{
"501001222_0": "「――ベアトリーチェッ!!」",
"501001222_1": "「――立花響ッ!」",
"501001222_2": "「――しまったッ!?\\n バランスがッ!?」",
"501001222_3": "「もらった――ッ!」",
"501001222_4": "「――ぐッ!?\\n やらせる……ものですかッ!!」",
"501001222_5": "「さすがにキツいな……ッ!\\n だが、耐えてみせるッ!!」",
"501001222_6": "「キョウちゃんッ!?\\n ヨウちゃんッ!?」",
"501001222_7": "「あなたたちッ!?\\n 悪意と絶望を前に、折り砕かれていたんじゃなかったの?」",
"501001222_8": "「ああ、折れていたさッ!\\n 嫌というほどになッ!」",
"501001222_9": "「それでも、あれだけ必死な姿を見せられて……ッ!\\n 折れたままでいるなんて、できないでしょうッ!」",
"501001222_10": "「どん底まで堕ちて、なお這い上がることッ!\\n それにかけては、誰にも負ける気はありませんッ!!」",
"501001222_11": "「食らえッ!\\n この一撃は、あたしたちの覚悟ッ!」",
"501001222_12": "「そして――、お前すら目もくれなかった、\\n 『見放された世界』からの、一撃ですッッ!!!」",
"501001222_13": "「お前に届かずとも……\\n こいつにならッ!!!」",
"501001222_14": "「――――ッ!!」",
"501001222_15": "「――ッ!?\\n ヨルムンガンドッ!」",
"501001222_16": "「貴様……ッ! 雑兵と侮っていたけれど、\\n ここで喰らい付いてくるかッ!!」",
"501001222_17": "「怯んだッ!?\\n 今ならッ!! ベアトリーチェに、届く……ッ!」",
"501001222_18": "「――うッ!?」",
"501001222_19": "(そんなッ!?\\n 身体が動かない……ッ!?)",
"501001222_20": "(今までの戦いの反動……?",
"501001222_21": " でも、立ち上がらないと――ッ!)",
"501001222_22": "「バカ……何やってんだ。\\n ここで倒れたら、もう起き上がれねぇぞ」",
"501001222_23": "「ご、ごめん。\\n 肝心な時に……」",
"501001222_24": "「……やっこさんも、\\n いよいよ崖っぷちみたいだな」",
"501001222_25": "「ここにいる全員、さすがに限界だ。",
"501001222_26": " だから、最後に1発、ガツンとぶん殴ってやれよ」",
"501001222_27": "「そこまでは、あたしがどうにか道をつける。\\n 思い切りぶち込んでやれッ!」",
"501001222_28": "「――うんッ!\\n お願いッ!!」",
"501001222_29": "「さあ……ベアトリーチェッ!\\n あたしの全霊を懸けた、とっておきだッ!!」",
"501001222_30": "「お前が打ち込んだ『悪意の種』から咲いた希望……\\n 余さず食らっていきやがれッッ!!!」",
"501001222_31": "「ぐ、ああああ――ッ!!」",
"501001222_32": "(身体が、もう満足に動かない。\\n 見事に削りきられたわね……)",
"501001222_33": "「――――ッ」",
"501001222_34": "(ああ……この子も、そろそろ限界かしら。\\n ……そうよね、ここまで、ずっと必死に戦ってきたものね……)",
"501001222_35": "(わたしも、気を抜けば倒れてしまいそう。",
"501001222_36": " だけど――)",
"501001222_37": "「これが――ッ」",
"501001222_38": "(この一撃だけは。\\n 逃げずに正面から、受け止めないといけないわ)",
"501001222_39": "(わたしと、\\n そしてあの子のために)",
"501001222_40": "「わたしの――、\\n わたしたちの、全部だああああぁぁぁぁ――ッ!!!!!」",
"501001222_41": "「――ッ!\\n う、ううッ……」",
"501001222_42": "「……もう。仕方のない子ね。\\n どうして、泣いているの?」",
"501001222_43": "「……どうしてだろう。\\n わかんないな。あなたに、ようやく、手が届いたのに……」",
"501001222_44": "「わかんないけど、\\n どうしてか、涙が出るんだ……」",
