{
"336000241_0": "「……」",
"336000241_1": "「風鳴訃堂――あたしらの世界では、\\n いまだ影響力を発揮する日本のフィクサー……」",
"336000241_2": "(頭では理解できる……別人だ……。\\n それでも――お祖父様の目に射竦められると……)",
"336000241_3": "「よーく来たのう、お嬢さん方ッ!」",
"336000241_4": "「……」",
"336000241_5": "「……ええッ!?」",
"336000241_6": "「いやいや、申し訳ない。\\n 凪くんが失礼な態度を取ってしまったようで」",
"336000241_7": "「並行世界……確かに、にわかには信じがたい話ではあるが、\\n お嬢さん方が嘘を言っているとも思えんッ!」",
"336000241_8": "「客人として、丁重にもてなしをしようぞ」",
"336000241_9": "「なんだか、すっごく優しいよッ!?」",
"336000241_10": "「お、おいッ、スゲェぞ並行世界ッ!?\\n ギャラルホルンもたまにはいいことしてくれるッ!」",
"336000241_11": "(ぽかーん)",
"336000241_12": "「フォッフォッフォ……」",
"336000241_13": "「おじいちゃんッ!\\n おじいちゃんがなんでここにッ!?」",
"336000241_14": "「いつも、学院の草花の\\n お手入れをしてくださっていましたよね?」",
"336000241_15": "「うん。\\n 学院の理事長さんだと思っていたけど……」",
"336000241_16": "「き、気安いぞッ!\\n 仰陽館女学院の理事長とは仮の姿――」",
"336000241_17": "「このお方こそ、特異災害対策機動部二課の終身名誉司令ッ!\\n 風鳴訃堂様であるッ!!」",
"336000241_18": "「ええええええええッ!?」",
"336000241_19": "「ええええええええッ!?」",
"336000241_20": "「だって、おじいさんはいつも弓美さんの\\n アニメの話に付き合ってくれますわよッ!?」",
"336000241_21": "「どんな話でも、優しく聞いてくれるよね」",
"336000241_22": "「おじいちゃんはすごいんだよッ! なんと、\\n あの『電光刑事バン』のリアルタイム世代なんだからッ!」",
"336000241_23": "「フッ、だてに長生きはしとらんからのう」",
"336000241_24": "「って、コラーッ! 何を楽しく盛り上がっているのだッ!?\\n 僕だって訃堂様とそんなに話したことないのにッ!」",
"336000241_25": "「すまんすまん。\\n 儂が身分を隠して学院に遊びに行っていたのが悪かった」",
"336000241_26": "「前途ある若者を応援するためには、\\n 生徒たちの自然な顔を知っておきたくてのう」",
"336000241_27": "「まさか、おじいさんが二課の司令だったなんて――\\n ナイスですッ!」",
"336000241_28": "「今はただの名誉職にすぎん。\\n これまで通り、気軽に声をかけておくれ」",
"336000241_29": "「ありがとう、おじいちゃんッ!」",
"336000241_30": "「ぬううううううん」",
"336000241_31": "「……」",
"336000241_32": "(……落ち着け……。\\n お祖父さまと姿形は同じでも、違う人物だ……)",
"336000241_33": "(……天・元・行・躰・神・変・神・通・力……。\\n 平常心だ……平常心を保たねば……)",
"336000241_34": "「翼さん、だいぶ葛藤してるみたいだね……」",
"336000241_35": "「ここまで性格が違うとな……。\\n 今は、そっとしておくにかぎる」",
"336000241_36": "「さて、並行世界からのお客人方。\\n 儂らに接触してきた目的を教えていただこうかな?」",
"336000241_37": "「……」",
"336000241_38": "「わたしたちの世界から盗まれた情報を取り戻し、\\n わたしたちの世界へと無事に帰ることです」",
"336000241_39": "「ふむ。奪還と帰還――というわけか。\\n ならばその目的、我々も協力しようではないか」",
"336000241_40": "「きょ、協力ッ!?」",
"336000241_41": "「左様」",
