{ "328000822_0": "「ふう……なんとか撃退できたわね」", "328000822_1": "「まさか、あたしらが尾行されたのか?」", "328000822_2": "「いえ、ここが露見するのは元々時間の問題でした。\\n 尾行されていたかどうかは問題ではありません」", "328000822_3": "「……また隠れ家を変えなくてはなりませんね」", "328000822_4": "「ならば、いっそ二課に来てはいかがですか?」", "328000822_5": "「翼の方も大丈夫だったみたいね」", "328000822_6": "「ああ。みなのおかげで屋内までは侵入されなかった」", "328000822_7": "(……わたしはなんの役にも立てなかった、とも言えるが)", "328000822_8": "「それで緒川さん、先程の提案はいかがでしょう?」", "328000822_9": "「僕に、二課を頼れというのですか?」", "328000822_10": "「はい」", "328000822_11": "「草薙が今の姿になり、\\n オロチに野心を抱かせたのは政府高官たちが原因です……」", "328000822_12": "「その指揮下にある二課を、果たして信用できたものか……」", "328000822_13": "「少なくとも司令とその周りの大人については、\\n わたしたちの事情も知った上で、無私に協力してくれています」", "328000822_14": "「本当は、対草薙で一緒に行動するつもりだったんだけどな」", "328000822_15": "「実のところ、二課は草薙の行動を掣肘しようと動き始めた\\n その矢先、政府から干渉禁止の命を受けてしまいました……」", "328000822_16": "「やはり、彼らは政府高官の言いなりなのですね……」", "328000822_17": "「……確かに、彼らは表立っては身動きが取れません」", "328000822_18": "「ですが、今もなお、非公式にわたしたちの対草薙活動を\\n サポートしてくれています」", "328000822_19": "「わたしたちの世界の情報を元に、\\n この隠れ家の位置を突き止めてくれたのも、二課だものね」", "328000822_20": "「…………」", "328000822_21": "「お話は、よくわかりました」", "328000822_22": "「それでも、草薙をおかしくしたのはやはり日本政府です。\\n そして二課はその政府直下の組織……」", "328000822_23": "「やはり自分には、心からの信を置くことはできません」", "328000822_24": "「そう、ですか……」", "328000822_25": "「ですが……」", "328000822_26": "「え?」", "328000822_27": "「あなたたちにならば、協力をお願いしたいと思っています」", "328000822_28": "(僕らの失ってしまった誇りを持つ、あなたたちならば、\\n 信用できる……)", "328000822_29": "「だから、ここは二課とではなく、あなたたちと手を結ぶ――\\n という形では、どうでしょう」", "328000822_30": "「あなたたちが支援を受けている二課については、\\n 僕は直接は関知しません」", "328000822_31": "「ええ、それで構いません」", "328000822_32": "「これで一歩前進ね」", "328000822_33": "「ああ。これで草薙に……いやオロチに\\n 一丸となって対峙することができる」", "328000822_34": "「それじゃあ一つ、オロチ退治といこうかッ!」" }