{ "376000811_0": "天使たちは闇に呑まれて", "376000811_1": "「見たところ、イシムも奴の眷属も、\\n 中にはいないようだな……」", "376000811_2": "「それはよかったデス。\\n ここまで連戦で、もうクタクタだったデスから」", "376000811_3": "「それにしても、ここはなんだろう?\\n 普通の建物とは、造りからして違う感じだね」", "376000811_4": "「それに……初めてきた場所のはずなのに\\n どこか見覚えがあるような気がする」", "376000811_5": "「それ、わたしも感じたッ! ボロボロになってて\\n よく分からないけど、何の建物なんだろう?」", "376000811_6": "「……ともかく皆、用心するように。\\n いつ敵が現れるか分からないんだ」", "376000811_7": "「最大限警戒しつつ、調査に当たろう」", "376000811_8": "「……失礼しまーす。\\n うーん、やっぱりこの部屋にも誰もいないか」", "376000811_9": "「うわッ、ホコリっぽいッ! いろいろと倒れて散乱してるし。\\n ……ん? これ、ロッカーかな?」", "376000811_10": "「ちょうどいいや。何かこの世界について分かる\\n 手掛かりがまだ中に残ってるかも」", "376000811_11": "「…………」", "376000811_12": "「……ダメか。どれも風化が激しくて\\n 原型をとどめてないものばっかり」", "376000811_13": "「何か1つぐらい、役に立つものは……」", "376000811_14": "「……え? これって……」", "376000811_15": "「この絵柄、わたしが未来に\\n プレゼントしようと思って買ったマグカップッ!」", "376000811_16": "「…………」", "376000811_17": "「どうして同じものが?\\n それも、こんなにボロボロの状態で……」", "376000811_18": "「ああもうッ!\\n 何が何だが。頭が混乱してきた~ッ!」", "376000811_19": "「……そうか。わたしたちの世界にあったものが、この場所に。\\n しかも、ボロボロの状態で見つかったのだな?」", "376000811_20": "「はい……並行世界なので、\\n たまたま一致しただけかもしれませんけど……」", "376000811_21": "「アタシたちは、食糧を見つけたデスッ!」", "376000811_22": "「水流さんから教えてもらった木の実が\\n なっているのを見つけたので、確保しておきました」", "376000811_23": "「助かるよー。ちょうどお腹ペコペコだったから」", "376000811_24": "「今戻りましたーッ!」", "376000811_25": "「小日向ッ!\\n その手に持っている物は……?」", "376000811_26": "「何かのケースデス?」", "376000811_27": "「厳重に保管されていたので、気になって……。もしかして、\\n エルフナインちゃんの言っていた、希望じゃないでしょうか?」", "376000811_28": "「何が入っているんですか?」", "376000811_29": "「それが、頑張ってみたんだけど、\\n 開かないんだよね……」", "376000811_30": "「エルフナインのものだとしたら、捨て置けないな。\\n しっかりと調査を――」", "376000811_31": "「じ、地震デスかッ!?」", "376000811_32": "「違う……ッ!\\n 何か、来ます……ッ!」" }