{ "506000131_0": "「響さん、チェック完了です。", "506000131_1": " 極度の疲労を除けば、概ね異常ありません」", "506000131_2": "「これぐらいの疲れなら慣れっこだからね。\\n すぐにでも動けるよッ!」", "506000131_3": "「慣れる必要なんてないのッ!」", "506000131_4": "「あたしも一緒に戦えればよかったんですが、\\n その前の戦いでいっぱいいっぱいで……」", "506000131_5": "「力不足が悔やまれます……」", "506000131_6": "「明日香さんたちの協力がなければ、\\n ボクたちは全力を出すことはできませんでした」", "506000131_7": "「みなさんも、今は休んでください」", "506000131_8": "「あなたこそ大丈夫なの?\\n 人工聖遺物で、ああも奮闘したっていうのに」", "506000131_9": "「はい。\\n データ上も、体感としても何も問題ありません」", "506000131_10": "「ただ、詳しい影響を調べたいので、\\n しばらくは戦えないかもしれませんが……」", "506000131_11": "「そのあいだはアタシたちに、\\n 任せておくデスよッ!」", "506000131_12": "「うん、エルフナインはとっても頑張ったから」", "506000131_13": "「いえ……切歌さん、調さん、マリアさんも、\\n しばらくは待機をお願いします」", "506000131_14": "「デデデッ!?」", "506000131_15": "「わたしたちを名指しで……ということは、\\n LiNKERの影響ね?」", "506000131_16": "「はい。長い戦闘の間、断続的にLiNKERを投与していましたから。\\n 身体には相当の負担がかかっているはずです」", "506000131_17": "「う……そう言われると確かにちょっと、\\n 身体が重いかも……」", "506000131_18": "「うう、仕方ないデス……」", "506000131_19": "「それから、翼さん、クリスさん、\\n あのギアの件なんですが……」", "506000131_20": "「ベアトリーチェが蒔く悪意の種を糧として、\\n 強く咲き誇った、新たなるギアだな」", "506000131_21": "「別に変な感じはしなかったけど、\\n こっちも調べるのか?」", "506000131_22": "「はい。", "506000131_23": " お2人のギアに関しては『念の為』ですね……」", "506000131_24": "「ベアトリーチェが残したものを、\\n これからどう扱っていくか……検討は必要かと」", "506000131_25": "「じゃあ今戦えるのは、わたしだけ……?」", "506000131_26": "「もう、未来ってば。\\n わたしも大丈夫だってばーッ!」", "506000131_27": "「でも……」", "506000131_28": "「だって、あんなに近くで手を伸ばそうとしてくれた2人に、\\n わたしは手が届かなかったんだ……」", "506000131_29": "「握り返してあげられないなんて……\\n そんなのは嫌だよッ!」", "506000131_30": "「……だからね、未来。\\n わたしはどうしても2人のために動きたい」", "506000131_31": "「……」", "506000131_32": "「でも……それで未来を困らせたいわけでもない。\\n だからさ」", "506000131_33": "「未来にわたしを支えてほしいんだ。\\n ……あ、もちろん、いつも支えてもらってるけどッ!」", "506000131_34": "「――ッ!」", "506000131_35": "「もう……ずるいな。\\n そんなこと言われたら、がんばるしかないじゃない」", "506000131_36": "「エヘヘ……」", "506000131_37": "「――それじゃあ、キョウちゃんとヨウちゃんが見つかったら、\\n すぐに動こうッ! わたしと、未来で――」", "506000131_38": "「――おいおい、あたしを忘れたのか?」", "506000131_39": "「奏さん……ッ!\\n 手伝ってもらえるんですか?」", "506000131_40": "「でも、奏さんは帰る方法を探さないといけないんじゃ……」", "506000131_41": "「さっきの話を聞いて放っておけるもんか。", "506000131_42": " それに、帰れるとしてもやめておけと、ダンナに言われちまってね」", "506000131_43": "「え……ッ!?」", "506000131_44": "「ギャラルホルンが停止して繋がりが失われた今、\\n 無理やりな世界間の移動には危険を伴う可能性がある――ですね?」", "506000131_45": "「どうもそうらしい。\\n どこの世界からも人が来ないのは変だ、ってね」", "506000131_46": "「はい、仮にデュプリケイターが安全に利用できるなら、\\n APPLEのみなさんが世界蛇の消滅を確認しに来るでしょう」", "506000131_47": "「そっか、カルマノイズとカオスビーストが消えたってことは、\\n 他の世界のみんなもわかってるはず……」", "506000131_48": "「なのに様子を見に来る人がいないってことは、\\n きっと危険に気づいてるんだ」", "506000131_49": "「世界を食い尽くそうなんて相手と決着をつけたんだ、\\n 落ち着くには時間もいるさ」", "506000131_50": "「奏さんが必ず元の世界へ戻れるよう、\\n ボクも全力を尽くします」", "506000131_51": "「悪いね、こっちから押しかけたってのに。\\n 頼りにしてるよ」", "506000131_52": "「イシムがやったみたいに、\\n オケアノスでギャラルホルンに干渉できたらいいんですけど……」", "506000131_53": "「どうやっても世界を繋ぐ流れが感じられなくて、\\n あたし、なんの役にも立ててません……」", "506000131_54": "「そんなことないよッ!\\n 流れが消えたことがわかるだけで凄いんだからッ!」", "506000131_55": "「そ、そうですかッ!?", "506000131_56": " じゃあもっと気合を入れて、全力で感じてみますッ!」", "506000131_57": "(……流れを司るオケアノスでも感じ取れない以上、\\n ギャラルホルンは完全な停止状態にある)", "506000131_58": "(世界蛇による脅威が去った今、ギャラルホルンは役目を終えた。\\n 終焉を知らせる角笛が吹き鳴らされることはもうない……)", "506000131_59": "(ボクたちは、確かにずっとそのために戦ってきたのかもしれない。\\n 脅威を退け、誰かを護りたいと……ただその一心で)", "506000131_60": "(それでも、その結果がこれだというのなら……\\n ボクたちがやってきたことは……)", "506000131_61": "(…………)", "506000131_62": "(――本当に?)", "506000131_63": "(本当に、これで終わりだと……?)", "506000131_64": "「メディカルチェック中にごめんなさい、\\n ちょっと話したいことがあるんだけど……」 ", "506000131_65": "「チェックは丁度終わったところです。\\n 何かあったんですか?」", "506000131_66": "「行方のわからなかった司令が無事に帰還したわ。\\n 可能な人から、指令室に集合をお願いできる?」", "506000131_67": "「師匠がッ!?", "506000131_68": " すぐに行きますッ!」" }