{ "387001011_0": "ミライへ", "387001011_1": "「あんたたち、ちゃんと無事だよなッ!?」", "387001011_2": "「世界は残ってますかッ!?\\n 世界蛇に食べられたりしてませんよねッ!?」", "387001011_3": "「無事なのは見ればわかるでしょう、\\n ちょっと慌てすぎよ」", "387001011_4": "「そんなこと言って、\\n 姉さんもさっきまで大慌てだったでしょう?」", "387001011_5": "「デュプリケイターでも移動できない異常事態だ。\\n 未曾有の危機を想定するのは当然だろう」", "387001011_6": "「まだ戦いが終わったとは限らないだろッ!\\n 残った敵がいればオレがぶっ倒すぞッ!」", "387001011_7": "「でもなんだか平和そうデスね?\\n 調と心配してたんデスよッ!」", "387001011_8": "「連絡がつかないせいで、ダメ助手まで無茶な手段に\\n 出ようとするから、落ち着かせるのも大変だった……」", "387001011_9": "「それで、何があったの?\\n きっと大変な事件だったんでしょう?」", "387001011_10": "「だ、団体さんのご登場デスッ!?」", "387001011_11": "「びっくりした……」", "387001011_12": "「イシムの作り出したエネルギーの乱気流が消えて、\\n ようやくギャラルホルンが使用できると思ったら……」", "387001011_13": "「揃って参上とは、\\n 頼りになる戦友たちだ」", "387001011_14": "「みんな来てくれたんだ……ッ!」", "387001011_15": "「わたしたちを心配してくれてたんだね」", "387001011_16": "「だからって全員が揃っちゃ、\\n 騒がしくてしょうがないけどな」", "387001011_17": "「皆さん、\\n まずはあったかいもの、どうぞ」", "387001011_18": "「あったかいもの、どうも」", "387001011_19": "「無事だったのは何よりだけどね……。\\n あたしは自分の力不足を感じたよ」", "387001011_20": "「大事なときに助けになれないって、\\n 悔しいんですね……」", "387001011_21": "「でもきっと大丈夫だって信じてました。\\n みんなは負けたりしないってッ!」", "387001011_22": "「うん、わたしたちも、\\n またみんなと会えるって信じてた」", "387001011_23": "「みんなとの想い出が、すごく力になってくれたよ。\\n わたしたちの背中を押してくれたんだッ!」", "387001011_24": "「勝利を信じてはいたが、ベアトリーチェの反応が検知されたんだ。\\n こちらは最悪の事態すら覚悟していた」", "387001011_25": "「その件については、最悪一歩手前といったところだ。\\n 情報は共有させてほしい」", "387001011_26": "「全員、集まってくれて感謝する。\\n 今は落ち着いているが、全ての危機が去ったわけではない」", "387001011_27": "(そうだ……ベルちゃん。\\n 今、どこにいるの……何を考えてるの?)", "387001011_28": "(わたしたち、本当に……。\\n 本当に、手を繋ぐことはできないのかな……)", "387001011_29": "「今回の件について、持ちうる限りの情報を預ける。\\n それぞれの世界を護るため、手を尽くしてほしい――」", "387001011_30": "数日後――", "387001011_31": "「明日香ちゃん、まだ目覚めないね……」", "387001011_32": "「心配だけど……でも、大丈夫だよ。", "387001011_33": " 明日香ちゃんはもう、生きることを諦めたりしない」", "387001011_34": "「そうでしょ、響」", "387001011_35": "「うん……。\\n きっと元気な姿を見せてくれるよね」", "387001011_36": "「……響のことは、未来に任せればいい」", "387001011_37": "「エレクライトは問題なく稼働してる。\\n 移動を阻む壁も消えた」", "387001011_38": "「なら、この世界でやることは\\n もうないかな」", "387001011_39": "「いいのかよ、別れもなしに行っちまって」", "387001011_40": "「うん、いいんだ」", "387001011_41": "「わたしにも会いたい人がいる。いつか帰りたい場所がある。\\n ここで止まるわけにはいかないから」", "387001011_42": "「止まるわけにはいかない、か。\\n もっともなことを言うね」", "387001011_43": "「そうですね。\\n わたしたちも、自分のやるべきことを――」", "387001011_44": "「――えッ、もう1人のわたしが、\\n この世界からいなくなったのッ!?」", "387001011_45": "「はい。エレクライトの反応が残っているので、\\n 独力で移動したと思われます」", "387001011_46": "「突然のことだったので、\\n まだお礼も言えていなくて……」", "387001011_47": "「わたしも、お別れもできなかった」", "387001011_48": "「……でも、大丈夫だよ」", "387001011_49": "「きっとまた会える。