{ "504000121_0": "「…………」", "504000121_1": "「君が協会の決定に反して協力してくれたことには、\\n 我々も感謝している」", "504000121_2": "「しかし……どういう心境の変化だ?\\n アダム局長の方針は変わってないのだろう?」", "504000121_3": "「局長が協力しないと言った理由は、\\n 『サガルマータの魂』に関することや……」", "504000121_4": "「キャロルの過去についての情報を開示すれば、\\n 余計な誤解や混乱を招くと判断したからだ」", "504000121_5": "「余計な誤解や、混乱……?」", "504000121_6": "「だが、もはやそんな状況ではない。\\n これ以上事態が悪化すれば、最悪の場合……」", "504000121_7": "「キャロルの命に係わる」", "504000121_8": "「…………」", "504000121_9": "「命に係わる、か……。\\n それほどの情報とは一体なんだ?」", "504000121_10": "「300年前に失われた国、\\n ゴマ・タパの伝説は、既に知っているな?」", "504000121_11": "「ああ、魔術師が宝石を悪用したせいで、\\n 国が滅んでしまった、っていう話だろ?」", "504000121_12": "「俺たちはその魔術師の正体が、\\n 錬金術師だったのだろうと推測している」", "504000121_13": "「そして、その錬金術師こそが\\n 肖像画に描かれた少女、ギータではないかと」", "504000121_14": "「……ふむ。その推論はある意味では正しく、\\n ある部分では間違っている」", "504000121_15": "「ある部分では?\\n どういうことだ?」", "504000121_16": "「伝説では、『宝石を悪用した魔術師』が\\n 『国を滅ぼした』とされているが……」", "504000121_17": "「実際には、『宝石を用いた者』と\\n 『国を滅ぼした者』は別人ということだ」", "504000121_18": "「別人……そうか、繋がりそうで\\n 繋がらない違和感はそこだったのか」", "504000121_19": "「では、ギータとキャロルくん。\\n 300年前、2人の錬金術師の……」", "504000121_20": "「どちらかが宝石を悪用し、\\n もう一方がゴマ・タパ国を滅ぼしたと?」", "504000121_21": "「いや、ギータは錬金術師ではない\\n それどころか……」", "504000121_22": "「人間ですらない」", "504000121_23": "「――ッ!?」", "504000121_24": "「な、なんだと……ッ!?」", "504000121_25": "「…………」", "504000121_26": "「はぁ、はぁ……」", "504000121_27": "「300年前……\\n あんたはわたしにチカラくれタ……」", "504000121_28": "「そうだ……オレは今も、\\n そのことを後悔している……」", "504000121_29": "「オレの未熟な錬金術のせいで、\\n おまえを生み出してしまったことを……」", "504000121_30": "「そのせいで、多くの人間たちを……」", "504000121_31": "「ゴマ・タパの国を、\\n 滅ぼしてしまったことを……ッ!」", "504000121_32": "「どしてキャロル後悔スル?\\n 悪いは人間だヨッ!」", "504000121_33": "「そして、今また人間悪くなた。\\n だかラわたし、またココ来たヨ」", "504000121_34": "「も一度、人間滅ぼすタメにッ!」", "504000121_35": "「なぜだ、ギータ……ッ!」", "504000121_36": "「なぜおまえは、それほどまでに……ッ!」", "504000121_37": "「…………」", "504000121_38": "「話、終わりネ。\\n わたしのキモチわからないナラ……」", "504000121_39": "「キャロルッ!\\n あんたも他の人間と同じだヨッ!」", "504000121_40": "「――ッ!?", "504000121_41": " ギータ……ッ!」" }