{ "386000911_0": "勇烈に咲え<わらえ>、六重の唄", "386000911_1": "「…………」", "386000911_2": "「……これで、\\n これで、よかったのじゃ」", "386000911_3": "「ここでなら、\\n このバケモノを封じ続ける事ができる……」", "386000911_4": "「おぬしが外の世界に出ることは叶わぬ。\\n わしがここに居続ける限り、永遠な」", "386000911_5": "「……永遠か。\\n どれだけの長さなのか、想像もつかんな」", "386000911_6": "「だが、仕方のないことじゃ。\\n 全ては、わしの未熟さが招いたことじゃからの……」", "386000911_7": "「……しかし、\\n この中はなんとも静かじゃの」", "386000911_8": "「あやつらが賑やかだったから、\\n 余計に静かに感じてしまうわい」", "386000911_9": "「そういえば、\\n あやつらと一緒に食べた、キツネうどんは美味かったのぉ」", "386000911_10": "「こんな事になるのなら、\\n 無理を言ってでも、おかわりをしておけばよかったわい」", "386000911_11": "「……だが、\\n それも、もはや遠い夢じゃ」", "386000911_12": "「ここには、\\n 何もない」", "386000911_13": "「ここには、\\n 誰もいないのじゃから」", "386000911_14": "「……む?」", "386000911_15": "「気のせいか?\\n 今、少し揺れたような」", "386000911_16": "「――――」", "386000911_17": "「……むむ?\\n 今度はなんじゃ?」", "386000911_18": "「――――」", "386000911_19": "「これは……声?」", "386000911_20": "「そんなバカな。\\n ここには誰もおらん。声など聞こえるはずが――」", "386000911_21": "「――――ッ!」", "386000911_22": "「――――!!」", "386000911_23": "「……まさかッ!?\\n この声はッ!?」", "386000911_24": "「――ちゃんッ!」", "386000911_25": "「――コちゃん!」", "386000911_26": "「いやッ、そんなはずはないッ!\\n これは気のせいじゃッ!」", "386000911_27": "「あやつらの……、", "386000911_28": " あやつらの声が聞こえるなんて――ッ!?」", "386000911_29": "「――なッ!?」", "386000911_30": "「ヤコちゃんッ!」\\n「ヤコちゃん!!」" }