{ "356000231_0": "「――アタシ、大・復・活デースッ!」", "356000231_1": "「ぱちぱちぱち……」", "356000231_2": "「立花たちはどうだ?」", "356000231_3": "「こっちも、もう大丈夫ですッ!」", "356000231_4": "「あたしもバッチリだ。いつでも戦えるぞ」", "356000231_5": "「全員回復したようで何よりだ」", "356000231_6": "「これで、T.E.C.を止めるために\\n 本格的に動き始められるな」", "356000231_7": "「ああ、やるべきことを改めて確認しよう」", "356000231_8": "「師匠、ユリウスさん、その前にちょっといいですか?\\n 気になることが……」", "356000231_9": "「気になること?」", "356000231_10": "「……実は、昨晩夢を見たんです。\\n きっとあれは、わたしじゃないわたしの……」", "356000231_11": "「夢の中のわたしは、独りきりで、\\n ひたすらにレーベンガーと戦っていました」", "356000231_12": "「攻撃の感触が、やけにリアルな夢だった……」", "356000231_13": "「なるほど、夢か……。\\n ただの偶然とは、考えにくいな」", "356000231_14": "「ボクも、並行世界のキャロルのことを夢に見たことがあります。\\n 恐らくそれと同じ、精神的リンクの影響ではないでしょうか」", "356000231_15": "「つまりそれは、並行世界の響が\\n 感じていることかもしれないんだね」", "356000231_16": "「うん……、感触だけじゃなくて、すごく心細かった」", "356000231_17": "「誰にも頼っちゃいけない、誰の手も取っちゃいけない。\\n わたしが全部悪かった、ごめんなさいって……」", "356000231_18": "「悲しくて、苦しくて、だけど自分がやらなきゃって、\\n ずっとずっと苦しんでる」", "356000231_19": "「それが、今の彼女の心情だと……」", "356000231_20": "「……だけど、なんであいつがレーベンガーと戦ってんだ?\\n レーベンガーは、T.E.C.の兵隊だよな」", "356000231_21": "「並行世界の立花は、その組織の少女たちと\\n 仲間同士だったはずだが……」", "356000231_22": "「響とT.E.C.が、袂を分かった、とか?」", "356000231_23": "「きっと、悪者だって気づいたデスよッ!」", "356000231_24": "「うん、そうかも」", "356000231_25": "「そうなると、逆に狙われているという可能性もあるわね」", "356000231_26": "「だったら、探しに行って、\\n 助けてあげないと……ッ!」", "356000231_27": "「あのな、まだそうと決まったわけじゃないだろ。\\n 会いに行って敵でした、じゃシャレにならないぞ」", "356000231_28": "「……どちらにしても、今の状況で並行世界の響くんを\\n 探しに行くことは、容認しがたい」", "356000231_29": "「師匠……ッ!\\n ですが、わたしは確かに……」", "356000231_30": "「響くんの精神的リンクについて、\\n 疑っているわけではない。ただ――」", "356000231_31": "「居場所のわからない人間を、数多の並行世界から\\n 見つけるとなると、どれだけ時間がかかるかわからない」", "356000231_32": "「それよりも、並行世界全体を救うために優先すべきは、\\n ニコラ・テスラを見つけ出し、叩くことだろう」", "356000231_33": "「そのためにも、今戦力を分散させるわけにはいかないんだ。\\n わかってくれ」", "356000231_34": "「……はい」", "356000231_35": "「…………」", "356000231_36": "「響……」", "356000231_37": "「もう1人の響を、助けに行きたいんだね」", "356000231_38": "「未来にはお見通しだね。\\n 師匠の言うことはその通りなんだけど――」", "356000231_39": "「精神的リンクで、\\n わたしはあの子の気持ちを直接知っちゃったから」", "356000231_40": "「あんな風に傷ついて、心細く思っている人を\\n 独りぼっちにしたくない……」", "356000231_41": "「わたしはね、響は、もう1人の響を助けに行くべきだと思う」", "356000231_42": "「え……ッ!?」", "356000231_43": "「だって、それが今、響が一番やりたいことなんだから」", "356000231_44": "「今までだって、そうやって困っている人に\\n 手を差し伸べてきたでしょう……?」", "356000231_45": "「それは、全部正しかったかはわからないけど、\\n 少なくとも、間違っていなかったと思う」", "356000231_46": "「そうやって繋いできた手が、今に繋がっているんだもん」", "356000231_47": "「未来……、うんッ! わたしが一番やりたいこと……。\\n 確かにそうだ」", "356000231_48": "「でも――」", "356000231_49": "「響が飛び出せない理由は、\\n みんなを置いていくことになるからだよね」", "356000231_50": "「弦十郎さんの言う通り、\\n そうすることで、みんながピンチになっちゃうかもって」", "356000231_51": "「うん……」", "356000231_52": "「だったらわたしは、ここに残る。\\n そして、響の分まで戦う……ッ!」", "356000231_53": "「響みたいに拳を握りしめて、\\n みんなのことを護るよ」", "356000231_54": "「それに、みんなだって同じ気持ちだと思う」", "356000231_55": "「みんなで手を繋げば、響の留守中くらいは、\\n カバーできちゃうんだから……ッ!」", "356000231_56": "「未来……。\\n 未来って、そんなにかっこよかったっけ……?」", "356000231_57": "「フフ、それも、響を見てきたからだよ」", "356000231_58": "「それに、わかっているから。そうやってみんなで\\n 響の帰りを待っていれば、響は必ずやり遂げてくれる」", "356000231_59": "「もう1人の響っていう新しい希望とも、\\n 手を繋いでくれるって……ッ!」", "356000231_60": "「ありがとう……。わたし、行くよ……ッ!\\n もう1人のわたしに、会いに行ってくるッ!」", "356000231_61": "「問題は、どうやって探すかだね。\\n ギャラルホルンで探せる範囲は限られてるし……」", "356000231_62": "「デュプリケイターがあればいいんだけど……、\\n ユリウスさんが簡単に貸してくれるわけがないよね……」", "356000231_63": "「うーん……」", "356000231_64": "「欲しいのはこれか?」", "356000231_65": "「わ……ととッ!\\n これって、デュプリケイターッ!?」", "356000231_66": "「どうして……」", "356000231_67": "「司令官として、風鳴氏の判断は正しい。\\n だが……俺も、お前に希望を託したいと思ったんだ」", "356000231_68": "「ユリウスさん……」", "356000231_69": "「世界蛇との戦いの時も、お前はそうやって、\\n ミーナに手を差し伸べてくれたな」", "356000231_70": "「結果として、それが突破口となった。\\n ミーナが安らかに逝けたのは、お前の想いがあったからなんだ」", "356000231_71": "「これを、使っていいんですね?」", "356000231_72": "「ああ、やるならやりきってもらう」", "356000231_73": "「はいッ! ありがとうございます」", "356000231_74": "「ごめんなさい、師匠。\\n 帰ったら、ちゃんと謝ります」", "356000231_75": "「響……すぐに行くんだね。\\n 気を付けてね……」", "356000231_76": "「うん、行ってきますッ!」", "356000231_77": "「行ってらっしゃい、響」" }