{ "397000232_0": "(長引けば長引くほど、奪われた想い出が消化されてしまう。\\n 本部の状況もわからない……ッ!)", "397000232_1": "「圧倒的に戦力が足りていない……ッ!\\n このままでは……ッ!」", "397000232_2": "「そらよ、とォッ!\\n 一撃で倒れんじゃねえぞッ!!」", "397000232_3": "「あなたは……ッ!?」", "397000232_4": "「ヒィィィイロォォォ……\\n キィィイックーーッ!!!」", "397000232_5": "「――改めッ!\\n オケアノスキック、ですッ!!」", "397000232_6": "「街の平和を乱す怪物は、\\n このあたしと師範が許しませんッ!」", "397000232_7": "「お前と一緒にすんな。\\n 俺は手応えのある相手がいれば、それでいい」", "397000232_8": "「そういう意味じゃあこいつらは、そこそこってとこだな。\\n 熊よりは殴りがいがある」", "397000232_9": "「……ん?", "397000232_10": " お前……弦十郎のところで見たな」", "397000232_11": "「緒川さんッ!\\n ご無沙汰してますッ!」", "397000232_12": "「お久しぶりです。\\n それと、助太刀感謝します」", "397000232_13": "「助けたつもりはねぇよ」", "397000232_14": "「あッ! ……ていうかあたし、\\n オケアノスの力を使ってしまってるんですけど……ッ」", "397000232_15": "「こ、これって……緊急事態ですよね?\\n 使ってもいいですよねッ!?」", "397000232_16": "「ええ。事後承認ではありますが、\\n 処分などが及ばないように取り計らいます」", "397000232_17": "「よかったぁ……」", "397000232_18": "「しっかしこの化け物ども……\\n どこから湧いてきやがった?」", "397000232_19": "「『タイムセール、間に合うかしら』『持久走めんどくせぇ。\\n 雨でも降らないかな』『今月のノルマ、まだ半分も残ってる』」", "397000232_20": "「脈絡のないことをブツブツと呟いていやがるし……」", "397000232_21": "「セールとか、持久走とか……\\n 言ってることがめちゃくちゃです」", "397000232_22": "「この『ドッペルゲンガー』たちは、\\n 人の想い出を奪って活動しています」", "397000232_23": "「倒せば想い出はもとの持ち主に戻るようですが、\\n 刻一刻と想い出は消化されていきます」", "397000232_24": "「それってつまり……急いで倒さなきゃ、\\n 街の人が大変なことになるってことじゃないですかッ!」", "397000232_25": "「なるほど。\\n 人助けなんてのはガラじゃねぇが――」", "397000232_26": "「タイムアタックモードと思えば、少しはやりがいもあるか。", "397000232_27": " ……ところで、弦十郎のやつはどうした?」", "397000232_28": "「ちょうど、政府からの要請で留守にしていたところです。\\n 今は連絡が取れません」", "397000232_29": "「フン、政府なんぞの飼い犬になるからだ」", "397000232_30": "「師範ッ! そんなことは後でいいですからッ!\\n 今はみんなを助けましょうッ!」", "397000232_31": "「想い出が無くなっちゃうなんて、そんなの悲しいですッ!\\n あたしも響先輩たちと一緒に……って、響先輩たちは?」", "397000232_32": "「装者の皆さんは、\\n それぞれが任務に出ています」", "397000232_33": "「つまり……あたしたちしか戦える人はいないんですね。\\n それならあたしが、このオケアノスの力でッ!」", "397000232_34": "「せめて、想い出が吸い取られている流れがわかれば、\\n 次にドッペルゲンガーが出る場所がわかるはず……ッ!!」", "397000232_35": "「……あれ?\\n これは……?」", "397000232_36": "「どうした?」", "397000232_37": "「吸い取られる想い出の『流れ』が見えたんですけど、ドッペル\\n ゲンガーの中で、流れが終わっているわけではないみたいです」", "397000232_38": "「でも、そこから先が見えない……」", "397000232_39": "「まるで、ドッペルゲンガーの中に『穴』みたいなものがあって、\\n そこから漏れているような……?」", "397000232_40": "「つまり、奴らはそこで『消化』を行っていると……?」", "397000232_41": "「うーん……す、すみません。まだオケアノス本来の力を\\n 使いこなせてないからか、そこから先が追えなくて……」", "397000232_42": "「いえ、敵の情報は少しでも欲しいところですから。\\n 助かります」", "397000232_43": "「そして……お2人とも。来てくださって早々で\\n 申し訳ありませんが、この場をお任せしてもよろしいですか?」", "397000232_44": "「どういうことだ?」", "397000232_45": "「S.O.N.G.本部が何者かの襲撃を受けています。\\n 一刻も早く、戻りたいのです」", "397000232_46": "「ええッ!? 大変じゃないですかッ!\\n エルフナインちゃんや、友里さんたちは……ッ!?」", "397000232_47": "「なんらかの通信妨害を受けているようで、\\n 連絡がつきません」", "397000232_48": "「これくらいの手合い、俺と明日香がいれば十分だ。\\n とはいえ――」", "397000232_49": "「さしあたって、周囲を囲んでいるこいつらを掃除しなきゃ、\\n 突破できそうもないな」", "397000232_50": "「師範ッ!」", "397000232_51": "「うるせぇな。手を貸せってんだろ?", "397000232_52": " ……ま、あそこの連中には世話になっちまったからな」", "397000232_53": "「――いいだろう、道を切り拓いてやる」", "397000232_54": "「感謝します」", "397000232_55": "「余計なことはいい……\\n 来るぞッ!」" }