{ "502000121_0": "「わぁあああああああああああ……ッ!」", "502000121_1": "「――あいたァッ!?」", "502000121_2": "「おやおや。\\n これは見事なしりもちだね」", "502000121_3": "「大丈夫かい?\\n ……ええーっと……君の名前はなんていうんだったかな?」", "502000121_4": "「あ……。\\n 響です。立花響ッ」", "502000121_5": "「響……『ヒビキ』くんか。\\n ……はて。どこかで聞いたことがあるような、ないような」", "502000121_6": "「まあ、些細なことは置いておこう。\\n ……どこかな、ここは?」", "502000121_7": "「……外?\\n さっきまでお父さんの家にいたのに……」", "502000121_8": "「ふむ。\\n どこかの高架下のようだね」", "502000121_9": "「おやおや、粗大ゴミが捨ててあるじゃないか。\\n よくないよねぇ、こういうの」", "502000121_10": "「それはそうだと思いますけど……。", "502000121_11": " と、とにかく、お父さんに連絡しないとッ!」", "502000121_12": "「……って、スマホがないッ!?", "502000121_13": " お父さんの家に置いてきちゃったんだ……」", "502000121_14": "「巻き込んでしまってすまないねぇ。どうやら、\\n さきほどの空間の歪みは、別の場所と繋がっていたようだね」", "502000121_15": "「空間の歪み……そっか。\\n わたし、アレクシスさんと一緒に吸い込まれちゃったんですね」", "502000121_16": "「おそらくね。……しかし、妙に呑み込みが早いねぇ。\\n 普通の人は、もっと驚くものだと思うのだけど」", "502000121_17": "「それはその……。", "502000121_18": " い、一身上の都合でッ」", "502000121_19": "「なるほどなるほど!\\n それなら仕方ないね」", "502000121_20": "「うんうん。わかる、わかるよ。\\n 誰にだって人に話せない都合の10や20はあるものさ」", "502000121_21": "「そ、そうなんですよッ!\\n アハ、アハハハハ……」", "502000121_22": "「あれ、でも……\\n この光景、前に見たことがあるような……」", "502000121_23": "「……そうだッ! ガウマさんと初めて会った場所だッ!\\n っていうことはここは……ガウマさんの世界ッ!?」", "502000121_24": "「世界? つまり……ここはさきほどまでとは別の世界、\\n つまり多元宇宙の1つということか」", "502000121_25": "「た、多元宇宙……?", "502000121_26": " えっと、わたしたちは並行世界って呼んでるんですけど……」", "502000121_27": "「なるほどね。\\n 言葉が違うだけで……まあ、似たようなものさ」", "502000121_28": "「しかし……なんだか最近、そんな話を聞いた気もするなぁ。\\n あれはどこでだったかな? どうにも思い出せないねぇ」", "502000121_29": "「……記憶喪失っていう話でしたけど、不安じゃないんですか?\\n なんだかとっても暢気そうに見えますけど」", "502000121_30": "「なに、永く生きていればそういうこともあるだろう。\\n これはこれで、なかなか楽しい状況だよ。ハハハ」", "502000121_31": "「すっごいポジティブ……」", "502000121_32": "「何事も前向きなのはいいことさ。そうだろう?\\n ふさぎ込んでいたってどうにもならないからね」", "502000121_33": "「そ、それはまあ、\\n その通りだと思いますけど……ッ」", "502000121_34": "「ともあれ!\\n 差し当たっては、情報収集が先決かな」", "502000121_35": "「ここが君の知っている世界だというなら、\\n 誰か頼れる人がいるのかい?」", "502000121_36": "「あ、はい。もし、ここがわたしの知る世界なら、\\n ガウマさんっていう人がいると思うんですけど――」", "502000121_37": "「な、何ッ!?\\n 地面が、揺れて……ッ!」", "502000121_38": "「何が起こっているのか、ここからでは確認できないね。\\n 周囲が見える場所へ行ってみようか」", "502000121_39": "「はいッ!」", "502000121_40": "「あれは、怪獣……ッ!?\\n やっぱりわたし、また、いつかの世界にッ!?」", "502000121_41": "「なかなかおもしろい造形をしているね」", "502000121_42": "「そんなこと言ってる場合じゃないですよッ!」", "502000121_43": "「ガウマさん……ダイナゼノンもッ!\\n ――探さないとッ!」", "502000121_44": "「うん?\\n ダイナゼノン?」", "502000121_45": "「怪獣と戦うためのメカですッ!」", "502000121_46": "「なるほど、この世界には怪獣に対抗する力があるのかい?\\n 確かに、怪獣にはそれに応じた宿敵が必要だよね」", "502000121_47": "「それか、あの時みたいに、\\n わたしが大きくなれれば……ッ!」", "502000121_48": "「けど、グリッドマンがいなくちゃ……ッ!」", "502000121_49": "「……グリッドマン?", "502000121_50": " …………」", "502000121_51": "「怪獣が、移動を始めてるッ!\\n このままじゃ、街がッ!」", "502000121_52": "「――」", "502000121_53": "「――ひび――き――」", "502000121_54": "「――ッ!」", "502000121_55": "「今のは……\\n 声?」", "502000121_56": "「ん?\\n どうかしたのかい?」", "502000121_57": "「何か、声が聞こえたような……。\\n この、胸の奥に直接響いてくるこれは、まさか……」", "502000121_58": "「グリッドマン?」", "502000121_59": "「――グリッドマンなのッ!?\\n わたしに何か伝えようとしているの……?」", "502000121_60": "「はて……私には何も聞こえないなぁ。\\n そのグリッドマンとは、連絡を取る方法はないのかい?」", "502000121_61": "「……そうだッ! この世界にもジャンクがあれば、\\n グリッドマンと話せるかもッ!」", "502000121_62": "「……ふむ? 詳しいことを聞いている時間はなさそうだね。\\n それはこの世界にあるものなのかい?」", "502000121_63": "「わかりません。\\n でも、この街……」", "502000121_64": "「知らない街なのに。\\n でも、わたしが住んでる街とも、よく似てる場所がある……」", "502000121_65": "「まるで、2つの街が混ざり合ってるみたいに」", "502000121_66": "「ここが並行世界――『可能性』の世界の1つなら、\\n もしかしたら、あそこならッ!」", "502000121_67": "「おや、どこへ行くんだい?」", "502000121_68": "「ふらわーっていうお好み焼き屋さんですッ!\\n もしかしたら、そこにジャンクがあるかもッ!」" }