{ "361000641_0": "(わたしにとって『唄う』とは……、\\n 『ステージに立つ』とはどういうことなのだろう)", "361000641_1": "(あの時、神楽に問われたことが引っかかる――)", "361000641_2": "「あなたが舞台に上がる理由って何?」", "361000641_3": "「それは、当然ファンの皆のためだ。\\n 風鳴翼を待ってくれている人の気持ちに応えたい」", "361000641_4": "「そう……」", "361000641_5": "「それじゃあ、翼はファンがいなくなったら、\\n 何も期待されなくなったら唄うことを辞めてしまうの?」", "361000641_6": "「そ、それは……」", "361000641_7": "(あの時、わたしは何も答えることができなかった……)", "361000641_8": "(今、同じことを問われたら……、\\n わたしははっきりと答えることができるだろうか?)", "361000641_9": "(いや……今のわたしでは――)", "361000641_10": "「……どうかしましたか?」", "361000641_11": "「えッ……」", "361000641_12": "「台本をじーっと見つめたままだから、\\n どうかしたのかなって」", "361000641_13": "「あぁ、すまない。なんでもないんだ」", "361000641_14": "「何か心に引っかかることがあるなら、言ってくださいねッ!」", "361000641_15": "「ああ……」", "361000641_16": "「舞台少女はライバルでもあるけど、仲間だから。\\n 翼さんは1人じゃないですよッ!」", "361000641_17": "「とっても心強いマリアさんに、\\n 翼さんのことが大好きな響ちゃん」", "361000641_18": "「わたしも、ひかりちゃんも、ばななもいますからッ!\\n ね?」", "361000641_19": "「愛城……ありがとう」", "361000641_20": "「オーディションの通知……」", "361000641_21": "「終幕が近いということは、\\n これが最後のオーディションになるかもしれないわね」", "361000641_22": "「碧菜さん……わたしたちの気持ち、伝わるかな」", "361000641_23": "「伝えるんだよッ!」", "361000641_24": "「うん、そうだったねッ!」", "361000641_25": "「レヴューで精一杯伝えるんだ、\\n こんな悲しいステージはやめようって」", "361000641_26": "「ここで立ち止まるわけにはいかないわ。\\n 行きましょう」", "361000641_27": "「ええ」", "361000641_28": "「翼も、行くわよ」", "361000641_29": "「……ああ」", "361000641_30": "終幕のレヴュー", "361000641_31": "「碧菜さんは……?」", "361000641_32": "「まだお出ましじゃないようね」", "361000641_33": "「ということは――」", "361000641_34": "「やっぱりあなたたちなのね」", "361000641_35": "「さぁ、行くわよ。みんなッ!」", "361000641_36": "「ええ」", "361000641_37": "「わたしたちの相手はあなたたちじゃないッ!」", "361000641_38": "「井手碧菜、早く出てきなさい……\\n 舞台少女として、あなたに問いたいことがあるッ!」", "361000641_39": "「この音はまた……舞台装置が動き始めたッ!」", "361000641_40": "「またそれぞれに分かれて、\\n レヴューに挑まなくてはならないのか……」", "361000641_41": "「終幕のレヴュー、\\n 彼女はわたしたち2人でのレヴューを望んでいるようね」", "361000641_42": "「ああ、そのようだな」", "361000641_43": "「でも、終幕のラストシーン。\\n ステージに立っているのはわたしたちよ」", "361000641_44": "「そうだな」", "361000641_45": "「こんなところで折れるわたしではないッ!\\n 風鳴る剣にて、参るッ!!」" }