{ "363000211_0": "闇のオーディション開幕", "363000211_1": "「うわあああああああッ!」", "363000211_2": "「……あれ?」", "363000211_3": "「どこかへ辿り着いたようだが、\\n 一体ここはどこなんだ?」", "363000211_4": "「あれは……2人とも見てッ!」", "363000211_5": "「たあッ!」", "363000211_6": "「はあッ!」", "363000211_7": "「やあッ!」", "363000211_8": "「ここは……舞台?」", "363000211_9": "「誰かが戦っている……」", "363000211_10": "「あれはお芝居なんですかね?\\n でも……本気で戦ってるように見えます」", "363000211_11": "「彼女たちは舞台少女」", "363000211_12": "「舞台少女……」", "363000211_13": "「――って、ええええぇぇッ!!」", "363000211_14": "「キリンが喋ってるッ!?」", "363000211_15": "「上演中に大声を出さないでください。\\n 何に驚いているのかわかりかねますが……」", "363000211_16": "「あ、あなたは一体……?」", "363000211_17": "「私はレヴューを心待ちにしている普通の観客です」", "363000211_18": "「『普通の観客』って」", "363000211_19": "「ここで行われているレヴューについて、\\n ご存じないのなら、ご説明いたしましょう」", "363000211_20": "「歌とダンスが織りなす魅惑の舞台\\n 『レヴュー』」", "363000211_21": "「舞台少女はオーディションとして、\\n レヴューで『キラめき』を競い合っているのです」", "363000211_22": "「もしかして――?」", "363000211_23": "「ああ……」", "363000211_24": "「合格すれば、トップスタァとして、\\n 望む舞台に立つことができるでしょう」", "363000211_25": "「望む……舞台……?」", "363000211_26": "「なかなか興味深い話ね。\\n これは、あなたが仕組んだことなの?」", "363000211_27": "「いいえ。私ではありません」", "363000211_28": "「今回のオーディションは、\\n とある舞台少女によって開催されたものなのです」", "363000211_29": "「本来はあり得ないことですが……、\\n その舞台少女が手にしたとある力が、可能にしました」", "363000211_30": "「ゆえに、私も一傍観者にすぎません」", "363000211_31": "「ですが……ほら、素晴らしい舞台でしょう?」", "363000211_32": "「2人とも、ここはわたしに任せてッ!」", "363000211_33": "「いいえ、華恋。わたしも行くわ」", "363000211_34": "「うん。\\n こんなところで倒れるわけには……ッ!」", "363000211_35": "「鬼気迫るあの殺陣……とても演技だとは思えないわ」", "363000211_36": "「これは、オーディションだと言ったな?\\n では、判断基準は? 審査員はどこにいる?」", "363000211_37": "「審査員は必要ありません」", "363000211_38": "「より強い『キラめき』を見せることができるか……」", "363000211_39": "「そして、彼女たちが身に着けている\\n あの上掛け」", "363000211_40": "「先に相手の上掛けを落とし、ポジションゼロに\\n 立つことができた者が――」", "363000211_41": "「次のオーディションに進むことができるのです」", "363000211_42": "「えっと、その『ポジションゼロ』ってなんですか?」", "363000211_43": "「ステージの中心には印がついているんだ。\\n それをポジションゼロと呼ぶ」", "363000211_44": "「そこに立つのは、舞台の主役……」", "363000211_45": "「なるほど……。\\n つまりあの戦いは、舞台の主役を奪い合って……」", "363000211_46": "「……だけど、主役だけが勝ちで、他の役はみんな負けって、\\n なんだか悲しいですね」", "363000211_47": "「きっとどんな役だって、いらない人なんていないのに……」", "363000211_48": "「ちょっと待ってッ!\\n 大変、あの子たち……ッ!」", "363000211_49": "「くッ……」", "363000211_50": "「うぅ……なんで……」", "363000211_51": "「わたしたち、負けるわけには……」", "363000211_52": "「わかります。\\n あの迫真の演技……まさに真剣勝負」", "363000211_53": "「見ていてください、今にきっと……ッ!」", "363000211_54": "「わたしたちは……」", "363000211_55": "「みんなのためにも……」", "363000211_56": "「負けられない……ッ!」", "363000211_57": "「もう一度行くよ、ひかりちゃんッ!\\n ばななッ!」", "363000211_58": "「ええ、華恋ッ!」", "363000211_59": "「こんなところで倒れるわけにはいかないわ……ッ!」", "363000211_60": "「きっと、もうすぐ……だから……ッ!」", "363000211_61": "「絶対、負けないッ!」", "363000211_62": "「うんッ! 諦めるなんて、ノンノンだよッ!」", "363000211_63": "「まだまだここからなんだからッ!」", "363000211_64": "「敵を圧倒しながらもあれほど美しく魅せられるとは……」", "363000211_65": "「歌も、つい聴き入ってしまうわ。素晴らしい……」", "363000211_66": "「よくわからないけど……すごいですッ!\\n あっという間に全部倒しちゃって……」", "363000211_67": "「しかし、これで終わり……という雰囲気ではなさそうだな」", "363000211_68": "「わかります。\\n このオーディションを開始した舞台少女がまだ――」", "363000211_69": "「わたしの歌を、聴きなさい……」", "363000211_70": "「この歌声は……」", "363000211_71": "「みんな、気をつけて。来るッ!」", "363000211_72": "「来たわね。\\n 闇の……舞台少女……ッ!」", "363000211_73": "「主役は、わたしのもの……ッ!」", "363000211_74": "「きゃああああッ!?」" }