{
"505000211_0": "第2話『あの日』",
"505000211_1": "「ケガは大丈夫ですか、翼さん」",
"505000211_2": "「ああ、かすり傷だ。\\n 大した事はない」",
"505000211_3": "「良かった。\\n でも、あまり無理はなさらないでくださいね」",
"505000211_4": "「何せ風鳴先輩は、わたしたち人間解放軍の\\n リーダーなのですから」",
"505000211_5": "「そうですよ。戦いになれば、\\n 無敵の『カイザ』だっているんだし!」",
"505000211_6": "「…………」",
"505000211_7": "「あったかいものどうぞ」",
"505000211_8": "「友里さん……」",
"505000211_9": "「いえ、わたしは大丈夫ですから\\n みんなで食べてください」",
"505000211_10": "「遠慮しないで。今やあなたが\\n 私たち人間解放軍の切札なんだから」",
"505000211_11": "「で、でも……今ある食料だって、\\n もう残り少ないんじゃ……」",
"505000211_12": "「…………」",
"505000211_13": "「あの……良かったら一緒に食べない?\\n みんなもおなか空いてるでしょ?」",
"505000211_14": "「いいよ、わたしたちは……」",
"505000211_15": "「なんの役にも立っていませんものね」",
"505000211_16": "「そ、そんなこと言わずに……」",
"505000211_17": "「んじゃ、私が……\\n いただきま~すッ!」",
"505000211_18": "「あああッ!?\\n 貴重なスープが……ッ!」",
"505000211_19": "「ちょっとッ!\\n 何一気食いしてるんですかッ!」",
"505000211_20": "「あら~、ごめんね。\\n だってみんな遠慮のカタマリだし~」",
"505000211_21": "「それに、私のおっきなお胸が\\n お腹すいたって」",
"505000211_22": "「はぁ……了子さんクラスになると\\n 胸がお腹すくんですね」",
"505000211_23": "「何バカなこと言ってんだか」",
"505000211_24": "「そう言えば、了子さんが開発した\\n 『対オルフェ・ノイズ弾』……」",
"505000211_25": "「まっったく効果がありませんでしたわよッ!」",
"505000211_26": "「そうですよッ!\\n そのせいで翼さんが危ない目に……」",
"505000211_27": "「それは……素直に悪かったわ、ごめん。\\n スープ返すから」",
"505000211_28": "「わああッ! いいですいいですッ!\\n スープ吐かないでくださいッ!」",
"505000211_29": "「というか、私も2年間、\\n 色々と研究して来たんだけど……」",
"505000211_30": "「正直、オルフェ・ノイズには\\n まだまだわからない事が多すぎるのよね」",
"505000211_31": "「私なりに、がんばってはいるんだけど……\\n 本当にごめんなさい」",
"505000211_32": "「了子さん……」",
"505000211_33": "「…………」",
"505000211_34": "「あ~あ、せめて風鳴司令がいてくれたらな。\\n 頼りになるのに……」",
"505000211_35": "「――ッ!?",
"505000211_36": " 言うな、弱音になるッ!」",
"505000211_37": "「で、でも……」",
"505000211_38": "「それに、わたしのケガは誰のせいでもない、\\n わたし自身の未熟さのせいだ」",
"505000211_39": "「人間解放軍のリーダーでありながら……",
"505000211_40": " 人々を護る防人でありながら……」",
"505000211_41": "「あの日以来、戦えなくなってしまった\\n この、わたし自身の……」",
"505000211_42": "「翼さん……」",
"505000211_43": "「…………」"
}