{
"388000311_0": "ダイヴマシン・ニライカナイ",
"388000311_1": "「ひとまず、状況を整理しよう」",
"388000311_2": "「二課を襲撃してきた人物だが、\\n 本人の名乗りの通り、アカオニと呼称する」",
"388000311_3": "「緒川の報告によれば、アカオニは何者かから仕事を請け負い、\\n 二課を潰しに来たということだ」",
"388000311_4": "「このことから、アカオニはいずれかの機関に属しているか、\\n 対価を得て任務を請け負っていると考えられる」",
"388000311_5": "「機関となると……錬金術師協会か?」",
"388000311_6": "「あるいはパヴァリア光明結社か」",
"388000311_7": "「あなたたちの世界にあるという錬金術師の組織ですか」",
"388000311_8": "「現状、どちらもこちらの世界では確認できていない」",
"388000311_9": "「というか、あんな男が組織の中でやっていけるかしら?」",
"388000311_10": "「それについては同意ですね。\\n 到底、他人に合わせられるとは思えません」",
"388000311_11": "「…………」",
"388000311_12": "「……なぜ僕をじっと見ているのですか?」",
"388000311_13": "「別に。あなたに言われるとは、\\n アカオニも不本意だろうと思っただけよ」",
"388000311_14": "「あー、話を戻すぞ。",
"388000311_15": " ……アカオニの行動だが、一貫性があまりに無さすぎる」",
"388000311_16": "「能力は紛れもなく一流だが、\\n 任務とやらに対する職業意識があまりに希薄だ」",
"388000311_17": "「聖遺物保管庫に迫っていたっていうのに、\\n あっさり引き返したわね」",
"388000311_18": "「緒川。\\n おまえはアカオニをどう見る?」",
"388000311_19": "「なんといいますか……間違った忍者のイメージに憧れた、\\n 海外のコミックファンという印象です」",
"388000311_20": "「それでいて、錬金術を忍術に見立て、多彩な術を行使する\\n 能力の高さから、相当の実力者といえるでしょう」",
"388000311_21": "「そういえば、どの術もえらく派手だったな。\\n 炎の鳥とか、水の龍とか」",
"388000311_22": "「本当の忍は、\\n あのような派手な術は使わないのですが……」",
"388000311_23": "「とはいえ、脅威であることは確かだわ。\\n 対策が必要だと思うけれど」",
"388000311_24": "「ああ。正直、2人の動きが早すぎて、\\n あたしたちは割って入れなかったしな」",
"388000311_25": "「あの……、\\n 1つ、聞いてもいいでしょうか?」",
"388000311_26": "「どうしました?」",
"388000311_27": "「緒川さんは、アカオニの攻撃を簡単に打ち消していたように\\n 見えました。あれはいったい、どうやったんですか?」",
"388000311_28": "「よく気付きましたね。あれは、アカオニの術が\\n 五行思想を下敷きにしていたからできた対策です」",
"388000311_29": "「五行思想……?」",
"388000311_30": "「この世界の全てのものは、\\n 木火土金水の5種類の元素から成り立つという考え方です」",
"388000311_31": "「この5つの元素には、相手を活かす相生関係と、\\n 逆に相手を打ち消す相剋関係があります」",
"388000311_32": "「相手を打ち消す……つまり、緒川さんはアカオニの術に\\n 相剋関係の術をぶつけたということですか?」",
"388000311_33": "「正解です。だからこそ、僕はアカオニよりも小さな力で、\\n 相手の術を打ち消すことができたんです」",
"388000311_34": "「もっとも、アカオニの術は錬金術を下敷きにしているので、\\n 地水火風の四大元素を応用していたようですが」",
"388000311_35": "「東洋と西洋における、\\n 自然界の力の定義の違いというわけね」",
"388000311_36": "「アカオニに対抗するには、あの奇抜な体術だけでなく、\\n 忍術への対策も必要になるということか……」",
"388000311_37": "「対策について詰めていくとしよう。……ここからは長くなるな。",
"388000311_38": " 装者の皆は、ひとまず休んでいてくれ」",
