{ "380000521_0": "「悪かった。\\n あたしが失敗していなければ……」", "380000521_1": "「気にするな。\\n 無事帰ってきてくれただけでも十分だ」", "380000521_2": "「了子さん、ゲート消失の調査はあまり進んでないんだろう?」", "380000521_3": "「……そうね。芳しくはないわ」", "380000521_4": "「ザックームとゲートの消失には、\\n 結局関連はあるのかな?」", "380000521_5": "「それも分からないのよ。彼女たちの報告を信じるなら、\\n ゲートが消失した時、ザックームはまだ欧州にあったんだから」", "380000521_6": "「サンプルがあれば、関連性があるか\\n 調べられたのに……ッ!」", "380000521_7": "「……それはそうね」", "380000521_8": "「それなら、やっぱりあたしのせいだ……。\\n あたしは、今この世界にいる唯一の装者なのに……」", "380000521_9": "「…………」", "380000521_10": "「切り替えろ、奏。\\n チャンスはまた、すぐに訪れるだろうからな」", "380000521_11": "「……ああ。分かった」", "380000521_12": "「流石だな」", "380000521_13": "「なんの事だ?」", "380000521_14": "「二課にサンプルを渡さなかった事だ。\\n もっとも、渡そうとした所で、オレが阻止したがな」", "380000521_15": "「ああ、もしもの時のために、\\n 取引の材料は必要だろう」", "380000521_16": "「それより、このサンプルだが――。\\n 成長により、火への耐性を獲得し始めているようだ」", "380000521_17": "「……ああ、オレの全力の炎にも耐えて逃げたくらいだ。\\n だが、3体同時に現れたのはどういう訳なんだ?」", "380000521_18": "「手に入れたサンプルを調べたが、\\n 構造は、眷属である葉と同じようなものだった」", "380000521_19": "「……推測だが、あの3体はどれも\\n 本体じゃないのかもしれない」", "380000521_20": "「本体じゃない、だと?」", "380000521_21": "「ああ。もしかして今まで現れていた樹木型の怪物は、\\n 樹でいう根茎の先なんじゃないだろうか」", "380000521_22": "「本体が伸ばした根の一部だというのかッ!?\\n だとすると、本体はまだ地下に?」", "380000521_23": "「ああ、そうだろう。\\n そして本体に近いほど、耐性が高いということかもしれない」", "380000521_24": "「確かにそれならば説明はつくな」", "380000521_25": "「これは二課にも知らせておく必要があるだろうな」", "380000521_26": "「ああ。協力して、ザックーム本体の\\n 居所を改めて探る必要があるだろう」", "380000521_27": "「じっとしていられなくて、パトロールに出てみたけど、\\n そんな都合よく――」", "380000521_28": "「きゃぁぁぁぁぁぁッ!」", "380000521_29": "「――ッ!」", "380000521_30": "『トゥルルッ! トゥルルッ!』", "380000521_31": "「奏、市街地にザックームの葉が大挙しているッ!」", "380000521_32": "「――ああッ! 今、叫び声が聞こえた。\\n すぐに向かうッ!」" }