{ "503000711_0": "生への道標", "503000711_1": "「…………」", "503000711_2": "「う……\\n ここは……わたし、どうなったの?」", "503000711_3": "「確か、雪崩に巻き込まれて……」", "503000711_4": "「……立たなくちゃ……。\\n まだ死ねない……こんなところで……ッ!」", "503000711_5": "「…………ア……\\n マリア……」", "503000711_6": "「……だれ……?\\n わたしを、呼ぶのは……」", "503000711_7": "「…………」", "503000711_8": "「マ、マム……ッ!?」", "503000711_9": "「今まで、よく頑張りましたね」", "503000711_10": "「あなたはもう十分に戦った。\\n 今は、ゆっくりおやすみなさい……」", "503000711_11": "「マム……」", "503000711_12": "「わたし、もう……戦わなくていいの?」", "503000711_13": "「ん……」", "503000711_14": "「……起きたデスか?」", "503000711_15": "「き、切ちゃん……?\\n ここは……」", "503000711_16": "「何言ってるデスか、調の部屋デス。", "503000711_17": " ほらほら、しゃっきりするデスよッ!」", "503000711_18": "「何を隠そう、アタシ作のカレーがあるデスよ。\\n 一緒に食べるデスッ!」", "503000711_19": "「き、切ちゃんが……?」", "503000711_20": "「調の大好きな甘口デス。\\n 美味しいデスよ」", "503000711_21": "「もう任務も戦いも忘れて、\\n ここでずーっと幸せに暮らすデス」", "503000711_22": "「もう、いいじゃないデスか。\\n アタシたち、十分すぎるくらい頑張ったデス」", "503000711_23": "「…………」", "503000711_24": "「何もかも忘れて……\\n 幸せに……なってもいいの……?」", "503000711_25": "「う……ん……?」", "503000711_26": "「……寒そうね。\\n かわいそうなクリス……」", "503000711_27": "「――ッ!", "503000711_28": " あんたは……フィーネ……ッ!?」", "503000711_29": "「だから言ったでしょう?\\n 私のすべてを受け入れなさいって」", "503000711_30": "「望みを叶えたければ、\\n あなたは私に従っていれば良かったの」", "503000711_31": "「あたしの……望み……」", "503000711_32": "「なのに、あなたは私を裏切って、\\n 真実すら忘れてしまった……」", "503000711_33": "「痛みだけが人の心を絆と繋いで結ぶ、\\n 世界の真実だということを……」", "503000711_34": "「痛み、絆……真実……」", "503000711_35": "「さあ、私の胸でお眠りなさい。\\n 可愛いクリス」", "503000711_36": "「私だけが、\\n あなたを愛してあげられる……」", "503000711_37": "「フィーネ……」", "503000711_38": "「…………」", "503000711_39": "「……ハハッ、\\n アハハハ……ッ!」", "503000711_40": "「……何がおかしいの?」", "503000711_41": "「一瞬、これが死ぬ前に見る\\n 走馬灯ってヤツかとも思ったが……」", "503000711_42": "「そんなワケがないんだよな。", "503000711_43": " ほっぺたでもつねってみるか?」", "503000711_44": "「何を言って――」", "503000711_45": "「いや、だからさあ。\\n おまえが何者かは知らないが……」", "503000711_46": "「あたしを惑わせたいなら、もう少し\\n マシな想い出を引っ張ってこいってことだ」", "503000711_47": "「フィーネとのことなんて……\\n あたしはとっくに乗り越えてんだよッ!」", "503000711_48": "「――ッ!?」", "503000711_49": "「切ちゃんのフリをすれば、\\n わたしが引っ掛かるとでも思った?」", "503000711_50": "「し、調……\\n どうしてデスか……ッ!?」", "503000711_51": "「やめてッ!\\n 切ちゃんのフリをするのはッ!」", "503000711_52": "「戦うことをやめて幸せになんてなれないよ。", "503000711_53": " だって、わたしたち……」", "503000711_54": "「これからもみんなと一緒に、\\n 進み続けるって誓ったんだからッ!」", "503000711_55": "「なぜ私の言うことが聞けないのです、\\n マリアッ!」", "503000711_56": "「ちがう……ッ!\\n マムは、そんなこと言わないッ!」", "503000711_57": "「――ッ!?」", "503000711_58": "「マムはいつだって、\\n わたしたちに厳しく接してきた」", "503000711_59": "「厳しさの中に、わたしたちへの\\n ぬくもりや哀しみを隠して……」", "503000711_60": "「だからこそ、わたしたちも\\n マムを信頼することができた」", "503000711_61": "「…………」", "503000711_62": "「あなたはマムじゃない」", "503000711_63": "「あなたは……一体だれ?」", "503000711_64": "「……愚かなマリア。\\n 所詮あなたは失敗作だったようですね」", "503000711_65": "「…………」", "503000711_66": "「愚か者には、罰を与えなくてはなりません。\\n 調、切歌……おやりなさい」", "503000711_67": "「…………」", "503000711_68": "「2人まで、利用するか……ッ!」" }