"388000311_39": "「おいおい、水くさいぜ、ダンナ。\\n せっかく来たんだ、あたしたちにも協力させてくれよ」",
"388000311_40": "「同感ね。\\n なにより、やられたままじゃ引き下がれないわ」",
"388000311_41": "「しかし……」",
"388000311_42": "「ここまで来て、お客さん扱いはなしですよ」",
"388000311_43": "「フッ……君たちには敵わないな。",
"388000311_44": " わかった。引き続き、協力を頼む」",
"388000311_45": "「おう、任せとけッ!」",
"388000311_46": "「それならまずは、アカオニの動きに対応できるよう、\\n 訓練が必要ね」",
"388000311_47": "「あの動きについていく、か……。\\n 一朝一夕でどうにかなることじゃなさそうだけど」",
"388000311_48": "「やっぱ、緒川さんに鍛えてもらうのが手っ取り早いよな」",
"388000311_49": "「司令が認めてくださるのであれば、\\n 僭越ながら手ほどきさせていただきましょう」",
"388000311_50": "「おまえほどの適任はいないだろう。",
"388000311_51": " 装者たちへの修行は任せたぞ」",
"388000311_52": "「了解しました。ただ、対策のために忍術のいろはを\\n 会得するには、それなりに時間がかかります」",
"388000311_53": "「えーと……やっぱり、\\n 何年も修行しなきゃいけなかったり?」",
"388000311_54": "「本来はそうですが、今回は目的が限定されているので、\\n 皆さんであれば数日で成果を得られるかと考えています」",
"388000311_55": "「もっとも――短期間に修行を集中させるので、\\n 厳しいものになりますが」",
"388000311_56": "「数日か……それでも相当の短期間だが、\\n 再度の襲撃が予想される状況では間に合うかわからないな」",
"388000311_57": "「確かにそうですが、装者の皆さんが戦いに慣れている\\n とはいえ、それ以上の短縮は……」",
"388000311_58": "「付け焼き刃では、アカオニには届かない、か」",
"388000311_59": "「それでも、やれることをやるしか……」",
"388000311_60": "「そこでこの天才の出番ですよッ!」",
"388000311_61": "「うわッ、びっくりした……ッ!\\n な、なんだよいきなり……?」",
"388000311_62": "「これは失礼しました。\\n 遅くなりましたが、あなたとは初めましてですね」",
"388000311_63": "「僕の名は、ドクター・ウェェェェェルッ!\\n この世界に2人といない、超ッ! 天才科学者にして英雄ッ!」",
"388000311_64": "「お、おぉ……。\\n なんだかすごいやつがでてきたな……」",
"388000311_65": "「正直に、うさん臭いって言っていいのよ」",
"388000311_66": "「いや、そういうわけにも……」",
"388000311_67": "「…………」",
"388000311_68": "「ん? どうしたのかしら。\\n 私の顔、何かついてる?」",
"388000311_69": "「いや……あんた、もしかして……。",
"388000311_70": " でも雰囲気は全然違うし……」",
"388000311_71": "「ああ、そういうこと。\\n あなたの世界にも櫻井了子はいるのね」",
"388000311_72": "「私のことはフィーネと呼んでもらった方が\\n しっくりくるのだけれど」",
"388000311_73": "「そうか……わかったよ。",
"388000311_74": " よろしくなッ、フィーネッ!」",
"388000311_75": "「ええいッ! 邪魔をするなッ!\\n せっかくの僕の見せ場だというのにッ!」",
"388000311_76": "「はいはい、お好きにどうぞ。\\n どうせ、ろくでもない思いつきでしょうけど」",
"388000311_77": "「ふん……まあいい。\\n それでは、気を取り直して」",
"388000311_78": "「皆さん。この危機を乗り切る方法――\\n 僕が持っているとしたら?」",
"388000311_79": "「あるのか?\\n そんな手段が?」",
"388000311_80": "「あるのですよッ!\\n この状況を救う、たった1つの手段がッ!」",
"388000311_81": "「それこそ、この天才が発案した、世紀の大発明ッ!\\n その名も――ダイヴマシン・ニライカナイッ!」"
}