{ "380000811_0": "戦術的撤退", "380000811_1": "「逃げるな、天羽奏ッ!\\n そんな装者など、オレは認めないッ!」", "380000811_2": "「お前は1人になるのが怖いんだろう。\\n ならばお前に聞く。今、この場でお前は1人なのか?」", "380000811_3": "「え……?」", "380000811_4": "「オレたちは錬金術師、二課とは一時的な共闘に過ぎない。\\n だが、それでも今、肩を並べて戦っている」", "380000811_5": "「並行世界のあいつは――装者だとか錬金術師だとか関係なく、\\n 共に並び立つ者を仲間と呼び、誰とでも手を繋ごうとしていた」", "380000811_6": "「…………」", "380000811_7": "「お前はどうなんだ。オレたちのために力を使い果たしたミカを、\\n 今隣で戦っているオレたちを何と呼ぶッ!」", "380000811_8": "「……これだけ言っても分からないなら、\\n もうお前の力などには頼らん」", "380000811_9": "(響……。そうだ、向こうのみんなは、装者でも錬金術師でも\\n 関係なく受け入れて、共に戦っていた……)", "380000811_10": "(それだけじゃない。戦う力はギアだけじゃなかった。世界蛇との\\n 戦いは、装者以外も多くの人が力を尽くしたから勝利できた)", "380000811_11": "(装者か、装者じゃないかなんて、関係ないんだ……。\\n それなら、あたしは――)", "380000811_12": "「このままゲートが消失してしまえば……\\n また1人になってしまうと思ってた」", "380000811_13": "「だけど、肩を並べて戦ってくれる仲間がいる。\\n 後ろで支えてくれる人がいる」", "380000811_14": "「あたしは1人じゃない――ッ!」", "380000811_15": "「ヌオォォォォォォォッ!」", "380000811_16": "「危ないッ!」", "380000811_17": "「分かっているッ!\\n こんなもの食らうかッ!」", "380000811_18": "「違うッ! 本命はその次――」", "380000811_19": "「な――ッ!?\\n くッ、躱せない――」", "380000811_20": "「マスターッ!」", "380000811_21": "「させるか――ッ!」", "380000811_22": "「……悪かった。\\n 頼む。もう一度、一緒に戦わせてくれ」", "380000811_23": "「天羽奏……」", "380000811_24": "「……フン、頼まれなくても\\n とっくに一緒に戦っているだろう」", "380000811_25": "「そういうことだな」", "380000811_26": "「ありがとう。……ゲートの事、知ってたんだな。\\n 向こうの世界と連絡が取れなくなってるって」", "380000811_27": "「ああ、調べたからな」", "380000811_28": "「それについても謝らせてくれ。\\n 隠していて悪かった」", "380000811_29": "「そんなことはどうでもいい。\\n 元々オレたちは仲間ではないし、秘密もあって当然だ」", "380000811_30": "「それでも、あたしが謝りたいんだ。\\n だから、ごめんなッ!」", "380000811_31": "「言う通り、あんたたちはあたしの仲間だッ!」", "380000811_32": "「……好きにしろ」" }