{ "384000442_0": "「これで最後デスッ!」", "384000442_1": "「ノイズは倒したけど……」", "384000442_2": "「あの子、助けを求めてたデス……。\\n どうして助けてくれないのって泣いてたデスよ……」", "384000442_3": "「カルマノイズを倒すのはアタシたちの使命デス。\\n でも……、本当にあれでよかったのか自信がないデス……」", "384000442_4": "「ともかく、今はあの人から話を聞きましょう」", "384000442_5": "「テロリストは?」", "384000442_6": "「残念ながら見失ったと報告が……」", "384000442_7": "「……まあ、いいでしょう。\\n カルマノイズが消滅した今、捕縛も時間の問題です」", "384000442_8": "「ナスターシャ所長ッ!\\n 全て、話してもらうわよッ!」", "384000442_9": "「一体何を聞きたいのですか、並行世界の装者たち」", "384000442_10": "「決まっているわッ!\\n あの子供たちのことよッ!」", "384000442_11": "「あんなの、聞いてないデスッ!」", "384000442_12": "「機密事項なのですが、\\n 見られてしまった以上隠しても仕方ありませんね」", "384000442_13": "「あれが完全聖遺物、フィクス・ルミナレスなのです」", "384000442_14": "「ネフィリムの餌となる果実を実らせる聖遺物……」", "384000442_15": "「植物が果実を実らせるには、\\n 『養分』が必要です」", "384000442_16": "「養分……まさか……ッ!」", "384000442_17": "「ええ。あの子供たちの生命エネルギーを吸って、\\n フィクス・ルミナレスは育っているのですよ」", "384000442_18": "「――ッ!!」", "384000442_19": "「つまり、人間の命を使って\\n ネフィリムの運用を……ッ!?」", "384000442_20": "「ソフィアたちは、あの子供たちを\\n 必死で助けようとしていたんデス……ッ!」", "384000442_21": "「ソフィアたちにとって、あの子供たちは家族も同然。\\n ここで共に育った孤児たちなのですから」", "384000442_22": "「じゃあ……あの子たちの怒りは、憎しみは……ッ!」", "384000442_23": "「全て、家族を傷つけられたから……」", "384000442_24": "「ノイズやカルマノイズを使ってまで\\n 戦っていたのも、家族のために……ッ!」", "384000442_25": "「そうでしょう。\\n 不要な情報ですので、あなたたちには伏せていましたが」", "384000442_26": "「酷い、酷すぎるよ……ッ!」", "384000442_27": "「誰かの命を使って平和を護るなんて、\\n こんなのは間違っているわッ!!」", "384000442_28": "「何が間違っているというのです」", "384000442_29": "「世界を護る方法は限られています。\\n その中に、犠牲を一切出さない方法など存在しません」", "384000442_30": "「たったこれだけの犠牲で多くの人々を\\n 護ることができるのです。間違いなどどこにもないでしょう」", "384000442_31": "「そ、そんな……」", "384000442_32": "「この子たちを解放することは、\\n 世界の平和を諦めることを意味するのですよ」", "384000442_33": "「でも……、F.I.S.で一緒に過ごしたと言うのなら、\\n あなたにとっても、子供たちは家族のはずよ」", "384000442_34": "「そうデスッ! マムだったらあるはずデスッ!\\n 子供たちに対する、愛が……ッ!」", "384000442_35": "「愛……?", "384000442_36": " そんなもの、意味がありません」", "384000442_37": "「――ッ!」", "384000442_38": "「教えてあげましょう。\\n 大切なことは優先順位と役割です」", "384000442_39": "「優先されるべきことは、\\n 少ない命よりも多くの命――」", "384000442_40": "「聖遺物を扱える私の役割は、\\n F.I.S.を率い優先される命を護ること」", "384000442_41": "「そして、あの子たちは――、\\n 命をネフィリムに差しだすことでしか役に立てない」", "384000442_42": "「何も私は、\\n 自分の命惜しさでこんなことをしているわけではありません」", "384000442_43": "「それが自分の役割ならば、\\n 喜んで命を差しだしましょう」", "384000442_44": "「…………」", "384000442_45": "(違う……。\\n この人は、マムとは根本から違う人間だわ……)", "384000442_46": "(人の命を、\\n まるで道具やお金みたいに……)", "384000442_47": "(理屈では、正しいことを言っているって理解できるデス。\\n でも、絶対絶対間違っているデス……ッ!)", "384000442_48": "「そ、それでもッ! 平和のためだろうと、\\n こんな非道が許されるはずがないわッ!」", "384000442_49": "「F.I.S.は米国政府直下の機関です。\\n それがどういうことか、分かりますね?」", "384000442_50": "「――ッ!\\n 国家ぐるみでこんなことを……」", "384000442_51": "「でも……ッ!」", "384000442_52": "「――総員、装者たちを包囲しなさいッ!」", "384000442_53": "「――ッ!」", "384000442_54": "「動くなッ! 動かないでくれッ!\\n ヘタな動きをすれば引き金を引くッ!」", "384000442_55": "「あなたたち……どうしてッ!?\\n あなたたちも知らなかったのでしょう?」", "384000442_56": "「子供たちを犠牲にした平和でいいのッ?」", "384000442_57": "「それが護りたかった正義デスかッ!?」", "384000442_58": "「――ネフィリムが実用化される前、\\n 何人もの仲間がノイズに殺されたッ!」", "384000442_59": "「ッ!?」", "384000442_60": "「ナスターシャ所長は英雄だ……。\\n 犠牲は必要なんだッ!」", "384000442_61": "「そんな……」", "384000442_62": "「さあ、誰が許さないのです?\\n 人ですか? 国ですか? 世界ですか?」", "384000442_63": "「それとも――まさか並行世界から来た、\\n あなたたちが許さないとでも?」", "384000442_64": "「わたしたちは……」", "384000442_65": "「……分かりましたね。\\n F.I.S.こそ、この世界を護る正義なのです」", "384000442_66": "「平和を護る者として、カルマノイズの撃破には感謝しています。\\n ですがこれ以上の干渉は決して許しません」", "384000442_67": "「あなたたちの任務は終わりました。\\n さあ、自らの世界に戻りなさい」", "384000442_68": "「この世界は心配要りません。\\n 必ずや、私たちが護ってみせましょう――」" }