"501001222_45": "「フフ……\\n 困った子ね」",
"501001222_46": "「ああ……まあ、いいわ。\\n わたしの負け。完敗よ」",
"501001222_47": "「おかしな気持ちだわ。\\n 完膚無きまでに負けたというのに、どこか、清々しい――」",
"501001222_48": "「ああ……そう。そうだわ。\\n 久しく忘れていた――これこそ……」",
"501001222_49": "「満ち足りたと、いうものね……」",
"501001222_50": "「ここは……」",
"501001222_51": "「――」",
"501001222_52": "「ああ……\\n あなたがわたしを導いたのね」",
"501001222_53": "「何か、最後に言いたいことがあると、\\n そういうことかしら?」",
"501001222_54": "「――――」",
"501001222_55": "「……もう、いい?\\n あなたも、おなかいっぱいになったって?」",
"501001222_56": "「……そう。\\n 良かったわ」",
"501001222_57": "「ヨルムンガンド、鏡のような、美しいあなた。\\n ……わたしの終点まで、一緒にいてくれて、ありがとう」",
"501001222_58": "「随分、\\n 長い時間が掛かってしまったけれど――」",
"501001222_59": "「わたしも、あなたも。\\n ようやく、満足することができたのね……」",
"501001222_60": "「――――」",
"501001222_61": "「……ああ、もう、逝ってしまうのね。",
"501001222_62": " でも、きっと……またすぐに会えるわ」",
"501001222_63": "「全ての世界の、あらゆるところに。\\n あなたも、わたしも、溶けていくのだから――」",
"501001222_64": "「だって……\\n わたしは、どんな場所にだって存在するのだもの……」",
"501001222_65": "「……ベアトリーチェ、\\n これで、最後なんだね」",
"501001222_66": "「ええ……わたしは、これで消える。\\n もう、復活することもないでしょう。けれど――」",
"501001222_67": "「安心しないで、抗い続けなさい。",
"501001222_68": " ……悪意というものは、不滅なのだから」",
"501001222_69": "「……」",
"501001222_70": "「フフ……\\n 譲らないわよ、これだけはッ!」",
"501001222_71": "「だって、\\n わたしの悪意は、既に託してある」",
"501001222_72": "「……え?」",
"501001222_73": "「あなたたちが、希望の歌を、\\n 未来へと繋いでいくように――」",
"501001222_74": "「わたしも、悪意が潰えることのないように、\\n 託して、未来へと運んでいくわ」",
"501001222_75": "「託されたものの強さは、\\n あなたたちが、1番よく知っているでしょう?」",
"501001222_76": "「他でもないあなたたちが。\\n 託されてきた想いをもって、わたしを打ち破り続けたのだもの」",
"501001222_77": "「畏れなさい、未来を。\\n 永劫尽きることのない、悪意を前にして」",
"501001222_78": "「……畏れるものですか。\\n 何が来ようとも、決して」",
"501001222_79": "「1人では受け止められなくても、\\n 繋いだ手と手が、希望を紡いでいく限り……」",
"501001222_80": "「どんな絶望が降って来たって、\\n 負けるつもりはないデスッ!」",
"501001222_81": "「人の積み重ねた知恵は、\\n きっとまた……悪意を越えていきます」",
"501001222_82": "「ここまで意地を通してきたんだ。\\n この先だって、そうするさ」",
"501001222_83": "「わたしたちの……人の戦いは終わらない。\\n 言われずとも、悪意に挑み続けるつもりだ」",
"501001222_84": "「きっと、大変な道だけど。\\n それでも、みんなとなら大丈夫だって信じているから」",
"501001222_85": "「わたしたちは――、\\n 未来を、畏れたりしないッ!」",
"501001222_86": "「……本当、\\n 最後の最後まで食えない子たちね」",
"501001222_87": "「この希望を喰らおうとしたからこそ、\\n わたしと、あの子は満たされたのね……」",
"501001222_88": "「――そうだ。\\n あなたたちも、悪くなかったわよ」",
