{ "503001021_0": "数日後――", "503001021_1": "「…………報告は以上だ」", "503001021_2": "「……悪いな。\\n あいつを連れ戻すには、力及ばずだ」", "503001021_3": "「……そうですか。\\n マスターはそんなことを……」", "503001021_4": "「わたしたちも、\\n だいぶ食い下がったつもりなんですが……」", "503001021_5": "「本当に、大した石頭よ、あなたたちのマスターは。\\n 詮索するなの一点張りだもの」", "503001021_6": "「けど、行きにおまえらが託してくれた\\n 使いきりの錬金術……」", "503001021_7": "「あれのおかげで、みんな怪我はしてない。\\n 助かったよ」", "503001021_8": "「マスターのことですから、\\n 折れるにせよ折れないにせよ――」", "503001021_9": "「一念を通すための攻撃ならば辞さないだろうと\\n 思ったのは正解でしたねえ」", "503001021_10": "「けど……ッ! それなら、尚更だゾッ!\\n あたしたちがお手伝いしなくてどうするんだゾッ!?」", "503001021_11": "「ミカ……私たちとて、気持ちは同じだ。\\n だが、落ち着け」", "503001021_12": "「そうだな。\\n あの様子じゃあ、誰が行っても同じことだ」", "503001021_13": "「何かしら、派手な作戦を立てる必要がある……\\n そういうことだな?」", "503001021_14": "「ああ」", "503001021_15": "「なあ、あいつはさ……」", "503001021_16": "「『サガルマータの魂』を手に入れて、\\n 何をしようとしてるんだ?」", "503001021_17": "「……ええ、問題はそこなのよね」", "503001021_18": "「わたしたちの世界では、あの宝石は\\n 呪われた宝石として伝えられていたわ」", "503001021_19": "「闇の呪いにより国が滅びて、\\n 以来、宝石は固く封印されてきた……とね」", "503001021_20": "「こちらの世界でも、\\n 失われたゴマ・タパの伝説は伝わっている」", "503001021_21": "「宝石の力で国を滅ぼしたという魔術師――\\n おそらくは錬金術師の伝説がな」", "503001021_22": "「その錬金術師の正体がギータであれ、\\n キャロルくんであれ……」", "503001021_23": "「目的が定かではない以上、\\n 2人があの宝石を手に入れるのは危険だ」", "503001021_24": "「風鳴司令、わたしたちは、\\n 一度自分たちの世界に戻ってみようと思います」", "503001021_25": "「わたしたちの世界では、『サガルマータの魂』は\\n S.O.N.G.の手にあるわけだし……」", "503001021_26": "「エルフナインの調査次第では、\\n 何か新しい発見があるかもしれない」", "503001021_27": "「そうだな。こちらの世界の出来事で、\\n 何か影響が出ている可能性もある――」", "503001021_28": "「ええ……」", "503001021_29": "「わかった。何かあれば、\\n またこちらに共有を頼めるか?」", "503001021_30": "「ええ、必ず」", "503001021_31": "「でしたら……情報を待ってのんびりしてるっていうのは、\\n 今のあたしたちの性には合いませんし」", "503001021_32": "「あたしたちはヒマラヤ観光にでも\\n 洒落込むとしましょうか?」", "503001021_33": "「……おまえらが追いかけていけば、\\n あいつ、絶対に怒るぞ?」", "503001021_34": "「その時は……そうだな。", "503001021_35": " あとで派手に謝るさ」", "503001021_36": "「フ……ハハハッ!\\n ああ、そりゃいいなッ!」", "503001021_37": "「あたしたちには、\\n マスターが世界の全部なんダゾッ!」", "503001021_38": "「なら……やることは決まりだッ!」", "503001021_39": "「あたしたちは、\\n 自分たちの世界での情報収集。それに分析」", "503001021_40": "「あたしたちは、マスターとの追いかけっこ」", "503001021_41": "「この身、たとえマスター自身に壊されようとも――", "503001021_42": " あのお方を独り戦わせるなど、致しませんわッ!」", "503001021_43": "「…………」", "503001021_44": "「…………」", "503001021_45": "「もうすぐだ……もうすぐ、\\n 『サガルマータの魂』を手に入れられる」", "503001021_46": "「心配するな、ギータ。\\n もう誰にも邪魔はさせない」", "503001021_47": "「このオレが、必ず……」", "503001021_48": "「必ず、お前を護ってみせる」", "503001021_49": "「…………」" }