"336000241_42": "「わたしたちの話、信じてくれたんですねッ!」",
"336000241_43": "「話を信じたわけではない。竜姫を殺さなんだ君たちを信じた。\\n 憎むな、殺すな、赦しましょうと昔から言うようにな」",
"336000241_44": "「そこまで物わかりがいいと、\\n 逆に裏があるんじゃないかって思えてくるんだが……」",
"336000241_45": "「ふむ、本心だが、下心までは隠せなんだか……。\\n その通り。儂は協力に対して見返りを期待しておる」",
"336000241_46": "「見返り……とは?」",
"336000241_47": "「この世界には特異災害――ノイズが出現する。\\n お嬢さん方はご存じかの?」",
"336000241_48": "「はい。わたしたちの世界にもノイズは存在しましたし、\\n この世界でもすでに相対しています」",
"336000241_49": "「そうであったか。であれば話は早い」",
"336000241_50": "「メックヴァラヌスとシンフォギア――\\n 共に並び立ち、ノイズの脅威よりこの国を守ってほしい」",
"336000241_51": "「儂はこの国での特異災害による被害を無くしたい。\\n そのためには一時的でもいい、その力を貸してはくれぬか?」",
"336000241_52": "「……あたしたちからも、お願い。\\n シンフォギアが協力してくれれば、きっとみんなを護れる……」",
"336000241_53": "「わたしたちは、1人でも多くの人を助けたいんです」",
"336000241_54": "「ずっととは言わない。ここにいてくれる間だけでも――\\n 一緒に戦ってくれないかな?」",
"336000241_55": "「翼さん……、クリスちゃん……。\\n わたしからも――」",
"336000241_56": "「……みんなの明日を、救いたいんだ」",
"336000241_57": "「……わかった。\\n こっちの目的に協力してくれるなら、その分くらいは働くさ」",
"336000241_58": "「人を護るのが、シンフォギア装者の責務。\\n その信念は、いかなる世界に在ろうと揺るぎはしない」",
"336000241_59": "「……ありがとうッ!」",
"336000241_60": "「心強いですわ」",
"336000241_61": "「本当に助かるよ。\\n よろしくね」",
"336000241_62": "「ありがとう、装者たちよ。\\n さしあたって、滞在中に必要なものはこちらで用意しよう」",
"336000241_63": "「いい人揃いで、本当に良かった」",
"336000241_64": "「バカ、まだ完全に信用すんな」",
"336000241_65": "「――え?」",
"336000241_66": "「まずはこうして接触することで、\\n さらなる情報を引き出すんだよ」",
"336000241_67": "「恐らくは向こうもその魂胆だろうな」",
"336000241_68": "「ちょ、ちょっと待ってくださいッ!」",
"336000241_69": "「凪くん、どうした?」",
"336000241_70": "「今日までメックヴァラヌスだけでやってきましたッ!\\n 何者とも知れぬポッと出などアテにしなくても……」",
"336000241_71": "「ならば、凪くん。彼女らと共に戦い、\\n 信頼に足る者たちか自身の目で見極めてみるといい」",
"336000241_72": "「はううッ!\\n なんで僕がッ!?」",
"336000241_73": "「そりゃ、あんたが二課の司令代行だからでしょ」",
"336000241_74": "「立場が立場ですものね」",
"336000241_75": "「頑張ってね、代行」",
"336000241_76": "「な、納得いきませんッ!\\n ご再考をッ! ご再考をお願いしたくッ!」",
"336000241_77": "「……む、もうこんな時間になっておったか」",
"336000241_78": "「儂は失礼させてもらおう。\\n 花に水をあげなくてはいけないからのう」",
"336000241_79": "「ふ、訃堂様……?」",
"336000241_80": "「凪くん、あとはよろしく頼むッ!\\n 客人たちには、失礼のないようにの」",
"336000241_81": "「……とほほ……。\\n なんで、こんなに厄介事が次から次へと……」",
"336000241_82": "「――さて、どう動いてみたものか」"
}