{ "388000741_0": "「ご、合格……?」", "388000741_1": "「合格って、どういうことだッ!?\\n 山頂につくのが目的なんじゃないのか?」", "388000741_2": "「この試験の本質は、山頂に辿り着くことではありません。\\n ……というより、決して山頂には着かないようになっています」", "388000741_3": "「嘘だったってことか……?」", "388000741_4": "「すみません、騙すような真似をして」", "388000741_5": "「ですが、皆さんの覚悟、しかと見届けました」", "388000741_6": "「さっき語った忍の覚悟……\\n あれは騙りだったということ?」", "388000741_7": "「嘘というわけではありませんよ。確かに、たとえ犠牲を\\n 出しても任務を全うしなければならないときはあります」", "388000741_8": "「しかし、そこで簡単に仲間を切り捨てるのは、\\n 強さではなく諦めです」", "388000741_9": "「切り捨てるは強さに非ず。\\n 忍の道とは、心を捨てることではありません」", "388000741_10": "「決して諦めず、どんな苦境にも折れずに\\n 耐え忍ぶ強い心を、主君の刃であるその身の礎とする」", "388000741_11": "「それが、刃の下に心あり、ということです」", "388000741_12": "「ここで未来さんを置いていくことを選ぶようでしたら、\\n その時点で皆さんを失格とし、修行を中断するつもりでした」", "388000741_13": "「ということは……」", "388000741_14": "「草薙の現頭領として、認めましょう。\\n 皆さんの心には、既に忍の資格があります」", "388000741_15": "「免許皆伝のお墨付きがもらえたみたいね」", "388000741_16": "「ん? 待ってくれよ。だったら、山頂でくれるって言ってた、\\n 草薙の秘伝ってのはなんだったんだ?」", "388000741_17": "「ああ、それですか。\\n 残念ながら、そんな便利な秘伝は存在しません」", "388000741_18": "「そうだったんですかッ!?」", "388000741_19": "「なんだよ、緒川さんも人が悪いなぁ」", "388000741_20": "「その過程で心の強さを証明することが、\\n 本当の試練だったんですね」", "388000741_21": "「その通りです。\\n 皆さんは見事、証明してくれました」", "388000741_22": "「本当に大切なのは、心の強さか。\\n 忍者ってのは、粋なもんだな」", "388000741_23": "「恥ずかしながら……長らく草薙の里から離れていた僕も、\\n それをしばらくは失念していたんですよ」", "388000741_24": "「大切なことを僕に思い出させてくれたのは、\\n 翼さんです」", "388000741_25": "「そうなのか?", "388000741_26": " へへッ、さすがは翼だ」", "388000741_27": "「それより、修行が済んだのなら早く戻りたいところね。\\n 寒さはなくなったけど、消耗していることに変わりはないもの」", "388000741_28": "「そうですね。\\n それでは、精神世界の外に出してもらうようコンタクトを……」", "388000741_29": "「な、なんだッ!?」", "388000741_30": "「地震……ッ!?」", "388000741_31": "「いえ、この世界で起こることは、全て僕が管理できるはずです。\\n 地震なんて起こるはずが……」", "388000741_32": "「空間にひびが……ッ!?」", "388000741_33": "「これは……なんらかの外的要因で、\\n ダイヴマシンが機能不全を起こしている……?」", "388000741_34": "「く……ッ!」", "388000741_35": "「緒川さんッ!?\\n どうしたんですかッ!?」", "388000741_36": "「いけない……、\\n この世界が、壊れる……ッ!」" }