{ "501000621_0": "「おい。\\n こっちの方角で本当にいいんだろうな?」", "501000621_1": "「知るか。あの化け物巫女が、\\n 親切丁寧にあたしたちを誘導してくれるとでも?」", "501000621_2": "「周囲の調査は必須でしょう。\\n 信じられないのなら、あなたは立ち止まればいい」", "501000621_3": "「わたしたちは、\\n あなたたちを置いて先に進んでもいいんですから」", "501000621_4": "「冗談ッ!\\n あたしだって、こんな荒野でくたばりたかねえよッ!」", "501000621_5": "「……」", "501000621_6": "「……未来?\\n どうしたの? 疲れた?」", "501000621_7": "「ううん、平気だよ。\\n ちょっと、昔のことを思い出していたの」", "501000621_8": "「昔のこと?」", "501000621_9": "「うん。みんなを追いかけて、\\n 1人でギャラルホルンのゲートに飛び込んだ時のこと――」", "501000621_10": "「あの時も、\\n こんな荒野にたった1人で取り残されて……」", "501000621_11": "「不安だったわたしのところに、ミーナさんが来てくれて。\\n 本当に安心したんだ」", "501000621_12": "「そっか。\\n ミーナさんが……」", "501000621_13": "「ミーナさんだけじゃなくて、\\n その世界の兵士の人たちにも出会ったりした――」", "501000621_14": "「でも……、そうやって出会った、\\n たくさんの人たちの、その先を、わたしは知らないんだ」", "501000621_15": "「わたしたちも、\\n 一期一会の出会いが、幾度となくあった」", "501000621_16": "「さんざん並行世界を巡ってきたけど、\\n それっきりで、会っていないやつがたくさんいるよな」", "501000621_17": "「……フン。\\n 自分たちが介入した運命の多さに、今更気がついたか?」", "501000621_18": "「……おい。そういう皮肉交じりのちょっかいは、\\n やめるんじゃなかったのか?」", "501000621_19": "「なんだと――?」", "501000621_20": "「はいはーいッ!\\n ストップストーップッ!!」", "501000621_21": "「それくらいにしようッ!\\n わたしたちがケンカしたところで、何も解決しないよッ!」", "501000621_22": "「まあ――」", "501000621_23": "「確かに――」", "501000621_24": "「……ベアトリーチェが、\\n 何を考えているのかはわからないけど」", "501000621_25": "「この世界にわざわざわたしたちを落としたってことは、\\n 簡単に突破できるような場所じゃないはずッ!」", "501000621_26": "「だったら、協力しないとッ!\\n 元の世界に帰るためにッ!」", "501000621_27": "「……立花の言う通りだ。\\n 肝に銘じよう」", "501000621_28": "「あたしも……\\n 了解だ」", "501000621_29": "「キョウちゃん、ヨウちゃんも。\\n わたしが何を言っても、届かないかもしれないけど――」", "501000621_30": "「…………」", "501000621_31": "「でも、今だけは、\\n 同じ方向を見て進むことはできないかな?」", "501000621_32": "「せめて今、この時だけでも、\\n 同じ方向を向いて、手を繋げるのなら――」", "501000621_33": "「その間に、\\n 何か、わかることがあるかもしれない……そう思うんだ」", "501000621_34": "「……」", "501000621_35": "「……」", "501000621_36": "「……まあ、いいでしょう」", "501000621_37": "「えッ!?」", "501000621_38": "「帰りたいという意志は、わたしたちも同じです」", "501000621_39": "「死んだ世界にいても、意味がない。\\n わざわざトラブルを起こす意味もありません」", "501000621_40": "「……あたしも、それで構わない。\\n 全てが終わったら、また敵同士だとわかっているのならな」", "501000621_41": "「……うん。\\n ありがとうッ!」", "501000621_42": "(響は……、\\n せめてこの時だけでも、って言うけれど――)", "501000621_43": "(きっと……、\\n ずっと仲良くしていきたいって思っているはずだよね)", "501000621_44": "(ちゃんと、2人と手を繋いでいくために……)" }