{ "308001011_0": "「おはようございます」", "308001011_1": "「あ、緒川さん。おはようございます」", "308001011_2": "「どうかしたのか?\\n 今日はマネージャーの仕事があるんだろう?」", "308001011_3": "「はい、それが――ちょっと困ったことになりまして」", "308001011_4": "「困ったこと?」", "308001011_5": "「ええ。……翼さん、ほら」", "308001011_6": "「う……しかし……」", "308001011_7": "「大丈夫ですから。出ましょう」", "308001011_8": "「わ、わかりました……」", "308001011_9": "「おお~(デス)ッ!」", "308001011_10": "「翼さん翼さんッ!\\n それこの前の振袖ですよねッ! すっごく似合ってますッ!」", "308001011_11": "「ええ、まるで翼専用にあつらえたみたいにね」", "308001011_12": "「すごく綺麗です……」", "308001011_13": "「あ、ありがとう……」", "308001011_14": "「ヤマトナデシコデスよッ!\\n ヤマトナデシコッ!」", "308001011_15": "「うん、素敵……」", "308001011_16": "「ま、確かに」", "308001011_17": "「ああ、よく似合っていると思うぞ」", "308001011_18": "「それにしても、わざわざ本部にまで見せに来るなんて、\\n 翼も可愛いところあるじゃない?」", "308001011_19": "「……脱げないんだ」", "308001011_20": "「え?」", "308001011_21": "「一度着たら脱げなくなってしまったんだッ!」", "308001011_22": "「ええッ!?」", "308001011_23": "「実はまだ何かしらの効力が残っていたのか、振袖の意志が\\n 消えていないようで……翼さんから引き離せないんです」", "308001011_24": "「頼む……脱がすのを手伝ってくれッ!」", "308001011_25": "「どうなってんだよ、あれ……?」", "308001011_26": "「フフ、よほど好かれちゃったみたいね」", "308001011_27": "「笑い事じゃないんだッ!\\n 頼むから手伝ってくれッ!」", "308001011_28": "「んん~~~ッ!\\n くっついたみたいに離れない――ッ!」", "308001011_29": "「響、その、あんまり全力でやると……」", "308001011_30": "「これは、もっと思いっきりやらないとッ!\\n いきますよ、翼さんッ!」", "308001011_31": "「ま、待ってくれッ!\\n そこまでやられると色々と見られて――」", "308001011_32": "「はあ……。\\n ――男連中は回れ右ッ!」", "308001011_33": "「アタシたちも手伝うデスッ!」", "308001011_34": "「せーので引っ張ろう?」", "308001011_35": "「ここまで離れたがらないなんて……もしかしたら、\\n 少女が恋した少年と翼さんが似ていて、離れたくないとか?」", "308001011_36": "「翼さんの凛々しさならありえそうだ……」" }