{ "389000912_0": "「お、おおォオオ……ッ!\\n 何もかもガ……全テが失わレテゆく……ッ!」", "389000912_1": "「ワ、私ノ、完美が……ッ、『完全』が……ッ!\\n この手ニ掴んだ、夢ノ世界、ガ……ッ!」", "389000912_2": "「お前が手にした『完全』は所詮、\\n 悪魔が見せた、泡沫に浮かぶまやかしの世界……」", "389000912_3": "「真実の『完全』など、人の身のわたしは最早語るまい。\\n それは、きっと終わりなき夢の中でしか出会えぬものなのだ……」", "389000912_4": "「終わりナき……ゆメ……?」", "389000912_5": "「だからこそ人は、夢を追うッ!\\n 紡ぎ、繋ぎ、託しながら――ッ!」", "389000912_6": "「故にこそ、重ねてきた夢がッ! 想いこそがッ!\\n 『完全』をも凌駕する――可能性の翼となるのだぁぁッ!」", "389000912_7": "「お、おおお……美しいッ! なんという、苛烈な……ッ\\n あの頃の……はじめて目にした時の、ニケのように……ッ!」", "389000912_8": "「欠けたそなたを、美しいと思った。夢想した……ッ!\\n その腕は、そのかんばせは、如何に世界を見つめていたのか――」", "389000912_9": "「そう、か……あのときの、想いが……\\n 完美が……見果てぬ夢だからこそ……ッ!」", "389000912_10": "「ああ、そうか……\\n そうなのだな……」", "389000912_11": "「私は……託したかったのか……\\n 私だけの、不全なる完全を……それでも、誰かに……」", "389000912_12": "「ただ、それだけの――……」" }