{ "387000221_0": "「なッ、あなたは……ッ!」", "387000221_1": "「シンフォギアが使えなくなったと聞いたが。\\n 案外と元気そうじゃないか、翼」", "387000221_2": "「環さんッ!\\n お久しぶりですッ!」", "387000221_3": "「来てくれたかッ!」", "387000221_4": "「緊急事態だって呼び出されたからね。\\n こっちも出撃する前に様子を見に来たんだが……」", "387000221_5": "「あんたたち、シンフォギアも使えないくせに、\\n 戦場に行くってのは本気かい?」", "387000221_6": "「わたしが明日香ちゃんを傷つけた。希望を打ち砕いてしまった。", "387000221_7": " でも、だからこそ伝えなきゃいけないことがあるんですッ!」", "387000221_8": "「わたしが行かないと……、\\n イシムの、明日香ちゃんの元へッ!」", "387000221_9": "「戦いたい。護られていたくない。\\n 力がなくても人任せにしたくないってかい?」", "387000221_10": "「その気持ちはよーくわかるさ。\\n でもな、嬢ちゃん」", "387000221_11": "「その苦痛はね、シンフォギアを使えないアタシたちが、", "387000221_12": " ずっと味わってきた苦しみなんだよッ!」", "387000221_13": "「――ッ!」", "387000221_14": "「力のない人間を戦わせるわけにはいかないッ!\\n そう言って戦ってきたのが装者なんじゃないのかいッ!?」", "387000221_15": "「それは……」", "387000221_16": "「……わたしもずっと、響に護られてばかりだった」", "387000221_17": "「心配で、悔しくて、不甲斐なくて。\\n それでも頼るしかなくて……」", "387000221_18": "「みんなが、この苦しみを……」", "387000221_19": "「そうだ……戦いたいけど、戦う力がない。\\n 明日香ちゃんも言ってたんだ……」", "387000221_20": "「あたしには、装者の皆さんのような\\n 戦う力が無いから……」", "387000221_21": "「あたしもいつか自分のシンフォギアを纏って、\\n 人々を護りたいんですッ!」", "387000221_22": "「みんなは、明日香ちゃんは、\\n こんな気持ちで苦しんでいたんだ……」", "387000221_23": "「でも――だとしてもッ!\\n じっとしていられないんですッ!」", "387000221_24": "「戦おうって意思だけじゃ何もできないんだよッ!\\n 目の前の現実を認めなッ!」", "387000221_25": "「わたしは明日香ちゃんに、諦めないでって伝えたいッ!\\n だからこそ、ここで諦めることなんてできないッ!」", "387000221_26": "「まったく……揃いも揃って、\\n シンフォギア装者は頑固者ばかりかい」", "387000221_27": "「それならせめて……せめて、戦う力のある者にしな。\\n だったらアタシが力を貸してやってもいい」", "387000221_28": "「環さん、まさか――」", "387000221_29": "「これより先、進めると思うなッ!」", "387000221_30": "「みんなを護るためにッ!」", "387000221_31": "「力を貸して、グラウスヴァインギアッ!」", "387000221_32": "「グラウスヴァインギア、出力正常。\\n 問題なく戦闘可能ですッ!」", "387000221_33": "「以前に纏ったときよりも安定性が格段に増している。\\n 環さん、ずっと研究を続けていたのですね」", "387000221_34": "「今はお国の許可もあるからねッ!\\n 手をこまねいてちゃ科学者の名が廃るってことさッ!」", "387000221_35": "「環さん……あなたの想い、決して無駄にはしないッ!", "387000221_36": " はああああッ!」", "387000221_37": "「くッ!\\n 刃は通るが、必殺には届かずか……」", "387000221_38": "「シンフォギアの出力は、\\n 今もゼロから変動していませんッ!」", "387000221_39": "「皆さんのギアは、グラウスヴァインのエネルギーで、\\n なんとか起動している状態ですッ!」", "387000221_40": "「決して無理はしないでくださいッ!」", "387000221_41": "「あんたたちに預けたグラウスヴァインは貴重品だからねッ!\\n 必ず傷一つなく返すんだよッ!」", "387000221_42": "「はい、この身に代えてもッ!」", "387000221_43": "「――ッ!\\n あんたねッ!」", "387000221_44": "「違え違え。姐さんはなあ、\\n 嬢ちゃんたちに無事に戻ってこいって言ってんだよッ!」", "387000221_45": "「スーツは壊していいから怪我はするなって、\\n 素直に言えばいいんですけどね」", "387000221_46": "「余計なこと言うんじゃないよッ!\\n 弾を惜しむなッ、斉射開始ッ!」", "387000221_47": "「なんとか敵の侵攻を抑えろッ!\\n 予備兵力はまだかッ!?」", "387000221_48": "「S.O.N.G.のオペレーターは、\\n 現有戦力の大半が戦闘状態にあるとッ!」", "387000221_49": "「こっちはもう底をついてるのかッ!\\n 質も量も相手が圧倒的ではないかッ!」", "387000221_50": "「ったく、喚いてんじゃないよッ! \\n それでも兵士かいッ!」", "387000221_51": "「上空から援護……ッ!?\\n 軍の新兵器かッ!?」", "387000221_52": "「装者たちを見な、今もあの子たちは最前線で戦ってんだよッ!\\n アタシたちが気張らなくてどうするんだいッ!」", "387000221_53": "「ッ……本当だ……装者たちだッ!\\n こんな戦場でも、唄いながら戦ってる……ッ!」", "387000221_54": "「――ああッ!? 歌だッ!? \\n おいおい、何やってんだあいつらはッ!」", "387000221_55": "「護られるのではなく、\\n 護るために……ッ!」", "387000221_56": "「――――♪」", "387000221_57": "「あんたたち、シンフォギアは動いてないんだろッ!\\n 唄っても体力が削られるだけだろうがッ!」", "387000221_58": "「言いたかないけど、無駄なんだよッ!\\n 今だけは集中して戦いなッ!」", "387000221_59": "「急拵えのスーツだって、所詮はグラウスヴァインもどきだッ!\\n あんたたちをいつまでも補助できるわけじゃあないッ!」", "387000221_60": "「確かに、ギアはわたしの歌に応えていない。\\n 無駄に思えるのかもしれませんッ!」", "387000221_61": "「ですがわたしたちはッ!\\n ずっと歌と共に戦ってきたのですッ!」", "387000221_62": "「歌はただシンフォギアの力を引き出すための手段じゃない。\\n 心を奮い立たせて、立ち向かう勇気をくれるッ!」", "387000221_63": "「今は動かないギアと、届かない歌だけどッ!\\n きっとわたしたちを護ってくれているッ!」", "387000221_64": "「わたしたちの胸にはいつだって歌があるッ!\\n この歌と共に戦いますッ!」", "387000221_65": "「あんたたち……」", "387000221_66": "「この声は……装者たちが唄っているのか」", "387000221_67": "「……ああ、聴こえる。\\n 戦場の音にかき消されそうなほどに微かだが」", "387000221_68": "「あの子たちが希望を信じて唄ってるんだ。\\n 俺たちが泣き言を喚いちゃ台無しだなッ!」", "387000221_69": "「お前たちッ! 腹に力を入れろッ!\\n 化け物に人類の意地を見せつけてやれ!」", "387000221_70": "「おおおおおおおッ!」", "387000221_71": "「崩れかけた戦線が持ち直してやがる。\\n これが歌の力かいッ!」", "387000221_72": "「今も胸に響く歌と、先達から預かったこの剣ッ!\\n 心なき化け物に砕けると思うなッ!」" }