\\n 離れていても、この手は繋がっているんだから……」", "387001011_50": "さらに数日を経て、", "387001011_51": "様々な後処理にS.O.N.G.職員たちが奔走するなか――", "387001011_52": "「――そう、ですか。\\n 大丈夫です。意識を失う前に、わかっていたことなので……」", "387001011_53": "「装者のみんなには緊急の連絡を送ってあるわ。\\n きっと今頃こっちに向かって――」", "387001011_54": "「明日香ちゃんッ!\\n 意識が戻ったのッ!?」", "387001011_55": "「響先輩……ッ!」", "387001011_56": "「大丈夫? \\n 傷は残ってない?」", "387001011_57": "「ずいぶんな寝坊をしやがって。", "387001011_58": " なんだよ、元気そうだな」", "387001011_59": "「ずっと寝てたならお腹が減ってるはずデスッ!\\n たくさんお見舞い持ってきたデスッ!」", "387001011_60": "「いきなりこんなには食べられないよ、\\n 切ちゃん……」", "387001011_61": "「ここは病室よ、\\n あなたたち、もう少し静かにしなさい」", "387001011_62": "「だが水流には、\\n 少し賑やかなぐらいが似つかわしいだろう」", "387001011_63": "「皆さんも……来てくれたんですねッ!」", "387001011_64": "「本当にありがとうございますッ!\\n 水流明日香、皆さんのお力で帰ってきましたッ!」", "387001011_65": "「わたしたちじゃない、明日香ちゃん自身の力だよッ!", "387001011_66": " でも……本当によかったッ!」", "387001011_67": "「大活躍だったんだろ?", "387001011_68": " 身体は大丈夫なのかよ」", "387001011_69": "「ええ、体調はバッチリですッ! 今なら師範の特訓も、\\n 必殺技を使う前の回想シーンより早く終わりそうですッ!」", "387001011_70": "「あッ! でもあたし、人間じゃなくなったんでしたッ!", "387001011_71": " 必殺技は使う側じゃなく、使われる側ですかね?」", "387001011_72": "「なにせ今や改造人間……むしろ聖遺物人間?\\n ヒーローどころか悪役の立ち位置ですからッ!」", "387001011_73": "「え、えーっと……」", "387001011_74": "「衝撃的な話だと思うんだけれど……\\n もう受け入れているの?」", "387001011_75": "「それはもうバッチリとッ! つらくても、苦しくても、\\n あたしは絶望しないって決めたのでッ!」", "387001011_76": "「自分の罪は忘れません。責任から逃げたりしません。\\n だからこそ心を、身体を、全力で動かすんですッ!」", "387001011_77": "「1人でも多くの人を助けるために、\\n わたしは止まってなんていられませんッ!」", "387001011_78": "「……やっぱり明日香ちゃんだ」", "387001011_79": "「身体がどうなっても関係ない。ヒーローでも悪役でもない。\\n 明日香ちゃんは明日香ちゃんだよッ!」", "387001011_80": "「はいッ! \\n たとえ人間でなくても、この想いは決して変わりませんッ!」", "387001011_81": "「だからこれからも……響先輩と一緒に、\\n この想いを追いかけてもいいですか?」", "387001011_82": "「もちろんだよッ!\\n 明日香ちゃんはとっくに、わたしたちの仲間なんだからッ!」", "387001011_83": "「明日香くんは特例として、\\n S.O.N.G.の協力者となるよう取り計らう」", "387001011_84": "「人間の心が宿った聖遺物である――という事実は、\\n こちらで秘匿するんですね」", "387001011_85": "「公表すれば、彼女の夢は永遠に叶うまい。\\n 子供の夢を壊すのが大人のやることか」", "387001011_86": "「……ふん。明日香を実験台にするってんなら、\\n まとめてぶっ倒してやろうと思ってたんだがな」", "387001011_87": "「これからのことを考え、\\n リディアン音楽院で受け入れる準備もできています」", "387001011_88": "「明日香さんの望む人生が送れるよう、\\n 全力でサポートしていきますね」", "387001011_89": "「……ならいい。\\n あいつが元気でやっていけるなら不満はねえ」", "387001011_90": "「たまには『師範』も顔を出せ。\\n 装者にとってもいい刺激になる」", "387001011_91": "「……明日香が腑抜けてるようなら、\\n 考えといてやる」", "387001011_92": "「これからもよろしくね、明日香ちゃんッ!」", "387001011_93": "「はいッ!\\n よろしくお願いします、皆さんッ!」" }