": "「……だからって、10年間もそのままにしておくなんて」", "103001222_37": "「幼い頃にはこの部屋で、\\n お父様に流行歌を聴かせた想い出があるのに……」", "103001222_38": "「それにしても、この部屋は……。\\n ……昔からなの?」", "103001222_39": "「わたしが片づけられない女ってことッ!?」", "103001222_40": "「そうじゃない。パパさんのことだ」", "103001222_41": "「……わたしのお爺様、現当主の風鳴訃堂は、\\n 老齢の域にさしかかると後継ぎを考えるようになった」", "103001222_42": "「候補者は嫡男である父・八紘と、\\n その弟の弦十郎叔父様」", "103001222_43": "「風鳴司令か」", "103001222_44": "「だが、お爺様に任命されたのは、お父様や、\\n 叔父様を差し置いて、生まれたばかりのわたしだった……」", "103001222_45": "「理由は聞いていない。\\n ……だが、今日まで生きていると窺い知ることもある」", "103001222_46": "「……どうやらわたしには、お父様の血が流れていないらしい」", "103001222_47": "「風鳴の血を濃く絶やさぬよう、\\n お爺様がお母様の腹より産ませたのがわたしだ……」", "103001222_48": "「風鳴訃堂は人の道を外れたかッ!」", "103001222_49": "「お前が私の娘であるものかッ!」", "103001222_50": "「どこまでも穢れた風鳴の道具にすぎんッ!」", "103001222_51": "「……以来わたしは、お父様に少しでも受け入れてもらいたくて、\\n この身を人ではなく、道具として、剣として研鑽してきたのだ」", "103001222_52": "「フ……なのにこのていたらくでは、\\n ますますもって鬼子と疎まれてしまうな……」", "103001222_53": "「翼…………」", "103001222_54": "「――今のはッ!?」", "103001222_55": "「こっちだッ!」", "103001222_56": "「ファラ……ッ!」", "103001222_57": "「……目覚めたようね」", "103001222_58": "「要石を破壊した今、貴様に何の目的があるッ!」", "103001222_59": "「フフッ、私は歌が聴きたいだけ……」", "103001222_60": "「Seilien coffin airget-lamh tron」" }