{ "502000811_0": "『彼』の可能性", "502000811_1": "――", "502000811_2": "――――", "502000811_3": "「いやぁ、限りある命の力は、すごいねぇ。\\n 人間の情動……可能性というのは、大したものだ」", "502000811_4": "「あ、あれを見ろ」", "502000811_5": "「ん……?\\n 怪獣が崩れて消えて……あっ!?」", "502000811_6": "「怪獣の中から、人が!!」", "502000811_7": "「――ッ!", "502000811_8": " お父さんッ!」", "502000811_9": "「…………」", "502000811_10": "「いかん、気を失っているぞ!」", "502000811_11": "「このままでは地面に叩きつけられるッ!」", "502000811_12": "「…………」", "502000811_13": "「あ、焦ったぁ……!」", "502000811_14": "「ナぁイス、キャリバー!」", "502000811_15": "「……」", "502000811_16": "「お父さん……ッ!」", "502000811_17": "「う……ッ、\\n 響、か……?」", "502000811_18": "「大丈夫……?」", "502000811_19": "「ああ……情けないな……。\\n 娘に助けられるなんて……」", "502000811_20": "「いやぁ、見事だったよ、君たち。\\n とてもいいものを見せてもらった」", "502000811_21": "「――ッ!」", "502000811_22": "「響に近づくな……ッ!」", "502000811_23": "「そんなに心配しなくても、君の娘を傷つけたりしないさ。\\n むしろ、感謝しているくらいだからね」", "502000811_24": "「それに、君もだ。\\n つまらない男と言ったのは撤回しよう、すまなかったね」", "502000811_25": "「君がグリッドマンたち相手に、ここまで戦えるとはね。\\n いや、実にいい見世物だった」", "502000811_26": "「ショー、だと……?」", "502000811_27": "「そうそう、響くんたちとの約束だ。\\n 君に貸していた力は、返してもらうよ」", "502000811_28": "「何……ッ!?」", "502000811_29": "「なんだ、これは……ッ!?」", "502000811_30": "「今の消耗した君からなら、\\n かつて私が与えた力を引きはがすことなんて簡単さ」", "502000811_31": "「はーい、ちょっとチクっとしますよぉ」", "502000811_32": "「ちく、しょう……ッ!」", "502000811_33": "「お父さんッ!」", "502000811_34": "「……安心しろ、立花。\\n 再び、気を失っただけだ」", "502000811_35": "「よかった……」", "502000811_36": "「グリッドマンの力を制御してた親父さんが\\n 力を失くしたってことは……」", "502000811_37": "「問題は解決したと思えるが……。\\n しかし、この複合世界はどうなる?」", "502000811_38": "「心配はない。\\n グリッドマンならば、きっと――」", "502000811_39": "「その通りだ」", "502000811_40": "「――ッ!?\\n そ、空に、グリッドマンを映す……巨大なモニターがッ!?」", "502000811_41": "「なんだってんだ、ありゃあッ!?」", "502000811_42": "「立花洸の制御を離れたことで、\\n グリッドマンを縛っていた枷がなくなったのだろう」", "502000811_43": "「それに、この世界はグリッドマンそのものだった。\\n こうした干渉をする程度、容易いんだろうねえ」", "502000811_44": "「グリッドマンッ!\\n この街は、この街の人たちは……ッ!?」", "502000811_45": "「安心してくれ、響。\\n 今の私ならば、フィクサービームで破壊された街を修復できる」", "502000811_46": "「そのうえで、この世界に巻き込まれた各世界との繋がりを\\n ほどけば――晴れて、この事態は解決だ」", "502000811_47": "「怪獣を生み出していた立花洸が力を失ったことで、\\n 他の世界に滲み出た怪獣たちも、消失したはずだ」", "502000811_48": "「――ッ!\\n よかった……ッ!!」", "502000811_49": "「響……いいや、全てのシンフォギア装者たちよ。\\n 今回もまた、世話になった。礼を言おう」", "502000811_50": "「そんなことないですよッ!\\n わたしたちの世界も護れたんですからッ!」", "502000811_51": "「ああ。\\n 水くさいことは言いっこなしだ」", "502000811_52": "「再び共に戦えて光栄でした」", "502000811_53": "「ま、なんだかんだで楽しかったぜ。\\n お好み焼きもうまかったしな」", "502000811_54": "「――アレクシス・ケリヴ。\\n 君にも世話になった」", "502000811_55": "「いやぁ、照れるじゃないか。\\n それに、お礼を言うのはまだ早いと思うよ?」", "502000811_56": "「……あ?」", "502000811_57": "「だって、こんなおもしろい状況だよ。\\n これで解散だなんて、もったいないじゃないか」", "502000811_58": "「え……?」", "502000811_59": "「何を……\\n 言っているのですか?」", "502000811_60": "「……どういう意味だ?」", "502000811_61": "「改めて……シンフォギア、と言ったね、君たちの力は。\\n その力もそうだけど、何より君たち自身がおもしろい」", "502000811_62": "「特に、響くん!」", "502000811_63": "「わ、わたしッ!?」", "502000811_64": "「グリッドマンが選ぶだけのことはあるねぇ。\\n どんな状況でも決して諦めない君の心の強さには感心したよ」", "502000811_65": "「君の在り方に触れた者にまで、影響を及ぼす」", "502000811_66": "「情動が他者に波及し、さらに大きな波となるその様子は、\\n 実におもしろい」", "502000811_67": "「だから――これで終わりだなんて言わず、\\n もっと、もっと私に見せてほしい!」", "502000811_68": "「君の――君たちの、\\n 迸る情動をッッ!」" }