{ "501000941_0": "「お帰りなさい、みんな」", "501000941_1": "「友里さんッ!?\\n まだ休んでいなくて大丈夫なのですかッ!?」", "501000941_2": "「心配お掛けしました。でも、みんなが戦っている中で、\\n 私たちばかり、いつまでも休んではいられないもの」", "501000941_3": "「復帰早々、ベアトリーチェとの戦いを見せられるとは、\\n 思わなかったけどね……」", "501000941_4": "「でも、司令代行に任せっきりになっていた分、\\n ここからは俺たちもバリバリ働きますよッ!」", "501000941_5": "「ありがとうございます。\\n ようやくいつものメンバーが戻ってきて、心強いです」", "501000941_6": "「ただ、しかし――」", "501000941_7": "「捕虜であるヨウさんの独断先行については、\\n 然るべき対応が必要かと思います」", "501000941_8": "「…………」", "501000941_9": "「来たるべきベアトリーチェ戦を前にして、\\n 勝手な行動は、司令代行として看過できません」", "501000941_10": "「あ、あの――ッ!」", "501000941_11": "「未来さん?\\n 何か?」", "501000941_12": "「そのことについて、\\n わたしから、2人に少し話をさせてもらえませんか?」", "501000941_13": "「……わかりました。\\n どうぞ」", "501000941_14": "「ありがとうございますッ!」", "501000941_15": "「あの――」", "501000941_16": "「キョウちゃん、ヨウちゃん。\\n 2人が、自分の世界のために必死で戦っているのは……」", "501000941_17": "「わたしたち、もうわかってる。\\n わかってるんだよ……」", "501000941_18": "「…………」", "501000941_19": "「2人にとって、ベアトリーチェとの戦いは、\\n 飽くまでその戦いのための、前段」", "501000941_20": "「だったら……まずはこれを、2人も乗り越えなきゃ。\\n 違う?」", "501000941_21": "「……返す言葉もありません」", "501000941_22": "「……ああ、互いの世界のために、\\n いつかはぶつからないといけないだろうからな」", "501000941_23": "「戦うのか、それ以外の道かは、\\n まだ決められねども――」", "501000941_24": "「少なくとも、\\n 今、わたしたちが争うことに意味はない」", "501000941_25": "「そうだよ。\\n 今、わたしたちが戦っている相手は、ベアトリーチェだよね?」", "501000941_26": "「だからまず、わたしたちが、\\n いずれ向き合って、決着をつけられるように――」", "501000941_27": "「今は、\\n わたしたちの手を握って欲しいんだ」", "501000941_28": "「捕虜とか、敵とか、味方とかじゃなくて、\\n 今、『世界のために』戦っている者として――」", "501000941_29": "「…………」", "501000941_30": "(――ああ、これは。\\n 嫌になるくらい何度も見てきた『光』だ)", "501000941_31": "(手が届かないもの。わたしたちには、\\n 決して差し伸べられないと思っていた――温かい手)", "501000941_32": "(拒否するべきだ。拒絶するべきだ。\\n この手を掴んだら、あたしたちはもう戻れなくなる)", "501000941_33": "(本当は――助けてほしい。\\n なんだっていい、あたしたちの世界を、助けてほしい……)", "501000941_34": "(でも、そんなことは決して口にはできない。\\n 今更、あたしたちに許されることじゃない……ッ!)", "501000941_35": "(共同戦線。そう、飽くまでも打算的に、\\n 自分を言い聞かせて、この手を取るしか――)", "501000941_36": "「…………」", "501000941_37": "「……わかり、ました。", "501000941_38": " ヨウも、それでいいですね?」", "501000941_39": "「……ああ、承知した。\\n ……今後は、そちらの指示に従うと誓おう」", "501000941_40": "「ありがとう、2人とも……ッ!」", "501000941_41": "「わたしとしては、『指示』に\\n 従ってほしいわけじゃないんだけど……それでも、ありがとう」", "501000941_42": "(…………)", "501000941_43": "(もし、最後まで辿り着いた時には、\\n 互いの世界の存亡を賭けて、殺し合いをすることになる)", "501000941_44": "(……『もし』?", "501000941_45": " ううん、わたしたちは辿り着かなければならない)", "501000941_46": "(この人たちとの、殺し合いに。", "501000941_47": " ……『見放された世界』の、ために……)", "501000941_48": "(――本当に?)", "501000941_49": "(あたしたちと同じように生きていると……\\n あたしたちみたいなものにまで手を伸ばす、優しい人だと……)", "501000941_50": "(そう知ってしまった相手と、殺し合いを?)", "501000941_51": "(そんなこと――、\\n 本当にできるのか?)" }