{ "503000111_0": "幻影の魔人", "503000111_1": "「…………」", "503000111_2": "(やっぱり……。\\n なんらかの『術式』が施されてる……)", "503000111_3": "(だとしたら、これを仕掛けたのは……)", "503000111_4": "「エルフナインはいるデスかッ!!!」", "503000111_5": "「わあッ!?」", "503000111_6": "「大変なんデスッ!\\n エルフナインに聞いてほしいデスよッ!」", "503000111_7": "「ボクに聞き役が務まるのでしたら、それはもちろんですが……", "503000111_8": " 大変って、いったい何が?」", "503000111_9": "「大変も大変、特大の大変デスッ!\\n ビッグニュースをもってきたデスよッ!」", "503000111_10": "「エルフナイン……\\n もしかして、まだ仕事中だった?」", "503000111_11": "「いえいえ、一段落ついたところなので大丈夫ですよ。", "503000111_12": " それで、ビッグニュースって……?」", "503000111_13": "「実はッ!」", "503000111_14": "「――って、その机の上のモノはなんデスか?", "503000111_15": " すごくキレイな宝石デス」", "503000111_16": "「触っちゃダメですッ!」", "503000111_17": "「――ッ!?」", "503000111_18": "「あ……す、すみません。\\n まだ調査が完了していないものなので……」", "503000111_19": "「お仕事で調べていたものだったんデスね。\\n ごめんなさいデス……」", "503000111_20": "「持ち主に闇の呪いをもたらすと言われている\\n 『サガルマータの魂』、それが、この宝石の名前です」", "503000111_21": "「闇の呪い……?」", "503000111_22": "「そんな危なそうなものを研究してるデスか……\\n さすがデスけど、ちゃんと休憩もとるデスよ?」", "503000111_23": "「はい、ありがとうございます」", "503000111_24": "「……それで、ビッグニュースって……」", "503000111_25": "「――ハッ!」", "503000111_26": "「そうそう、それデスッ!\\n 朝からテレビやネットで大騒ぎになってるデスよッ!」", "503000111_27": "「なんとヒマラヤの奥地で、\\n ついに雪男の馬が発見されたデースッ!」", "503000111_28": "「馬じゃなくて、UMAだよ、切ちゃん。\\n ツチノコとか、チュパカブラとか、イエティとか」", "503000111_29": "「――ッ!?」", "503000111_30": "「呼びかたはなんだっていいデス。\\n 肝心なのは、伝説が事実だったってことデスよ」", "503000111_31": "「2週間前、ヒマラヤの案内人を務めるAさんが\\n エベレストの中腹で謎の生物と遭遇し――」", "503000111_32": "「そうですか……もうそこまで\\n 情報が洩れてしまっているんですね……」", "503000111_33": "「へ……?」", "503000111_34": "「そこまで、って……知ってたの?」", "503000111_35": "「…………」", "503000111_36": "「発見されたのは、イエティではなく、\\n スノウ・モンスターと呼ばれる伝説の怪物」", "503000111_37": "「そして、そのスノウ・モンスターを\\n 生み出す元凶こそが――」", "503000111_38": "「ヒマラヤで発見された、この呪いの宝石。\\n 『サガルマータの魂』なんです」", "503000111_39": "「え、ええええッ!?」", "503000111_40": "「怪物を生み出す、呪いの宝石……?」", "503000111_41": "「ど、どういうことデスかッ!?」", "503000111_42": "「…………」", "503000111_43": "「……ふぅ。\\n そろそろ、資料以外の読書もしたいもんだ」", "503000111_44": "「お疲れ様です。\\n あったかいものどうぞ」", "503000111_45": "「ああ、ありがとう。\\n 一息いれるか」", "503000111_46": "「司令、頼まれた本をもってきたけれど……」", "503000111_47": "「助かる。\\n 適当なところに置いておいてもらえるか?」", "503000111_48": "「……今日はデスクワーク?\\n ものすごい資料の山ね」", "503000111_49": "「その本も、えらく分厚いな。", "503000111_50": " 歴史書……か?」", "503000111_51": "「歴史書というより、\\n 民話やおとぎ話の類だな」", "503000111_52": "「おとぎ話……?」", "503000111_53": "「『雪と魔物に飲まれた国 ゴマ・タパ』……?\\n 聞いたことないな」", "503000111_54": "「呪われた宝石を用いた悪しき魔術師のことや、\\n その宝石が封印されたことが書かれている」", "503000111_55": "「……ふーん、確かにおとぎ話だな」", "503000111_56": "「おっさんのことだ、\\n 似合わない趣味ってわけじゃないんだろ?」", "503000111_57": "「ああ。\\n 調査の一環でな」", "503000111_58": "「ま、詳しくはおいおい話すよ。", "503000111_59": " もしかすると、君たちにも調査に出向いて――」", "503000111_60": "「――ッ!", "503000111_61": " アラート……ッ!?」", "503000111_62": "「これは……ッ!?\\n エルフナインちゃんの研究室からですッ!」", "503000111_63": "「研究室だとッ!?", "503000111_64": " まさか……ッ!」", "503000111_65": "「わたしたちが向かうわッ!」", "503000111_66": "「頼むッ!!」", "503000111_67": "「……『サガルマータの魂』。\\n やはり、あれは――」", "503000111_68": "「く、くぅぅ……ッ!", "503000111_69": " なんなんデスか、こいつらッ!?」", "503000111_70": "「いきなり現れて殴りかかってくるなんて、\\n 非常識もいいとこデスッ!」", "503000111_71": "「エルフナインは下がってッ!\\n ギアなしで戦える相手じゃないッ!!」", "503000111_72": "「おい、無事かッ!?」", "503000111_73": "「クリスさん、マリアさんッ!」", "503000111_74": "「アラートの原因は……\\n こいつらッ!?」", "503000111_75": "「グルルル……ッ!」", "503000111_76": "「よかった、きてくれて」", "503000111_77": "「エルフナインが調べていた宝石から、\\n いきなりあの怪物が現れたの」", "503000111_78": "「咄嗟にギアを纏ったデスが、\\n 大正解デス……ッ!」", "503000111_79": "「無事で何よりよ」", "503000111_80": "「落ち着くのは早そうだッ!\\n まだ何かくるぞ……ッ!」", "503000111_81": "「――――」", "503000111_82": "「なんだ、こいつ……ッ!?」", "503000111_83": "「ランプの魔人デスッ!?」", "503000111_84": "「考えるのは全部後よッ!", "503000111_85": " 攻撃がくる……構えてッ!!」" }