{ "360000111_0": "お留守番任務", "360000111_1": "「――はあッ!?」", "360000111_2": "「お前が何を言っているのかよく聞き取れなかった。\\n もう一度話せ」", "360000111_3": "「働き方改革だよ、いわゆる」", "360000111_4": "「馬鹿も休み休み言えッ!\\n オレの研究は労働ではないッ!」", "360000111_5": "「なんなのかな、それでは」", "360000111_6": "「我が魂の全てをかけるべき命題だ」", "360000111_7": "「聞いたかい、自動人形の諸君。\\n きちんと判断できなくなっているのだよ、多忙のあまり」", "360000111_8": "「貴様、パパからの命題を愚弄する気かッ!?」", "360000111_9": "「マスターを悪く言うのは許さないゾッ!」", "360000111_10": "「ですが、マスターがここのところ、\\n 全く休みをとっていないのは私も地味に気になっていました」", "360000111_11": "「問題ない。疲労回復のために独自の栄養剤を錬成し、\\n 摂取しているからな」", "360000111_12": "「聞いたかい、自動人形の諸君」", "360000111_13": "「それはもういいッ!」", "360000111_14": "「そんなことまでして無理をされているとは……、\\n さすがにマスターのお身体が心配になりますわ」", "360000111_15": "「マスター、栄養剤なんかに頼っていると、\\n そのうち中毒になってしまいますよ」", "360000111_16": "「オレがそんなものに溺れると思うのか?」", "360000111_17": "「いずれにしろ栄養剤を必要とするほど\\n 疲労が溜まっているというのは確かなようですね」", "360000111_18": "「なんだかよくわからないけど、\\n あたしもマスターが心配になってきたゾ」", "360000111_19": "「チッ、ミカまで……」", "360000111_20": "「おい、オレに休めと言うのなら、\\n まずは協会からの任務を減らしてみたらどうだ」", "360000111_21": "「意味がないのだよ、\\n 代わりにプライベートの研究に没頭されては」", "360000111_22": "「離れる必要があるのだよ、この部屋から。\\n 用意したんだ、そのためにね」", "360000111_23": "「こ……これは……ッ!」", "360000111_24": "「旅券、みたいですね」", "360000111_25": "「オレに旅行なんかに行けと言うのか?」", "360000111_26": "「招待券が手に入ったんだ、とあるリゾート地の。\\n 楽しんでくるといい、全てを忘れて」", "360000111_27": "「旅券によれば6泊7日ということですし、\\n 1週間くらいなら良い休暇になるのでは?」", "360000111_28": "「しつこいやつらだ。\\n そろそろ言い合うのも疲れてきた……」", "360000111_29": "「もういい。今回だけは譲ってやる」", "360000111_30": "「決まりだね」", "360000111_31": "「だが、オレが留守にしている間に発生した任務は\\n どうするつもりだ?」", "360000111_32": "「それでしたら、\\n 私たちが代わりに承りますわ」", "360000111_33": "「そこまで言うのなら……、", "360000111_34": " いや、やはりダメだ。大事な用事が残っていた」", "360000111_35": "「大事な用事……?」", "360000111_36": "「お前のメンテナンスだ。\\n サマエルとの戦いでは、随分無理をさせてしまったからな」", "360000111_37": "「いえ、それでしたらすでに修理していただきましたし、\\n 以降はさほど消耗するようなことも……」", "360000111_38": "「だからこそ、つい後回しにしてしまったが、\\n あの激戦の後だ。微調整しておきたい箇所も多い」", "360000111_39": "「では、レイアも同伴したらどうでしょう?\\n マスターの護衛も必要ですから」", "360000111_40": "「マスターさえよければ、私は派手にご同行します」", "360000111_41": "「……そうか、わかった。今回はオレが折れてやる。\\n お前たちの厚意も無碍にはできんからな」", "360000111_42": "「任務も任せるとしよう。\\n だが、その前に……」", "360000111_43": "「こ……これは……」", "360000111_44": "「もしかして、ラピス……ですか?」", "360000111_45": "「ああ、ラピス・クォーターズだ」", "360000111_46": "「オレのラピス・フィロソフィカスが割れて、\\n 4つの欠片となったものをお前たちが使えるよう調整した」", "360000111_47": "「これがあればレイアだけでなく、\\n お前たちもゴールデンハート・メカニクスを使える」", "360000111_48": "「ご配慮に感謝いたしますわ」", "360000111_49": "「扱いは難しいが、お前たちなら大丈夫だろう」", "360000111_50": "「では、後のことは頼んだぞ」", "360000111_51": "「はい(だゾ)ッ!」" }