"501001222_89": "「…………」",
"501001222_90": "「あなたたちと拳を交わしたおかげで、\\n わたしは、『全ての世界』に干渉する術がわかった……」",
"501001222_91": "「――ッ!?",
"501001222_92": " 貴様、まさかッ!」",
"501001222_93": "「……安心なさい。\\n 今更、『世界』をどうこうしようなんて思っていない」",
"501001222_94": "「もう、わたしの手が届かない世界はない。\\n どれほどに遠い大地であっても、わたしは必ずそこにいる」",
"501001222_95": "「わたしは、永劫潰えることのない悪意として、\\n 全ての世界に溶けていくの」",
"501001222_96": "「あらゆる世界の人間……その最後の1人が、\\n 絶望を抱いて死ぬのかどうか、それを見届けるために、ね」",
"501001222_97": "「……」",
"501001222_98": "「生命としてのカタチを捨て、\\n 世界に遍在する悪意と一体化する」",
"501001222_99": "「そう……。\\n わたしは、全ての悪意の母になるの」",
"501001222_100": "「ベアトリーチェッ!?\\n 身体が消えて――」",
"501001222_101": "「……そうだわ。\\n あなたたちに、最後の贈り物をあげる」",
"501001222_102": "「カルマノイズとカオスビーストは、わたしが連れて逝ってあげる。\\n わたしに勝ったご褒美よ。ありがたく受け取りなさい」",
"501001222_103": "「あの瘴気の塊どもを、消すと……?\\n いとも簡単に言ってくれるな……」",
"501001222_104": "「最後の最後まで、\\n ケタの違いを見せつけてきやがる……」",
"501001222_105": "「カルマノイズが、消える?",
"501001222_106": " でも、それって……」",
"501001222_107": "「あら……フフ、よく気がついたわね。\\n それは決して、あなたたちにとって良いことばかりではないわ」",
"501001222_108": "「かつて、少女の祈りを聞かなかった神々が、\\n わたしとあの子から、並行世界を護るために作ったもの――」",
"501001222_109": "「そう。\\n 『ギャラルホルン』は、これでもう動くことはない」",
"501001222_110": "「――ッ!?」",
"501001222_111": "「その励起に、神々ですら『歌』を必要としたなんて、\\n まったく、バカバカしい話よね……」",
"501001222_112": "「だけどまあ、\\n こうして最後に嫌がらせができたのだから、許してあげる」",
"501001222_113": "「ええ、本当に。\\n ――ざまあみなさい」",
"501001222_114": "「ねえ、響?\\n 最初にわたしが負けた時にも言ったでしょう?」",
"501001222_115": "「悪意とは――、\\n 人間がいる限り、いつだってそこにあるもの」",
"501001222_116": "「それを、\\n 覚えておきなさい」",
"501001222_117": "「――だとしても。\\n 何度だって、わたしたちは希望を繋いでいくよ」",
"501001222_118": "「確かに、人間の心の奥底には、\\n 悪意の闇があるのかもしれない――」",
"501001222_119": "「でも、そこには同じように、\\n 希望だって、咲いているから」",
"501001222_120": "「わたしたちは、託して、託し続けて、\\n いつまでも悪意に抗い続ける。あなたに、関わり続けるよ」",
"501001222_121": "「何度も躓くかもしれない。だけど、決して――\\n 最後の瞬間まで、それを途絶えさせることはしない」",
"501001222_122": "「そのことを、きっと約束するよ。\\n ……ベアトリーチェ」",
"501001222_123": "「……そう」",
"501001222_124": "「楽しみに、しているわ。\\n 立花響」",
"501001222_125": "「それじゃあ、ね」",
"501001222_126": "(アルヴィース……\\n あとは任、せ――)",
"501001222_127": "「……」",
"501001222_128": "「約束するよ。\\n あなたを、いつまでもわたしの想い出に残していく……」",
"501001222_129": "「だから、……おやすみなさい。\\n ……ベルちゃん……」"
}