{ "372001111_0": "見守る者たち", "372001111_1": "「奏、遅くなってごめん。海外ツアーに行ってたんだ。\\n わたしたちの歌、皆が喜んでくれてね……」", "372001111_2": "「……そういえば久しぶりに、\\n 環さんと再会したんだ」", "372001111_3": "「環さん、わたしたちを護りたくて\\n あんな態度を取っていたらしいよ」", "372001111_4": "「……奏は初めから環さんの本質に気付いてたんだよね」", "372001111_5": "「でも、わたしは本当のことを知らされて\\n びっくりしちゃったよ……」", "372001111_6": "「それに……気付かされた。\\n 防人もまた、誰かにとっては護りたい人……なんだね」", "372001111_7": "「まさか装者になって、ここまで誰かから庇護されていると\\n 感じることになるとは思いもしなかった」", "372001111_8": "「――へぇ、迷惑だったかい?」", "372001111_9": "「環さん……ッ!\\n どうしてここに……ッ!?」", "372001111_10": "「今回、装者たちの心根を知ることはできた。\\n 天国の仁も、さぞや安心していることだろうさ」", "372001111_11": "「そうであれば良いのですが……」", "372001111_12": "「ああ、翼との確執も解れ、仁の遺志を継ぐのも一区切りだ。\\n そうなると奏にだけ説明しないのは、不義理な気がしてな」", "372001111_13": "「説明……ですか?」", "372001111_14": "「奏さ。アタシはこれまで自分の狭い了見で\\n 装者は不幸だと決めつけていた」", "372001111_15": "「だが、アタシが本当に不満に思っていたのは\\n あんたらに面倒押し付けて、知らん顔してる大人たちさ」", "372001111_16": "「だから、訓練次第で誰にでも操れる兵器を作って、\\n 自分の身は、自分で護れって叩きつけてやることにした」", "372001111_17": "「それだけ説明しにきた」", "372001111_18": "「その兵器が完成した暁には、\\n またわたしと並び立って、共闘してくれるのですか?」", "372001111_19": "「バーカ。そうならなくて済むようにしたいっつってんのに\\n 相変わらず話の通じないガキだねッ!」", "372001111_20": "「まぁ、翼が危ないときは、仕方ないから駆けつけてやるよッ!」", "372001111_21": "「……ありがとうございます。\\n 背を預け合うに相応しいと思っていただけるよう、精進します」", "372001111_22": "「……まぁ、なんだ。墓前で立ち話ってのもなんだし、\\n この後……茶でもどうだ?」", "372001111_23": "「せっかくなら……他の連中も\\n 誘っていいぞ」", "372001111_24": "「……」", "372001111_25": "「……ど、どうなんだよ」", "372001111_26": "「――えぇ、ぜひ」" }