{ "354000312_0": "カリオストロがマスコットの相手をしている頃――", "354000312_1": "「ん~、もうちょっと丸くして~」", "354000312_2": "「この状況で1人で雪だるま作りとは、\\n ずいぶんと肝の据わった子供なワケダ」", "354000312_3": "「え……?」", "354000312_4": "「あれ~?\\n ヒトシ兄ちゃんが女の人になっちゃった~?」", "354000312_5": "「1人になっていたことすら気づいていなかったワケか……。\\n ますます肝が据わった子供なワケダ」", "354000312_6": "「悪いが、わたしはヒトシ兄ちゃんではないワケダ」", "354000312_7": "「お前の兄は、おそらく広場にいるワケダ。\\n 一緒に来るんだ」", "354000312_8": "「でも、知らない人には\\n ついていっちゃいけないんだよ~?」", "354000312_9": "「それなら……わたしはプレラーティ。\\n 名乗ったのだから、知らない人ではないワケダ」", "354000312_10": "「ぷれ……?」", "354000312_11": "「ん~、覚えられないから知らないよ~」", "354000312_12": "「これだから、子供は……」", "354000312_13": "「わたしは……見ての通り、サンタクロースなワケダ。\\n サンタぐらい知っているだろ?」", "354000312_14": "「うん、知ってる~ッ!\\n 知ってる人ならよかった~ッ!」", "354000312_15": "(この子は大丈夫なのか……?)", "354000312_16": "「あ、ボクはショウマだよ~」", "354000312_17": "「そうか。それなら、ショウマ。\\n これでついてきてもよくなったワケダ。行くぞ」", "354000312_18": "「えーッ、でも、雪だるま作り終わってないよ~」", "354000312_19": "(こいつ……事態の深刻さに気づいていないな。\\n わかるように説明してやらなければいけないワケダ)", "354000312_20": "(いや、やはり何も知らないままのほうが\\n のちのち面倒が少ないワケダ……)", "354000312_21": "「雪だるまは後にしてほしいワケダ。\\n わたしの仕事は迷子を送り届けることで……」", "354000312_22": "「ボクは迷ってないから迷子じゃないよ~?」", "354000312_23": "「そうなのかもしれないが……。\\n ここにいるのは危ないんだ」", "354000312_24": "「ん~~~~~。\\n もうちょっと~~~~」", "354000312_25": "「なに……?」", "354000312_26": "「だって、雪だるま作り楽しいんだも~ん」", "354000312_27": "「……子供の扱いがこれほど難しいとは、予想外なワケダ」" }