{ "326000432_0": "「はあああああッ!!」", "326000432_1": "「……」", "326000432_2": "「…………」", "326000432_3": "「助かったよ、先輩」", "326000432_4": "「……ああ、構わない。\\n それより先ほどの話の続きだが――」", "326000432_5": "「エルフナインはどうやら立花の意識から、\\n 弾かれてしまったようだ」", "326000432_6": "「弾かれた……?」", "326000432_7": "「そうだ。理由は不明だが、一度弾かれて目覚めた後、再度装置を\\n 使っても、仮想脳領域に入ることはできないらしい」", "326000432_8": "「加えて、装置の不具合ではない。\\n それならば、わたしもここに来られるはずがないからな」", "326000432_9": "「なら、なんで――」", "326000432_10": "「わからない。何か条件みたいなものがあるのかもしれないが、\\n この時点では判断できる材料が少なすぎる」", "326000432_11": "「……エルフナインちゃんを、護ろうとしたのかも」", "326000432_12": "「護る……? それは、立花がか?」", "326000432_13": "「はい……。あの時、ノイズに襲われそうになったのを見て、\\n エルフナインちゃんを助けようとしたのかもって……」", "326000432_14": "「……あいつなら、ありえそうだな」", "326000432_15": "「確かに、いかにも立花らしい」", "326000432_16": "「装置が使えないのも、戦えないエルフナインちゃんを\\n 危険から遠ざけたいってことなんじゃないですか?」", "326000432_17": "「ああ、小日向の言う通りかもしれないな。\\n ならば、ここは戦えるわたしたちが、立花を助けるとしよう」", "326000432_18": "「はいッ!」", "326000432_19": "「仮想脳領域とはいえ、疲れは溜まるみたいだ。\\n ……これは、精神的な疲れになるのか?」", "326000432_20": "「この世界で肉体的な疲労はないと思う。\\n それであれば、精神的なものだろう」", "326000432_21": "「でも……響が……」", "326000432_22": "「これだけの連戦だ。お前が一番疲れてるだろ。この先も何が\\n 出てくるかわからないのに、動けなくなったらどうするんだよ」", "326000432_23": "「雪音の言う通りだ。わたしたちだけで進まなければならない\\n 以上、慎重に慎重を重ねて行動するべきだろう」", "326000432_24": "「……はい」", "326000432_25": "「とにかく、早く異物ってやつを見つけないと、\\n このままじゃ――」", "326000432_26": "「え……あれ……? ひ、響ッ!」", "326000432_27": "「……」", "326000432_28": "「油断するなッ!\\n さっきのあいつみたいに、敵ってこともあるッ!」", "326000432_29": "「……いや、戦意はないようだ」", "326000432_30": "「……来ちゃダメだよ」", "326000432_31": "「……えッ!?」", "326000432_32": "「おいッ! どこへ行きやがったッ!?」", "326000432_33": "「雪音ッ! 自分自身を見てみろッ!!」", "326000432_34": "「え? なッ!? あたしも消え始めてるッ!?」", "326000432_35": "「響ッ! 待って、響ッ!!」" }