{ "506001111_0": "天の光はすべて星", "506001111_1": "数日後――", "506001111_2": "「……うわあッ!」", "506001111_3": "「ちょうど夕焼けの時間だったんだ。\\n うわー、うわあああ……キレイッ!」", "506001111_4": "「この空の向こうにみんなの世界がある……。\\n そう思うとなんだか不思議な気分になるね」", "506001111_5": "「この宇宙にある星だけじゃないよ」", "506001111_6": "「直接は繋がっていないかもしれないけど……、\\n この夕焼けを見ていると、あの世界を思い出せるから」", "506001111_7": "「そうだね。\\n 終わりを定められて尚、諦めていなかった星を」", "506001111_8": "「……未来、覚えてるよね、あの世界で聞いた昔話。\\n 神様へ届けと唄ったシンフォギア」", "506001111_9": "「うん。\\n きっとわたしたちと同じ気持ちだった人」", "506001111_10": "「神様に届けと、シンフォギアを唄ったのは\\n この星ではわたしたちだった」", "506001111_11": "「もしもわたしがあの星に生まれていたら、\\n きっと同じことをしたと思うんだ」", "506001111_12": "「たとえそれが滅びを招くとしても、\\n 終わってしまう明日に耐えられなくて」", "506001111_13": "「いくら強くなったつもりでも、結局わたしは弱いままなんだ。\\n だっていつまでも受け入れられない」", "506001111_14": "「救いたい人が救えないことも、\\n 護りたい人が護れないことも」", "506001111_15": "「今だって、キョウちゃんとヨウちゃんを、\\n 送り出すことしかできなかったのが、悔しくて仕方ないッ!」", "506001111_16": "「だからきっと、わたしは歌を止められない。\\n この歌が、世界を傷つけるとしても」", "506001111_17": "「だとしたら――、\\n その時に隣で唄っているのは、わたしだよ」", "506001111_18": "「未来が……隣で……?」", "506001111_19": "「響が神様に手を伸ばした時、\\n 隣にいたのはわたしでしょ?」", "506001111_20": "「だったら世界へ唄う時も、\\n わたしが一緒だよ」", "506001111_21": "「響1人に世界を背負わせたりしない。\\n あなただけに世界を終わらせたりはしないから」", "506001111_22": "「それに……\\n そもそもそんなこと、させないもの」", "506001111_23": "「フ……アハハッ!\\n うんッ! そりゃそうだよねッ!」", "506001111_24": "「わたし1人じゃ、わからない。\\n でも未来がいてくれたら、きっと……」", "506001111_25": "「何があったって、『明日』に繋がる歌を唄える」", "506001111_26": "「それに、そんなこと考えてるよりも先に、\\n しなきゃいけないことがあるでしょ?」", "506001111_27": "「うん。\\n そうだよね」", "506001111_28": "「並行世界のみんなと繋がっている、\\n 『この世界』のわたしたちの日常を――」", "506001111_29": "「わたしたちは取り返さなきゃ」", "506001111_30": "「……おどかすわけじゃないんだよ?」", "506001111_31": "「でも……できると思う?\\n 観測できないほど遠い宇宙にある、みんなの世界に」", "506001111_32": "「もう一度、手を伸ばすことが」", "506001111_33": "「もちろんッ!」", "506001111_34": "「大丈夫。\\n ――絶対に帰ってくるよ」", "506001111_35": "「だって……\\n せわしなくて、辛いこともたくさんあって……」", "506001111_36": "「だけど確かに愛しかった、\\n わたしたちの日常なんだからッ!」", "506001111_37": "「手を伸ばしているのは、わたしたちだけじゃない。\\n わたしたちは……手を伸ばし合うんだもんッ!」", "506001111_38": "「……うんッ!\\n 届かないはずがないよねッ!」", "506001111_39": "「うん。\\n もし、仮に……ほんとのほんとに、ちょぴーっとだけッ!」", "506001111_40": "「わたしが生きている間にそれが叶わないとしても――\\n 今はね、あんまり怖くないんだ」", "506001111_41": "「この願いは、想いは……\\n 誰かを知りたい、誰かを抱きしめたい気持ちは……」", "506001111_42": "「この星の海の向こうまで、どこの宇宙にだって――\\n きっと、届けてくれる『誰か』が生まれているって信じられるから」", "506001111_43": "「……うん。\\n わたしも、そう信じて――」", "506001111_44": "「――くちゅんッ!」", "506001111_45": "「わッ!?\\n 冷えてきたもんね、大丈夫?」", "506001111_46": "「う、ううう〜……\\n ごめん、話の途中で……ムズムズ鼻がいうこときかなくてぇ……」", "506001111_47": "「フフ、いいってば。\\n じゃあ……」", "506001111_48": "「うん、帰ろうッ!\\n わたしたちの、居場所へッ!」" }